オレンジワインって、なんだ? 白でも赤でもロゼでもない、4番目のワインのすべて
オレンジワインについて、ソムリエに聞いてみた
こんにちは! ワインブロガーのヒマワインです。Numero.jp読者の皆様の中には、ビストロなどの飲食店でオレンジワインを飲まれたことのある方も多いと思います。特に自然派ワインがウリのお店などでは、白、赤、ロゼと並んでオレンジワインがリストに載っているのも珍しくありませんよね。
そんなこんなで一般的にはなってきたけど、じゃあ「オレンジワインって、なんだ?」と問われるとこれがなんだかイマイチよくわからなかったりする。そこで、東京・恵比寿のワインマーケット・パーティ店長でソムリエの沼田英之さんにお話を伺ってきました!
赤でも白でもロゼでもない、第4のワインの正体はどのようなものなのでしょうか。私と沼田店長のインタビューをご覧ください。
【目次】
オレンジワインはどうやって造る?
オレンジワインの味わいと合う料理について
オレンジワインの歴史
オレンジワインの発祥の地、ジョージア
オレンジワインの選び方
おすすめオレンジワイン1/ボルコ・サヴィアン「アランサット」
おすすめオレンジワイン2/パパリ・ヴァレー「スリー・クヴェヴリ・テラスズ ルカツィテリ NO.6 2021」
おすすめオレンジワイン3/ヴァイングート・マラート「ゲルバー・ムスカテラー ロー2020」
おすすめオレンジワイン4/マルコジャンニ・ワイナリー「ボレアス&ヘリオス オレンジ ロディティス2021」
おすすめオレンジワイン5/ドメーヌ・オステルタッグ「レ・アバンチュール・ドゥ・ラニョー・マスク・エピソード3 2019」
おすすめオレンジワイン6/グラヴネルの「リボッラ2013」
オレンジワインはどうやって造る?
ヒマワイン(以下、ヒマ)「今日のテーマは『オレンジワインって、なんだ?』です」
沼田店長(以下、店長)「そうですね、一般のお客様だと『オレンジワイン=オレンジで造ったワイン』というふうに思っている方も多いですし、そうでなくても細かいところはわからないという方が多いと思います」
ヒマ「教科書的な説明だと、『白ワインを赤ワイン的に造ったワイン』といったところでしょうか」
店長「そうですね。少し詳しく言うと、一般に白ワインはブドウを絞ったジュースのみを発酵させて造り、赤ワインはジュースだけでなく果皮や種も一緒に発酵させます。オレンジワインは、白ワイン用のブドウの果皮や種ごと醸したり、発酵させたワインなんです」
ヒマ「自然派ワインがウリのお店で見かけることも多いですよね、オレンジワイン」
店長「酸化防止剤を使わなかったり、使用を抑えて造るケースがオレンジワインの場合非常に多くて、それは自然派ワインの造り方と通ずるものがあるんです。オレンジ=自然派というわけではないけれど、自然派に近いものは非常に多いと思います」
オレンジワインの味わいと合う料理について
ヒマ「味わい的にはどんな特徴があるんでしょう?」
店長「オレンジワインは前述したようにオレンジではなくブドウから造るお酒ですが、不思議とユズや甘夏のような柑橘系のニュアンスがあるんです。僕が家で一番合わせるのはユズの風味の切り干し大根。これだとオレンジワインが永遠に飲めちゃうんです」
ヒマ「危険なやつですね(笑)。そして和食にも合うのはちょっと意外!」
店長「それに限らず、すだちを少し絞ったり、レモンの皮を散らしたりして柑橘のニュアンスや苦味を加えてあげると、料理とオレンジを合わせやすくなりますから、レストランでのメニュー選びの参考にしてほしいですね。ベースは白ワインですが、果皮などからのタンニン(渋み)も加わっているので、魚料理はもちろん肉料理もある程度まで問題ありません。そして、非常にオススメなのがエスニック料理や中華料理」
ヒマ「お、良さそう」
店長「オレンジワインはハーブやスパイスと相性がいいんです。中華やエスニックで使われるパクチーやショウガなんかと良く合いますし、クミンの入ったチーズなんか抜群に合います。要はスパイスを効かせた料理と合わせるとめちゃくちゃおいしい」
ヒマ「たしかに、オレンジワインは『料理と合わせてこそ』かも」
店長「そうなんです。オレンジワインは意外と万能選手。だからこそ、レストランでシェフやソムリエから重宝されるんだと思います。そして、レストランで飲んでおいしかったからとウチのような小売店にもお客様が来てくれる流れができています」
オレンジワインの歴史
ヒマ「ワインマーケット・パーティにもオレンジワインの棚がありますもんね」
店長「はい、常時50〜60種類を揃えています。でも、『オレンジワインください』とお客様から言われるようになったのって、ほんのここ10年くらいのことなんですよ」
ヒマ「たしかに、昔は存在自体を知りませんでした」
