バービーのモヤモヤ相談室 vol.21「トランスジェンダーついて発言することはNG?」 | Numero TOKYO
Culture / Feature

開けチャクラ! バービーのモヤモヤ相談室 vol.22「当事者以外がトランスジェンダーついて発言することはNG?」

体や性をめぐるあれこれ、人間関係や恋愛、社会についてなど、読者の抱える「モヤモヤ」をバービーが一緒に考えます。正解は見つからないかもしれないけど、チャクラは開放できちゃうかも?!(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2023年7・8月号掲載)

【今月のモヤモヤ】

「当事者以外がトランスジェンダーついて発言することはNG?」

先日とある俳優の方がトランスジェンダーについて発言したら、「当事者でもないのに!」と叩かれ、炎上していたのを見て悲しくなりました。当事者しか声を上げられなかったら、社会は良くなっていかないのではないのかと残念に思います。バービーさんの考えをお聞かせください。(かれーらいす・35歳・会社員)

【バービーからのメッセージ】

一部の切り取りで、良し悪しを判断してしまう

個人的な感想を伝えると、この俳優さんはいろんな方をおもんばかり、とても真摯に、そして丁寧に自分の意見を述べられたと思いました。そもそもこの一件はいくつか連投したストーリーズの一部だけが切り取られ、それが拡散されて、「トランス差別だ」と一部から非難されてしまった。それで「無自覚に一部の人を傷つけてしまった」と本人は謝罪されていますが、ヘイトの気持ちはまったくなかったんですよね。どれだけ気を配って発言しても意図しない切り取られ方をされ、当事者を傷つけてしまうことがある。発信する側である私も炎上するかしないかは運だなと思うことがあります。問題は、俳優さんの発言をいいように利用して、炎上させようと仕向けた人がいたこと。世間の注目を集めたい人が切り取った情報だけを見て、発信した本人の思いや前後の文脈は無視して、一部分の発言をめぐって「良い」「わるい」と判断したがる人が多い。なかには、俳優さんが発信したSNSそのものは見ておらず、「俳優の○○差別発言で炎上」など20字程度の見出し記事だけ見て「え〜、ヘイト発言したんだ」という印象にとどまっている人がいるかもしれません。

相手の意見にきちんと耳を傾け、一人一人が読解力を養うこと

日常生活で炎上まではいかないにせよ、自分の発言を指摘されて、「当事者でもないのに!」と責められれば、口をつぐみたくなる。その気持ちもよくわかります。でも、だからといって発言しないで黙っておくべきかといえば、決してそうではないと思うんです。 “叩かれるかもしれないから何も言わない”というのは一番いけない気がする。差別をなくすためには具体的な施策も必要になります。だからこそ丁寧な対話や議論が不可欠だと思うのです。当事者がマイノリティであればこそ、当事者以外のマジョリティも加わって話し合っていかないと何も変わらない。そして、どの関係性においてもそうですが、自分の考えとは異なる意見や対立する意見にきちんと耳を傾けられない人があまりに多いとも感じています。提言や進言であっても、「自分を否定された!」と思い込んで、そこから話し合いが進まなくなってしまう。前に進むためには、相手の意見にきちんと耳を傾け、一人一人が読解力を養うことだと思う。私たちが日々受け取る情報は大量です。それをどんどん処理するために、前後の文脈や情報ソースを探ることを諦めて、「わかりやすい」ものについ手を伸ばしてしまう。だから今、思い切って情報のスピードを落とすことをやってみてもいいのかなと思います。語られていないこと、描かれていないものを想像して穴埋めしていく脳を養う。そういうムーブメントが生まれるといいのかなって思うんですけどね。とりとめのない意見になってしまいましたが、正直、私もすごくモヤモヤしているところなのです。

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Photo:Kisimari (W) Styling:Natsuki Taniguchi(Takuty Produce & Create) Hair & Makeup:Naomi Harada Interview & Text:Mariko Uramoto Edit:Mariko Kimbara

Profile

バービーBarbie お笑い芸⼈。北海道出⾝。2007年、相⽅のハジメとお笑いコンビ「フォーリンラブ」を結成。TBS『ひるおび!』のコメンテーターや、TBS ラジオ『バービーとおしんり研究所』のパーソナリティを務めるほか、⽣まれ故郷の町おこしにも尽⼒。YouTube『バービーちゃんねる』では、最新美容や性についてのトピックが話題となり、現在の登録者数は25万⼈を超える。またFRaU WEBにて連載中のエッセイをまとめた著書『本⾳の置き場所』(講談社)を出版。⾃らプロデュースしたピーチ・ジョンとのコラボ下着の発売や、双⽅向コミュニケーション型ECサイト『◯バ(仮)』にてシルエットをキレイに⾒せる太ベルトの発売を開始。22年4月には初のシングル楽曲「Ya jatuh cinta(ヤ ジャットウ チンタ)」を配信限定でリリースするなど、多岐にわたり活動の幅を広げている。

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