見たことない!を届ける気鋭の表現者たち。vol.6 無駄づくりクリエイター・藤原麻里菜 | Numero TOKYO
Culture / Feature

見たことない!を届ける気鋭の表現者たち。vol.6 無駄づくりクリエイター・藤原麻里菜

「これいったい何!?」と思わず見入ってしまうような“普通じゃない”を覚える作品に、いまワクワクが止まらない。 それらを生み出し、私たちの感性を刺激してやまないアーティストやクリエイターをピックアップ!
第6回は無駄づくりクリエイター・藤原麻里菜(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』12月号掲載

クスッと笑える“無駄”なものを作りたい

『イヤホンケーブルを絡ませるマシーンでイヤホンを絡ませて、またほどく』2022年/今年8月にマイラボ渋谷で開催された展示は「無駄な時間」をテーマに5〜6点の作品を披露。「イヤホンケーブルを絡ませるマシーン」では、人工的に絡ませたイヤホンケーブルをひたすらほどく作業を体験できるインタラクティブな作品だ。「イヤホンケーブルが絡まるというストレスをあえてマシーンが再現するのが面白いなと」。他にも、永遠に舞うビニール袋を見張るなど、無駄な時間を体験できる展示内容が話題に。
『イヤホンケーブルを絡ませるマシーンでイヤホンを絡ませて、またほどく』2022年/今年8月にマイラボ渋谷で開催された展示は「無駄な時間」をテーマに5〜6点の作品を披露。「イヤホンケーブルを絡ませるマシーン」では、人工的に絡ませたイヤホンケーブルをひたすらほどく作業を体験できるインタラクティブな作品だ。「イヤホンケーブルが絡まるというストレスをあえてマシーンが再現するのが面白いなと」。他にも、永遠に舞うビニール袋を見張るなど、無駄な時間を体験できる展示内容が話題に。

「NHKのTV番組『ピタゴラスイッチ』に出てくるカラクリ装置が作りたくなって、1週間かけて巨大なマシーンを制作。ただ、頑張って作ったわりにはゴミみたいなものができてしまって(笑)。でも、これを失敗にしたくない。“そうだ、無駄なものを作ったんだということにすればいいんだ”と思い、それから無駄づくりが始まりました」

「制作は“こんなものがあったらいいな”という妄想から始まります。例えば、“抜けどきがわからないオンライン飲み会を脱出したい”とか“彼氏にキスで起こされてみたい”とか。“不毛な飲み会から離れたい”“彼氏が欲しい”という感情もマシーンにすることで、笑えるものに昇華できるところがいい。無駄づくりは私の中で子ども時代のモノづくりの楽しさの延長線上にあるもの。こだわりすぎないところがこだわりで、クオリティを追求するよりも、思いついたらすぐに作ることを大事にしています」

『友達いないけど自撮り棒買ったから、改造してみた』2015年/「“自撮り棒を買ったから、友達と一緒に写真を撮りたい”という妄想から生み出しました」。人物の写真を切り抜き、自撮り棒にくっつけたことで、セルフィーすると友達と一緒にいるような写真が撮れる。
『友達いないけど自撮り棒買ったから、改造してみた』2015年/「“自撮り棒を買ったから、友達と一緒に写真を撮りたい”という妄想から生み出しました」。人物の写真を切り抜き、自撮り棒にくっつけたことで、セルフィーすると友達と一緒にいるような写真が撮れる。

「完成した機械は実際に使用しているところを映像に収めてYouTubeにアップ。映像に関してはデヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』の世界観が理想です。主人公がエレベーターを閉めようとするけれど、なかなか閉まらないというシーンがあって、その間が好きなんです。そうした独特の空気感を無駄づくりの映像世界で表現したいなと思っています」

「Netflixを見たり、友達と話したり、そういうときにふと“ああ、こういうことってあるよな”というネタが浮かびます。逆にアイデアが浮かばなければ無理に作ろうとはしません。余裕があるときじゃないとひらめかない。なので、いかにして心に余裕を持てるかが制作の大動脈になっています」

『ZOOMをガチャ切りできる受話器デバイス』2021年/オンラインミーティングの終盤、退出ボタンを探す気まずい空気を解決するためにZOOMをガチャ切りできる受話器デバイスを発明。オンライン会議が始まったら、受話器を取り、ボタンを押すと画面共有、カメラの切り替え、ミュートの解除もできる優れもの。「アナログなデバイスをつなげたことで不思議な見た目に。この作品を見た方から“ZOOMを使い慣れていない年配の方にお勧めしたい”といった意外な反応もありました」
『ZOOMをガチャ切りできる受話器デバイス』2021年/オンラインミーティングの終盤、退出ボタンを探す気まずい空気を解決するためにZOOMをガチャ切りできる受話器デバイスを発明。オンライン会議が始まったら、受話器を取り、ボタンを押すと画面共有、カメラの切り替え、ミュートの解除もできる優れもの。「アナログなデバイスをつなげたことで不思議な見た目に。この作品を見た方から“ZOOMを使い慣れていない年配の方にお勧めしたい”といった意外な反応もありました」

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Interview & Text:Mariko Uramoto Edit:Sayaka Ito, Mariko Kimbara

Profile

藤原麻里菜Marina Fujiwara 1993年、神奈川県生まれ。頭の中に浮かんだ不必要なものをなんとか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、2013年からYouTubeを中心にコンテンツを展開。18年には国外での初個展「無用發明展- 無中生有的沒有用部屋in台北」を開催した。21年、Forbes Japan「世界を変える30歳未満の30人」に入選。著書に『考える術』(ダイヤモンド社)ほか。10月よりラジオ番組「GRAND MARQUEE」(J-WAVE)ナビゲーター。

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