ラグジュアリーファッションブランドもサポートする「KYOTOGRAPHIE 2023」でアートな京都散歩を | Numero TOKYO
Art / Feature

ラグジュアリーファッションブランドもサポートする「KYOTOGRAPHIE 2023」でアートな京都散歩を

高木由利子「PARALLEL WORLD」Presented by DIOR 二条城 二の丸御殿 台所・御清所 ©︎ Kenryou Gu-KYOTOGRAPHIE 2023
高木由利子「PARALLEL WORLD」Presented by DIOR 二条城 二の丸御殿 台所・御清所 ©︎ Kenryou Gu-KYOTOGRAPHIE 2023

2013年の開催以来、今年で11回目となる京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」が5月14日まで開催中。今春には文化庁も移転され、芸術との親和性をますます高める京都で、写真展を巡りながら街の歴史と進化を同時に堪能できる話題のフェスティバルだ。今回から多彩なジャンルの音楽のライブを京都の特別な空間で楽しめる「KYOTOPHONIE」も連動。多くのラグジュアリーファッションブランドがサポートする展示、イベントを中心に、見どころをレポートする。

マペル・ポブレット× シャネル・ネクサス・ホール@京都文化博物館 別館

「KYOTOGRAPHIE」のスタート時から参加しているシャネル・ネクサス・ホール。今回はプレミアムスポンサーとして、先頃銀座で開催され話題となったマペル・ポブレットの国内初の個展「WHERE OCEANS MEET」を巡回。マペル・ポブレットは写真やミクストメディアなどさまざまな手法で制作を行う、キューバの新進気鋭の現代美術アーティスト。キューバという島国にとって欠かせない海、水をテーマに本質的な役割を観察し、語りかける。「移民たちの砕かれた人生を寓話的に表現するためです」と、写真や鏡を断片的にしたうえで新たに構築。儚げな美しさのなかに社会問題を投影した印象的な作品だ。

マベル・ポブレット「WHERE OCEANS MEET」 Presented by CHANEL NEXUS HALL 京都文化博物館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023
マベル・ポブレット「WHERE OCEANS MEET」 Presented by CHANEL NEXUS HALL 京都文化博物館 別館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023

高木由利子×ディオール@二条城 二の丸御殿 台所・御清所

現在開催中の展覧会「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」でオートクチュールを撮り下ろした写真家、高木由利子。「KYOTOGRAPHIE」でもディオールは特別コラボレーションとして、ファッションや人体を通して「人の存在」を独自の視点で長きにわたり追い求めてきた写真家、高木由利子の個展「PARALLEL WORLD」をサポート。12カ国で撮影した日常的に民族衣装を纏う人々、また80年代からのディオールを含むファッションフォトを展示。

1626年建設とされる重要文化財、二条城 二の丸御殿 台所・御清所を舞台に、巨大な障子に和紙にプリントした写真を貼り、光による変化を写真の裏側からも見せた展示や、建物の中から鑑賞する庭での展示など、建築家、田根剛が手がけたセノグラフィー(視覚、聴覚といった知覚、空間など広い領域の監修)との融合が見どころ。高木由利子と田根剛による特別インタビューもチェックして出かけてほしい。

高木由利子「PARALLEL WORLD」 Presented by DIOR 二条城 二の丸御殿 台所・御清所 ©︎ Kenryou Gu-KYOTOGRAPHIE 2023
高木由利子「PARALLEL WORLD」 Presented by DIOR 二条城 二の丸御殿 台所・御清所 ©︎ Kenryou Gu-KYOTOGRAPHIE 2023

ココ・カピタン×ロエベ財団@大西清右衛門美術館ほか

ロエベ財団はロエベ・ジャパン50周年を記念し、京都で茶の湯釜工芸を400年受け継ぐ「釜師」の大西清右衛門家へ6年間の継続的活動支援を開始。大西清右衛門家と次世代を担う15歳の子息、清太郎氏の姿を、ファッションブランドとのコラボでも知られるスペイン生まれの若手注目アーティスト、ココ・カピタンが昨年京都で撮影。ロエベ財団では共同協賛を含め、ココ・カピタンによる3カ所の展示をサポート。伝統的な家柄に育った少年少女の姿を捉えた作品からは、無邪気さと希望、宿命の狭間で揺れ動くティーンエイジ特有の空気感が伝わる。

