香取慎吾、初のアリーナライブ「Black Rabbit」をレポート | Numero TOKYO
Culture / Feature

香取慎吾、初のアリーナライブ「Black Rabbit」をレポート。SEVENTEENとの話題のコラボ曲も初披露。

以前、香取慎吾に「将来の夢はなんですか?」と訊ねたことがある。そのとき、彼は少し考えてから笑顔で「ファンのみなさんの前で『愛してます』と叫んでいることですかね。だからステージの上で、歌っていることかもしれない」と答えた。
“生涯アイドル”──そんな言葉がぴったりな香取慎吾が、2022年8月に開業したばかりの有明アリーナで2日間ライブ「Black Rabbit」を開催。ライブにて、香取慎吾×SEVENTEENによるコラボレーション楽曲“BETTING”も初披露。この贅沢なコラボレーションにまつわるエピソードとともに、1月22日の公演をライブの模様をレポート。

ソロアーティスト・香取慎吾にとって初のアリーナクラスのライブ

“HELLO TOKYO ARIAKE ARENA…”というナレーションとともに、マスクをした香取慎吾が崩れ落ちる。それを見守るのは彼が自ら生み出した“くろうさぎ”……ドラマティックな映像が流れた後、ステージの幕が上がるとシルバーのロングコートに身を包んだ彼が「Metropolis」を歌い始める。

その後、2020年1月にリリースした1stアルバム『20200101(ニワニワワイワイ)』から続けて数曲を歌い上げた後、最初のMCで「みなさん、こんにちは! ようこそ、Black Rabbit in 有明アリーナ。ありがとう!」という言葉の後、はあはあと息を切らして言葉が出てこない彼の姿に会場は笑いに包まれる。
「なんで笑ってるの? みんな笑っているけれど、久々のスタンディングでみんなだって同じ感じでしょ(笑)。楽しい! 最高! こんな大きいところで、一人でライブをする日が来るとは。(会場を見上げて)一番上も見える、ありがとう!」と、ユーモアを交えて会場に集まったファンへ向けて感謝の気持ちを表現した。

MCの後、黒の煌めくタキシードに着替えた彼がステージに現れると、ステージ奥の幕が開けて生バンドが登場。“タキシードが似合うジャズ”をコンセプトにした、2022年4月発売の2ndアルバム『東京SNG』の世界観へと移り変わる。

舞台に使用される色は赤・青・白・黒のキーカラーで統一され、歌と共に流れる背景のグラフィック映像やサーチライト、ダンサーたちの衣装、香取慎吾の衣装もキーカラーに統一され、ファッションを愛する、彼ならではのステージの“魅せ方”に脱帽。着用しているブラックのタキシードの裏地は赤、そして黒の靴の底までしっかりレッドソールにしていた、ファッションの細部に至る彼のこだわりをNumero TOKYOは見逃していない。衣装を含めた演出、構成はすべて彼自身によるもの。香取慎吾の今の気分、センス、長年の経験で培ったアーティストとしての感性……彼だけにしか生み出すことのできないエンターテイメントを追求したステージを見事に作り上げていた。

「こんがらがって」「Slow Jam」「シンゴペーション」を東京SNGバンド・ダンサーとともに歌い上げた後、再びMCへ。
「YES! COM’ON! YES! 汗で! 溺れそうだぜ!」と、ユーモアを交えてファンへ挨拶。

「最高の景色です。本当。明治座や京都劇場でもショーをさせてもらったんですけれど、こんな大きな会場で一人でライブをする日が来るなんて。本当に感激です。ありがとう」と言って、深く長い、心を込めたお辞儀をした。会場は大きな拍手に包まれると、「拍手で泣かすなよ(笑)」と。

「さっきね、吾郎ちゃんから電話があって。昨日ね、見に来てくれたんです。(略)昨日来ていることを、僕が本当に忘れてました(笑)。終わった後にスタッフから聞いて。はじまる前に言ってくれって(笑)。僕も聞いてたはずなのに、やっぱりさすがにいっぱいいっぱいだったのかな……稲垣吾郎が来てることをまったく忘れてる。それで今、本番直前に電話があって。(稲垣さんから)電話があるときって、ほとんどないんですよ。いろいろと事件があったときにしか(電話が)鳴らない稲垣さんから『よかったよ、昨日。あの曲で泣けたよ』とか、『涙しちゃった』『本当に素晴らしいショーだった』って言ってもらえて。吾郎ちゃんと僕が出会ったのはね、僕が小学校5年生の頃。その頃からずっと一緒にいるのも、嫌になっちゃうよね(笑)。そんな吾郎ちゃんが誉めてくれまして、『自分の方を見て手を振ってくれるときの嬉しい想いって、こういう感じなんだ』って(笑)。今さら?(笑)……だからこれからは、稲垣吾郎がたくさん手を振ってくれると思います」

