見たことない!を届ける気鋭の表現者たち。vol.6 無駄づくりクリエイター・藤原麻里菜
「これいったい何!?」と思わず見入ってしまうような“普通じゃない”を覚える作品に、いまワクワクが止まらない。 それらを生み出し、私たちの感性を刺激してやまないアーティストやクリエイターをピックアップ!
第6回は無駄づくりクリエイター・藤原麻里菜(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』12月号掲載)
クスッと笑える“無駄”なものを作りたい
「NHKのTV番組『ピタゴラスイッチ』に出てくるカラクリ装置が作りたくなって、1週間かけて巨大なマシーンを制作。ただ、頑張って作ったわりにはゴミみたいなものができてしまって(笑)。でも、これを失敗にしたくない。“そうだ、無駄なものを作ったんだということにすればいいんだ”と思い、それから無駄づくりが始まりました」
「制作は“こんなものがあったらいいな”という妄想から始まります。例えば、“抜けどきがわからないオンライン飲み会を脱出したい”とか“彼氏にキスで起こされてみたい”とか。“不毛な飲み会から離れたい”“彼氏が欲しい”という感情もマシーンにすることで、笑えるものに昇華できるところがいい。無駄づくりは私の中で子ども時代のモノづくりの楽しさの延長線上にあるもの。こだわりすぎないところがこだわりで、クオリティを追求するよりも、思いついたらすぐに作ることを大事にしています」
「完成した機械は実際に使用しているところを映像に収めてYouTubeにアップ。映像に関してはデヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』の世界観が理想です。主人公がエレベーターを閉めようとするけれど、なかなか閉まらないというシーンがあって、その間が好きなんです。そうした独特の空気感を無駄づくりの映像世界で表現したいなと思っています」
「Netflixを見たり、友達と話したり、そういうときにふと“ああ、こういうことってあるよな”というネタが浮かびます。逆にアイデアが浮かばなければ無理に作ろうとはしません。余裕があるときじゃないとひらめかない。なので、いかにして心に余裕を持てるかが制作の大動脈になっています」
Interview & Text:Mariko Uramoto Edit:Sayaka Ito, Mariko Kimbara