店長「1997年に、ラディコンというイタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州の生産者が白ワインを果皮ごと醸すという、70年代までその土地で行われていた伝統的な醸造法を実践。同じ土地からグラヴネル、ダリオ・プリンチッチといった生産者も続き、一大ブームとなるんです」
ヒマ「ラディコンは私も大好きです。土着品種のリボッラ・ジャッラを使ったワインは忘れられない味です」
店長「その“オレンジ色をした白ワイン”のことを2004年にある英国のジャーナリストが『オレンジワイン』と名付けたんです。そこから徐々にオレンジワインという言葉が広がっていき、10年ほど前から日本でも一般化していった、という流れです。オレンジ専用の棚ができたのもそのころのことですね」
ヒマ「今ではスーパーでも売ってるのを見かけますが、ほんとにここ最近一般化したんですね」
店長「オレンジワインという言葉がなかった頃は白ワインとして売っていたので、購入したお客様から『白じゃないじゃないか』とお叱りを受けることもありましたからね……(笑)」
オレンジワインの発祥の地、ジョージア
ヒマ「イタリア発祥のオレンジワイン、今では世界中で造られていますよね」
店長「はい。フリウリからオレンジワインが出てきたあと、それを何千年も前から作り続けていたっていうんで注目が集まったのがジョージアです。実は最古のワイン産地とも言われるジョージアの、クヴェヴリという甕(かめ)に入れて土の中で熟成させるという伝統的な醸造法で造られる白ワインは、まさにオレンジワイン」
ヒマ「実はジョージアでは大昔から作られていた……! しかし、意外な産地です」
店長「それまで私自身ジョージアのワインを飲んだことすらありませんでしたからね。フリウリのワインがブレイクし、ジョージアのワインがそれを後押ししたことでオレンジワインが一気に広まり、いまではフランスの伝統的な山地であるアルザスやボルドーでも造られるようになっています」
ヒマ「ボルドーでもオレンジワインが造られているんですね!」
店長「そうなんですよ。それだけに、思いっきり自然派っぽいものから、すごくキレイな造りのものまで、選択肢がすごく増えています」
オレンジワインの選び方
ヒマ「ただ、オレンジワインって選ぶの難しいなあと思ってしまうのも事実。選ぶコツってありますか?」
店長「そうですね、オススメは地域か品種を絞って探すことでしょうか。地域なら先述したイタリアのフリウリ。もともと白ワインとして造っているので、飲みやすいものが多いです」
ヒマ「液体はオレンジ色でも、あくまで『ヴィノ・ビアンコ(白ワイン)』なわけですね」
店長「もうひとつは品種で選ぶ方法です。オススメはゲヴュルツトラミネールという品種。アロマティック品種とも呼ばれる香り高い品種で、すごく飲みやすいんです。ウチのお店は全商品にポップが付けられていて、そこに使用品種も書いてありますから、それをヒントに探してもらうのもいいと思います」
ヒマ「なるほど、ゲヴュルツトラミネールのオレンジはいいですね……!」
店長「よくわからなければ、細くて背の長いボトルを探してみてください。これらはフランス北部のアルザス地方やドイツ、オーストリアといった冷涼な産地で使われるボトル。ゲヴュルツトラミネールをはじめとした、スッキリして香りの良い、飲みやすいオレンジワインになっていることが多いです」
ヒマ「ボトルの形状で選ぶのはすごくわかりやすい!」
店長「とはいえオススメのオレンジワインもいくつか選んでおきましたので、1本ずつご紹介していきましょうか」
ヒマ「ぜひお願いします」
店長オススメのオレンジワイン1
店長「では1本目です。ボルコ・サヴィアンの『アランサット』です。なんといってもお値段1980円と、非常に手を出しやすい1本」
ヒマ「おお、この価格はありがたいですね」
店長「先ほど入門にいいとお伝えしたフリウリの生産者で、すごくわかりやすい味わい。価格も含めて『はじめてのオレンジワイン』にオススメなんです」
ヒマ「なんか同じボトルが2本並んでますが……?」
店長「これ、1本は“ノンフィルター”なんです。ワイン造りの過程では濁りや不純物を取り除くためにフィルターをかけるのが一般的ですが、このワインはそのフィルターをかけていないものも選べちゃうんです。ちょっと飲み比べてみますか」
ヒマ「うわ、いきなり色が違いますね。ノンフィルターのほうが色が濃い。そして……おもしろいですね、ノンフィルターのほうが複雑味がある一方で、フィルターがかかっているほうは果実味がくっきり感じられる。それぞれの良さがあります」
店長「ちょっとマニアックですが、ワイン好きの方が集まる場であればこの2本の飲み比べはきっと盛り上がると思います」
店長オススメのオレンジワイン2
店長「続いてはジョージアのワインです。パパリ・ヴァレーの『スリー・クヴェヴリ・テラスズ ルカツィテリ NO.6 2021』。元物理学者の方が造るワインです」
ヒマ「いきなり面白そうなワインですね」