ココ・カピタン「Ookini」 With the support of LOEWE FOUNDATION 大西清右衞門美術館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023
ココ・カピタン「Ookini」 With the support of LOEWE FOUNDATION 大西清右衞門美術館 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023

ココ・カピタン「Ookini」 With the support of LOEWE FOUNDATION and HEARST Fujingaho ASPHODEL ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023
ココ・カピタン「Ookini」 With the support of LOEWE FOUNDATION and HEARST Fujingaho ASPHODEL ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023

石内都・頭山ゆう紀×ケリング「ウーマン・イン・モーション」@誉田屋源兵衛 竹院の間

グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガなどを有するグローバル・ラグジュアリー・グループ、ケリングが、芸術や文化の分野で活躍する女性の才能に光を当てることを目的とする「ウーマン・イン・モーション」。3年連続のサポートとなる今回は、女性写真家の認知度向上を目的に、石内都と頭山ゆう紀、世代の異なる二人の女性写真家の展示「透視する窓辺」を支援。

石内都は母親を一人の女性として捉え、遺品を撮影した「Mother’s」シリーズから、頭山ゆう紀は友人の死をきっかけとする「境界線13」シリーズと祖母を介護し、看取るまでの日々を写し出した新作を発表。1919年完成の大店町家と呼ばれる風格のある空間での展示で、女性ならではの繊細な視点が強く浮き彫りになっている。

石内 都・頭山ゆう紀 「A dialogue between Ishiuchi Miyako and Yuhki Touyama|透視する窓辺」 With the support of KERING’S WOMEN IN MOTION 誉田屋源兵衛 竹院の間 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023
石内 都・頭山ゆう紀 「A dialogue between Ishiuchi Miyako and Yuhki Touyama|透視する窓辺」 With the support of KERING’S WOMEN IN MOTION 誉田屋源兵衛 竹院の間 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023

KYOTOPHONIE×ボッテガ・ヴェネタ

今回初めての試みとなる音楽のフェスティバル「KYOTOPHONIE」を、メインスポンサーとしてサポートするのはボッテガ・ヴェネタ。“アフリカの黄金の声”と称されるレジェンド、サリフ・ケイタは、東福寺塔頭 光明院の重森三玲が作庭した枯山水庭園を舞台にアフリカの伝統楽器でトリオ演奏を披露。禅院の神聖な空気感のなか、美しい音色に酔いしれた。GW中にはパリを拠点に活躍する若き作曲家・ピアニストの中野公揮と、ベネズエラ出身のヴォーカリスト・ピアニストのラ・チカや、文楽人形遣いの吉田簑紫郎との共演なども予定されている。

サリフ・ケイタ 東福寺塔頭 光明院 ©︎ Yoshikazu Inoue-KYOTOPHONIE 2023
サリフ・ケイタ 東福寺塔頭 光明院 ©︎ Yoshikazu Inoue-KYOTOPHONIE 2023

このほか「KYOTOGRAPHIE」でのファッションブランド協賛の展示としては、アニエス.bによるデニス・モリス展@世界倉庫なども。それ以外にもコートジボワール在住のジョアナ・シュマリによる写真プリントに直接刺繍を施した作品展@両足院や、ウクライナ出身のボリス・ミハイロフ@藤井大丸ブラックストレージによる、2枚の写真が偶然接着してしまったことから生まれた60~70年代の作品群をピンク・フロイドの音楽にのせたスライドショーも必見。

ジョアナ・シュマリ「Alba’hian」 両足院 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023
ジョアナ・シュマリ「Alba’hian」 両足院 ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023

ボリス・ミハイロフ「Yesterday’s Sandwich」 藤井大丸ブラックストレージ ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023
ボリス・ミハイロフ「Yesterday’s Sandwich」 藤井大丸ブラックストレージ ©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2023

写真と音楽、そして歴史ある京都の街並みが伝える今回のテーマ「BORDER」を読み解きながら、ラグジュアリーファッションブランドの支援への思いも感じ取ってほしい。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023
会期/4月15日(土)〜5月14日(日)※展示、イベントにより開催日異なる
会場/京都市内各所
URL/www.kyotographie.jp/

Edit & Text:Hiroko Koizumi

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DECEMBER 2024 N°182

2024.10.28 発売

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