「今日はね、草彅剛が来てないんですよ。つよぽんはずっと来たい、来たいと言ってくれてたんですけど。ドラマ(『罠の戦争』)の方が本当にお忙しいみたいで。明日だね、第2話! 11話あるみたいなので、最後まで応援しましょうね。僕も主題歌を歌わせてもらっているので(笑)」

MCの後に歌った「Happy BBB」のステージには、くろうさぎも登場し、香取慎吾と一緒に会場に足を運んだ人々全員の誕生日を祝った。それから4曲披露した後、最後のMCタイムへ。

「楽しい時間はあっという間。今日は皆さんどうもありがとうございました。子どもの頃からステージで踊って、歌ってきた。この間、大阪城ホールでファンミーティングをさせていただいて、子どもの頃の思い出が一瞬にして脳裏に蘇ってきた。すごい緊張感……大先輩のバックで踊ったときのことを思い出しました。本当に子どもの頃。平成じゃないからね。昭和だよ(笑)。昭和に僕はもうステージに立っていた(笑)。改めてこうやって、こんな大きなところで、みなさんと楽しい時間を過ごせていただいているのは、本当に信じられないな。嬉しくて」

「子どもの頃にステージに立って、僕も後ろで踊ってたんだけど、先輩たちのように前で踊って、こんなスポットライト浴びたいって思ってた。そこから、いろんな会場でコンサートができて、大きなところもやらしてもらった。小学生の頃、マイケル・ジャクソンの東京ドームのショーを見に行った。そしたら、マイケルと目が合った気がした(笑)。それから、初めて東京ドームでライブをやらせてもらうときに、ステージに手をついて『マイケル、やっとここまで来たよ』って言った。

その後、もう1回ステージに手をついて『1回、ステージから降りるね』ってマイケルに言った……。それからまた、明治座でのショーができて、京都劇場でもできて。昨日、今日とこんな大きなところで大好きな歌、ダンス、みんなの笑顔を見ることができて、本当に幸せです。ありがとう。最近はみなさんと会える時間もちょっと減ってしまって。長いコロナ禍の中で寂しい時間もあったけど、こんなに楽しい時間がやってきた。だから今、今日はもう本当に幸せ。これからもずっと、ずっとみんなと一緒に楽しい時間を過ごしましょう。明日も生きましょう。一緒に頑張りましょう」

どんな痛みも感じながら
どんな未来が描けるかな?
解き放たれた感情を
So just believe in myself.

BiSHとコラボレーションしたメッセージ性にあふれる楽曲「FUTURE WORLD」で舞台の幕が閉じる──。

アンコールでは、SEVENTEENとのコラボレーション楽曲“BETTING”も初披露。昨年、11月に東京ドームで開催された『SEVENTEEN WORLD TOUR[BE THE SUN]- JAPAN』のライブ中に、SEVENTEENのメンバーがSMAPの「世界で一つだけの花」を歌い出し、ライブを見に来ていた香取慎吾を紹介する一幕があった。

「ちょうどSEVENTEENがLIVEのために来日していたときに、“BETTING”を一緒にレコーディングしたんです。そしたら、『ライブもぜひ観に来ていただけませんか?』って。『絶対行きたいよ!』と行かせていただいたんです。さらっと誘っていただいて、さらっと東京ドームに行ってみたら……この5万人のなかで、僕しか想っていないだろうなっていう、ぐっととくる不思議な感情になりました。お客さんのいないドームでリハーサルしていたなとか、その辺に座って舞台を見ていたなとか。あっち(ステージ)からの景色も僕は知っているから、彼らのLIVEを見ながら、懐かしいな〜って思い出すことがいっぱいありました」

「SEVENTEENとのコラボレーションは、コロナ禍で直接会うことができず、半年ぐらいずっとリモートで打ち合わせを。WOOZIくんと、何度リモートでお話ししたことか。直接会えないということに加えて、言葉も違って通訳も入らなければコミュニケーションできなかったので、いろんなことが挑戦でした。でも、めちゃくちゃかっこよくなりました!」

「最高でした。
香取慎吾史上アリーナ希望でのライブデビューになりました。
ここが新たな始まりで、
応援してくれるみなさんと音楽でもっとつながって、
いつまでも笑顔をつむいでいきたいです」

と香取慎吾が語ったように、彼自身はもちろん、バンド・ダンサーメンバーも全員が楽しんでステージに立つことを喜びと感じる、幸福感あふれたライブに。

『20200101』と『東京SNG』の2つのアルバムが見事に一つに融合したライブ「Black Rabbit」は、自分らしいエンターテイメントを心から喜びを持って創る、エンターテイナー香取慎吾の現在地を感じられるライブに。これからの未来、彼が生み出すエンターテイメントから目が離せない。

「Black Rabbit」は、3月14日(火)、15日(水)に神戸ワールド記念ホールでも公演される。

Text:Hisako Yamazaki

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