店長「三層構造のワイナリーで、一番上の層にブドウを運び込み、そこから醸造工程が進むごとに下の階層のクヴェヴリに重力に従ってワインを移動させるという手の込んだ方式で造られるワインで、価格は3,685円(税込)」
ヒマ「グラヴィティ・フローってやつですね。液体にストレスがかからないという」
店長「僕は個性が際立つジョージアのワインはオレンジワインの中級編と考えているんですが、これはとてもキレイな造りのワインで飲みやすい。以前焼き鳥屋さんでグラスで出てきたんですが、柚子胡椒を効かせた焼き鳥に非常に良く合いました」
ヒマ「ジョージアのオレンジワインの入門編にとても良さそうですね」
店長オススメのオレンジワイン3
店長「続いてはオーストリアのワインです。ヴァイングート・マラートのゲルバー・ムスカテラー ロー2020ですね」
ヒマ「ローは『RAW』なのですなわち“生”みたいなことですかね」
店長「そうですね。亜硫酸をほとんど添加しない自然派的なアプローチで造るワイン。ゲルバー・ムスカテラーは聞きなれない品種ですが、マスカット系の品種です」
ヒマ「マスカットは香りよく、飲みやすい系の品種ですね」
店長「はい。緑色のブドウを皮ごと噛んだときのような清涼感がありながら酸味は穏やか。少し桃のようなニュアンスも感じられます。ちょっと飲んでみましょうか」
ヒマ「開けたては少し自然派ワインにありがちなワイルドな香りがしますが、それはすぐに抜けて、種の大きい果物みたいな熟したような果実味としっかりとした酸味を感じられます。色合い的にも白ワインに近いオレンジワインですね」
店長「柑橘を効かせたカルパッチョに最高ですね。エシャロットやハーブ系の野菜と合わせるのもいいと思います」
店長オススメのオレンジワイン4
店長「続いてはギリシャのワインです。マルコジャンニ・ワイナリーのボレアス&ヘリオス オレンジ ロディティス2021」
ヒマ「ギリシャのオレンジワインは珍しい気がします」
店長「ラベルは『北風と太陽』がモチーフ。ロディティスっていうギリシャで良く栽培されている品種を使っています。これがすごく飲みやすくて、甘夏の実の部分、そして皮とか皮と身の間の白い部分も想起させる味わい」
ヒマ「ワインの場合、ちょっとの苦味みたいなのが味の奥行きにつながったり、料理との相性を高めてくれたりするんですよね」
店長「『ギリシャのオレンジ』っていうだけで、パーティに持っていくと話題になりますから、手土産にもオススメです」
店長オススメのオレンジワイン5
店長「次は王道のフランス。アルザス地方のオレンジワインで、ドメーヌ・オステルタッグのレ・アバンチュール・ドゥ・ラニョー・マスク・エピソード3 2019というワイン」
ヒマ「ライチやバラの香りが特徴のゲヴュルツトラミネールを中心に、果実味の強いピノ・グリ、酸が特徴のリースリング。そこにシルヴァネール・ルージュは赤品種ですかね。それも2.5%入ってる。この地域ならではの品種がブレンドされているんですね」
店長「亜硫酸無添加のワインなのですが、ネガティブな要素のないめちゃくちゃキレイな造り。これはかなりオススメなんです。ちょっと飲んでみましょうか」
ヒマ「外観は輝くようなオレンジゴールド。透明感があって、すごくキレイですね。味わいも素晴らしい。豊かな酸味と果実味があって、そこに少しの渋みがカレーに対する福神漬け的なアクセントになってます。これはおいしい!」
店長「やっぱり素晴らしいですね。合わせるなら脂が多めの豚肉の料理なんかどうでしょう? スペアリブのように、マーマーレードを塗ってオーブンで焼いた豚の塊肉にかぶりつきながらこれを飲んだら最高です」
ヒマ「それ今すぐやりたいです(笑)。6,050円とお高めですが、その価値はありますね」
店長オススメのオレンジワイン6
店長「最後は、一度は飲んでいただきたい有名生産者、グラヴネルの『リボッラ2013』、価格は1万1000円です。オレンジワインのトップ生産者のひとりですね」
ヒマ「先ほどオレンジワインの先駆けである生産者・ラディコンと並んで名前が挙がったイタリア・フリフリの有名生産者ですね」
店長「その通り。使われている品種のリボッラ・ジャッラはフリウリならではの品種ですが、それを長期熟成して造るワインです。濃い色味にスパイシーさや鉄っぽさ。すごくパワーのあるワインなので、1本を一人で飲み切るというよりは、みんなでシェアして飲んでもらいたいワインですね」
ヒマ「赤ワインのトップや白ワインのトップはとんでもない値段がついていますが、オレンジの最高峰なら1万円ちょいで買える。プレゼントにもいいですね」
店長「ワイン好きなら誰でもですが、なかでも自然派ワインが好きな方に贈ったら絶対に喜ばれると思います」
ヒマ「今回もありがとうございました!」
Photos & Text: Hima_Wine
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