ブレイク間違いなしのいち押しアーティストたち【6】書道家 万美 | Numero TOKYO
Culture / Feature

ブレイク間違いなしのいち押しアーティストたち【6】書道家 万美

米原康正が太鼓判を押す7人のアーティストにインタビュー。 いま最も勢いのある彼女たちの作品とともにそこに込めた想いや、これからの展望について聞いた。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』3月号掲載)

「ヒップホップやクラブカルチャーを愛する彼女だからこその“ストリート”な書道に、ちょっともうこれすごくいいじゃんって。街の壁に水でマルを描くパフォーマンスなんて、グラフィティの一種だよね。かっこいい」by 米原康正

漸進する書道で世の中を変えていく

「円相」2018
「円相」2018

世界をつなげる、筆で書く円

──ご自身の書道のスタイルはいつ頃、確立されたのですか?

「小学生の頃にお習字に惹かれて、9歳から18歳は書道教室に通っていました。それで書道を学べる大学へ進学して学んでいく過程で、中国の北魏時代の文字にとてもハマり、大学時代はその文字をベースに書き続けました。そのかたわらヒップホップが好きで、リリックの強さや音の重さが自分の底力にブーストをかけてくれたおかげで、今のスタイルを創り上ることができました」

「Water Circle」2021

──円を書く意味は何でしょうか。

「ボランティアでアフリカのマラウイへ行ったときに、自分の名前さえ書けない大人や子どもたちがいることにショックを受けて。そのときに『この人たちにも伝えることができるような、言葉の壁を超えて皆が楽しめる書道とは何だろう』と考えたんです。そこからみんながコミュニケーションを取れる共通言語を書きたいなと思い、2年くらい考えて円(マル)を書くことにしました。円にはゼロ=0のように始まりという意味や、すべてを共有するという意味もある。それと禅の心で、書道で書いた円を見ることで今の自分がわかる、自分の心を映し出す鏡としての『円相』というものがあるんですが、そんな意味も込めて円にしたんです」

──書道を通じて伝えたいことは?

「オリジナリティに関しては考えています。私の場合は書道をやりながらヒップホップが好きで、その二つを掛け合わせただけですごい個性になる。なので好きなことに素直に、やりたいことに忠実に。それが書道を通じて私が伝えたいことですね」

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Interview & Text:Kana Yoshioka

Profile

書道家 万美MAMIMOZI 書道家。山口県下関出身。9歳で筆を持ち、高校時代より書家を志す。古典に立脚した書道と、さまざまなカルチャーの共通点を見いだし、数多くのコラボレーションを実現。中でもグラフィティと書道を同じ視覚的言語芸術として捉えた「Calligraf2ity」が高い注目を浴び、国内外にて個展やパフォーマンスを行う。
Instagram:@mamimozi

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