【連載】「ニュースから知る、世界の仕組み」 vol.40 ルイ・ヴィトン新メンズ クリエイティブ・ディレクターにファレル |Numero TOKYO
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【連載】「ニュースから知る、世界の仕組み」 vol.40 ルイ・ヴィトン新メンズ クリエイティブ・ディレクターにファレル

Sumally Founder & CEOの山本憲資による連載「ニュースから知る、世界の仕組み」。アートや音楽、食への造詣が深い彼ならではの視点で、ニュースの裏側を解説します。

vol.40 ルイ・ヴィトン 新メンズ アーティスティックディレクターにファレル・ウィリアムスが就任

Portrait by Erik Ian
Portrait by Erik Ian

ヴァージル・アブローの後任として、ルイ・ヴィトンのメンズのアーティスティックディレクターにファレル・ウィリアムスが就任することが発表されました。自身のブランド「Billionaire Boys Club」も展開し、これまでもルイ・ヴィトン他、モンクレールやG-STAR RAW、GAPなど数々のファッションブランドともコラボレーションを行ってきたファレルですが、やはり本職はあくまで音楽の世界というイメージで、ルイ・ヴィトンほどの規模のブランドのアーティスティック・ディレクターへの就任はやはりサプライズでした。

ルイ・ヴィトン、メンズ担当デザイナーにファレル・ウィリアムス起用 https://www.asahi.com/articles/ASR2H435YR2HULZU00H.html

個人的には、この10年の少し個性的になりすぎたラグジュアリーファッションの潮流がそろそろスタンダード寄りに戻ってくるのではと感じているところもあり、ファレルの掲示する世界観がどのようなものになるのか、とても気になります。お披露目は6月のパリのメンズコレクションとのこと、さっそく楽しみです。

グッチもアレッサンドロ・ミケーレの退任後、先日新たなクリエイティブディレクターの就任が発表されました。新しいディレクターのサバト・デ・サルノはザ・スターデザイナーというわけではなくどちらかというと著名ブランドのデザインチームで経験を積んだ職人肌のイメージで、先日発表されたグッチのコレクションではまだ移行期ということももちろんあるのだと思いつつも、これまでのミケーレの印象とは様変わりし、目立つスタイルを掲示するというよりも定番に寄せたもので、むしろ仕立てのよさなどを感じさせるものだったことが印象的でした。

バーバリーもリカルド・ティッシの後に新たに、ボッテガ・ヴェネタを辞した後の動向が注目されていたダニエル・リーがクリエイティブ・ディレクターに就任し、先日、新たなロゴが発表されていました。

バーバリーのロゴはつい5年ほど前にも、ピーター・サヴィルのデザインでリニューアルされたばかりのものが今回またアップデートされ、その流れの早さに驚く部分もありながら、それが今のファッションのスピードなのでしょう。とはいえ、スピード感もさすがにそろそろどこかで緩んでいくのではと感じているのは冒頭にも書いた通りで、ダニエルがバーバリーでどんな世界観を繰り広げてくるのかも気になるところです。

ラグジュアリーファッションが、高額なプライシングの時にはコスプレのようにも思えるものも含んだアイコニックなアイテムを背伸びをせずともお遊びで購入できる富裕層のためのものというポジショニングに今後も固定され続けられるとはあまり思えず、リセッションがトリガーになるのか、反動として(特にメンズにおいては)少し大人びた上質で長く使えそうなスタイルがもう少しメインストリームに来るのはどのタイミングでなのか、それはそれで気になっています。

KENZOのアーティスティックディレクターで3シーズン目を迎えたNIGO®もそうだと思いますが、ファレルやダニエルもテイストは違えど、そういう世界観にも対応できそうなセンスの幅をもっていて、時代の流れと彼らが作っていく時代とがどうシンクロしてくのか、ますます見応えがあります。

僕は先日のスーパーボウルのハーフタイムショーでのリアーナの衣裳でも話題になったジョナサン・アンダーソンが手掛けるロエベのファンで、洋服もちょくちょく着ています。

もう就任してから10年近くになろうとしていますが、ジョナサンの得意な、普遍的な異質感に魅了され続けています。奇抜なものも展開しながら思いっきり上質なレザーで超シンプルなライダースを定番としてラインナップしたりといった、ジョナサンの世界観にはある種のマイペース感があるというか、妙な安心感があります。

世界観の触れ戻しというのは起こるだろうなと思いつつ、プライシングについてはなかなか下に戻ることはない気がしています。ラグジュアリーファッションのあるべき姿なのだろうなと思いつつも、いやはや簡単には手が届かないのが現実ですよねぇ。

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Text:Kensuke Yamamoto Edit:Chiho Inoue

Profile

山本憲資Kensuke Yamamoto 1981年、兵庫県神戸市出身。電通に入社。コンデナスト・ジャパン社に転職しGQ JAPANの編集者として活躍。その後、独立して「サマリー」を設立。スマホ収納サービス「サマリーポケット」が好評。

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