Art / Feature
結論から言おう。ビジュアル表現の世界は今、かつてない転換期を迎えている。そもそもCG(コンピューターグラフィックス)は映画をはじめ、現実には不可能な情景を描き出す手法として発展した。それがスマートフォンのUI(ユーザーインターフェイス)など、人々と情報世界の接点として拡大。そして、来(きた)るべきメタバースの時代。CGは“世界そのものの創造手段”として、別次元の進化を遂げようとしている。
この流れは、同領域の最前線を走り続けてきたWOWの活動とも重なる。映像制作に始まり、UIや空間インスタレーション、現実認識を揺さぶるアート作品、設立地・東北の伝統文化を継承する取り組みまで。その彼らが今、見据えるものとは何か。これまでの軌跡を集約した20周年展(2018年、表参道・スパイラル)から一転、今回は大型の新作群に注力するという。
テーマは「unlearning(学習棄却)」——学び得た物事を自らの手で解き直し、新たな形で血肉化すること。これは、機械学習などAIが自動生成する映像空間=メタバースの進展を見据えた試みではないか。視覚表現の行方が問われる2022年。時代の転換点にWOWがくゆらせる覚悟の狼煙(のろし)、そのインパクトを体感せよ。
WOWが切り拓く映像表現の新境地「Unlearning the Visuals」展
『祝彩風祭』(Director:工藤薫)東北の祝祭行事を再構築した作品。 © 2022 WOW inc.
ブランドの映像から体験型アート作品まで、世界を牽引してきたビジュアルデザインスタジオWOW。設立25周年の節目に臨み、巨大な展示空間を出現させる。時は今、視覚表現の転換点がここに。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年11月号掲載)
『回す』(Director:中野雄太/柴田大平)日常的な“回す”動作で映像を展開させる。 © 2022 WOW inc.
結論から言おう。ビジュアル表現の世界は今、かつてない転換期を迎えている。そもそもCG(コンピューターグラフィックス)は映画をはじめ、現実には不可能な情景を描き出す手法として発展した。それがスマートフォンのUI(ユーザーインターフェイス)など、人々と情報世界の接点として拡大。そして、来(きた)るべきメタバースの時代。CGは“世界そのものの創造手段”として、別次元の進化を遂げようとしている。
『Refraction』(Director:中路琢磨)曲面アクリルの屈折効果で、脳の補完作用を喚起する作品。 © 2022 WOW inc.
『モーション・モダリティ/風の痕跡を持つ通路』(Director:安斉史人)風で揺れる木漏れ日の気配に満ちた通路空間。 © 2022 WOW inc.
この流れは、同領域の最前線を走り続けてきたWOWの活動とも重なる。映像制作に始まり、UIや空間インスタレーション、現実認識を揺さぶるアート作品、設立地・東北の伝統文化を継承する取り組みまで。その彼らが今、見据えるものとは何か。これまでの軌跡を集約した20周年展(2018年、表参道・スパイラル)から一転、今回は大型の新作群に注力するという。
『Viewpoints』(Director:近藤樹)体験者の視点によって景色を再構成する試み。 © 2022 WOW inc.
テーマは「unlearning(学習棄却)」——学び得た物事を自らの手で解き直し、新たな形で血肉化すること。これは、機械学習などAIが自動生成する映像空間=メタバースの進展を見据えた試みではないか。視覚表現の行方が問われる2022年。時代の転換点にWOWがくゆらせる覚悟の狼煙(のろし)、そのインパクトを体感せよ。
本展のキービジュアル © 2022 WOW inc.
「Unlearning the Visuals」
会期/2022年10月15日(土)〜30日(日)
会場/寺田倉庫 E HALL
住所/東京都品川区東品川2-1-3
https://25ex.wow.inc/
※最新情報は上記サイトを参照のこと。
Edit & Text : Keita Fukasawa