沼の底からこんにちは。マニアな東京ショップガイド vol.4 TRAVIS
圧倒的に突き抜けたマニアが手がける、ユニークな専門店をご紹介。一癖ある店主と唯一無二の商品ラインナップは、知れば知るほど沼にはまるような魅力がある。心がホットになるお買い物体験をするべく、街へ出よう。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2023年12月号掲載)
TRAVIS
古着
映画を語り、愛で、見に行くための場所
映画館での映画鑑賞が大好きなオーナーの愛情が詰まった「トラヴィス」。店名は映画『パリ、テキサス』の主人公の名前から。ヨーロッパで買い付けた彩り豊かな古着と着色した特注サイズで額装した映画の古いポスターを販売している。映画作品のムードや配色を拾った服装をして映画館に出かける自分の経験が、バイイングにも生かされているという。
店内には巨大スクリーンと古い映画館の椅子もあり、淡いグリーンの壁紙はミニシアター作品や小津安二郎作品を彷彿させる。「いつか名画座スタイルの映画館を開きたいんです。その前段階として古着屋を営んでいるので、映画館のロビーのような感覚に近いかもしれません。ここは目黒シネマと恵比寿ガーデンシネマの間にあるので、鑑賞前か後に立ち寄ってくださる方もいますよ」。
女優気分を味わえる舞台衣装もあり、映画作品のオマージュでもあるオリジナルアイテムも展開。映画業界人や愛好家たちをうならせるマニアックさがたまらない。
店内の壁面を埋め尽くすのは、古い映画のポスターの数々。どれも人気で在庫にも限りがあるので、すぐに売り切れてしまう。店内にある古い映画館の椅子をはじめ、映画関連のアイテムが店内のあらゆるところに。
ヴィム・ヴェンダーズの『パリ、テキサス』関連のアイテムをあまり目にしないと感じ、プリント工場に勤める友人と作り始めたブートのスウェット。周囲から火が付き、店頭やSNSで「欲しい」という声が絶えない。現在はお店に通い詰めたらもらえる名物ノベルティに。販売中のウォン・カーウァイの『恋する惑星』とジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』のヒロインに捧げる、オリジナルのオマージュTシャツ。ギミックが効いたデザイン。左¥7,250、右¥7,700
作中の登場人物が着ていそうだったり、映画監督をイメージさせる色のものやアイテムを見つけるのも楽しい。
TRAVIS owner
ハラダユウキ
ショップで販売員として勤務後、インディペンデントな映画作品が好きだったことから古着屋を志す。ヨーロッパで買い付けを行い、2023年3月にオープン。
TRAVIS
住所/東京都渋谷区恵比寿3-6-12
営業時間/15:00〜21:00(平日)、13:00〜21:00(土・日・祝) 不定休
Instagram/@travis_yebisu
Photos:Miyu Terasawa Text:Aika Kawada Edit:Chiho Inoue