いま買うべきアーティスト、教えます vol.1 山本憲資
初めてアートを買いたい人、新たな作品に出合いたい人必見! 長年アートを見続けているクリエイターやライター、ギャラリーのディレクターたちが注目するアーティストを紹介。作品は3~100万円のものまで。あなたの心にささる作品を見つけてみて。きっと楽しい景色が待っているはず。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年6月号掲載)
Navigator 01|Sumally Founder & CEO 山本憲資
作家自身のユニークな設定と世界観の深掘り具合が魅力
「アートは作家の描く世界の見方に共感を抱けるか、フィーリングが合うかを考えながら鑑賞するとより楽しめると思います。ユアサ エボシは独自の世界観の深掘り具合に惹かれました。また“大正生まれの架空の三流画家であるユアサヱボシ”という作家自身のユニークな設定も面白い。初めて見た彼の作品がこの3部作。いろいろな境界を曖昧にしているような世界観の設定と画力の高さに驚きました。作家が提示する世界のウィットを理解でき、その世界の住人になれそうだなと思う人にはぜひ手に取ってもらいたいです」
【ユアサ エボシ】
1983年生まれ、千葉県出身。2008年、東洋美術学校絵画科卒業。大学卒業後に就職した金融関係の会社が半年後に倒産。その後画家になることを決意し美術学校に進学。架空の略歴や綿密な設定をもとにシュルレアリスムの影響を受けた表現を行う。最近の参加展覧会は「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」(2022年、東京庭園美術館)など。Instagram:@ebosi_yuasa
カオスなワールドの中に孤独な美しさを感じる
「佐藤允は自分の心と向き合い命を絞り出しているような作風で、孤独な美しさがあるところに惹かれます。中でも花が描かれているこの作品は珍しく、アーティストの世界が持つ色みはそのままに、自宅にも飾りやすいモチーフだったことに惹かれ、こちらの作品は購入しました。アートとの出会いは恋愛のようなもので、選ぶときに何より大事なのは自分の心に響くかどうかだと思います。彼が抱えているような人生の愉しさや悲しさ、孤独の愛などアーティストの心像に共感を覚える人に楽しんでほしいです」
【佐藤允|さとう・あたる】
1986年生まれ、千葉県出身。2009年に京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科先端アートコースを卒業。現在は東京を拠点に制作。鉛筆による緻密な描写や独特の筆致で恐怖、恋愛などを描く作品が特徴的で、近年の主なグループ展は「第8回光州ビエンナーレ」(19年)、「ヨコハマトリエンナーレ2011: OUR MAGIC HOURー世界はどこまで知ることができるか?ー」(11年)など。kosakukanechika.com
※価格は4月8日現在のものです。
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Text:Saki Shibata