Culture / Feature

【年末K-POP大忘年会】pt.1 ―2021年のK-POPを象徴する1曲はコレだ!

韓国国内はもとより、日本をはじめとするアジア各国、北米や南米、ヨーロッパなど、世界中のチャートを賑わせているK-POP。カルチャーを掘るなら、もはやK-POPはマストチェックです。そこで、K-POPグループの日本語ボーカルディレクションなどを手がけるNICE73(ナイスナナさん)を中心に、ファッション界のK-POPオタクが集まり、2021年のK-POPを振り返りました。

【K-POP忘年会参加者】


NICE73(Twitter:@nice73
韓国にて歌手として活動後、K-POPグループの日本語の訳詞、日本オリジナル楽曲の作詞、作曲、レコーディングボーカルディレクションなど、制作にも携わる。近年、韓国関連の各種イベントでMCや、テレビやラジオのナレーションを担当。Numero.jpでは「大人のためのK-POP入門」に登場。

Taro Kondo(Instagram:@tarolingal
PR・ディレクター。ブランドのPRや撮影のディレクション、キャスティング、イベント企画などを手がける。大のK-POPファンで渡韓経験も多数。中でもBTSとTWICEは特別な存在で、TWICEのカバーダンスチームも結成。

藤林美紀(Instagram:@mikittyisland
PR・セールスコーディネイター。ファッション、ビューティなど手がけるジャンルは多岐に渡る。エシカル・コンシェルジュ。元々ジャニヲタで、今もSMAPは神的存在。推しはBTS、ENHYPEN。韓国ドラマにもどっぷり。

柴田紗妃(Instagram:@sakisakishibata
Numero TOKYO編集部ファッション・フィーチャー・エディター。ファッション撮影を始め、話題のトピック、カルチャー、ライフスタイルなど幅広く担当。国内外のテレビドラマを深く愛するドラマオタクでもある。推しはBTSという生粋のARMY。

梶山史織(Instagram:@shiorikajiyama
Numero TOKYO編集部ファッション・エディター。ファッション撮影のディレクションやスタイリング、カルチャーやライフスタイルなどを担当。幼い頃からのダンス経験があ り、ダンサーオタクでもある。K-POPは、SMエンタを中心に幅広く愛する。

松田美保(Twitter:@cosmoshoshima
ライター。カルチャーやライフスタイルを中心に幅広いジャンルで活動。ダンスミュージック好きで、アジアのHIP HOP/R&Bを掘っているうちに気付けばK-POP沼へ。推しはNCT 127、WayV、TREASURE。このK-POP忘年会をどうしてもやりたかった人。

まず、BTS『Butter』について語ろう

松田「NICE73、そしてファッション界のK-POPヲタのみなさん。第1回目は、それぞれの今年のマイベストを発表しつつ、K-POP全体を振り返りたいと思います」

Taro「ONCE(※1)としては、TWICEの3枚目の日本アルバム『Perfect World』も捨て難いけど、世界中の人が衝撃を受けたのはBTSの『Butter』ですよね。昨年の『Dynamite』からの流れを決定付けた1曲です。正直に言うと、『Dynamite』が世界であれだけ大ヒットしたらその後はどうなるのか心配だったけど、私たちの予想を超えてきましたね」

柴田「MVのYouTube再生回数も、24時間で1億820万回を記録しました。すごい数字です」

松田「BTSは今年5月に『Butter』、7月『Permission to Dance』、9月にはColdplayとコラボした『MY UNIVERSE』をリリースしましたが」

Taro「どの曲も好きだけど、私はRMペン(※2)なので、ラップパートがある『Butter』を推したい! 私としては、ラップがあってこそのBTSなので」

梶山「振り付けに携わったのが日本人のダンスグループGANMIというのも嬉しいポイントですよね」

柴田「私のマイベストも『Butter』です! ただ、英語詞の曲が続いたので、韓国語の曲も恋しくもあり……」

Taro「彼らはもはやグローバルアーティストですからね。韓国国内でも、若手グループへの影響も大きかったのでは?」

NICE73「K-POP全体の流れをみると、これまでベースミュージックやプログレッシブハウスの要素を取り入れた楽曲が多かったんですが、昨年の『Dynamite』と今年の『Butter』のヒットから、ディスコファンク調を取り入れた若手グループも多かったですね」

松田「その流れは、来年も続きそうですか?」

NICE73「今年デビューしたEPEXが10月にリリースした『Do 4 Me』がディスコファンクでしたし、中堅から新人まで今年は多くのグループが取り入れてきました。もうちょっと続くかもしれませんね。この曲は、歌い出しが『来世はお姉さんの猫になりたいんだ』という衝撃の歌詞でした」

松田「SHINee以来のヌナ(※3)直撃ソングですね」

藤林「私のマイベストも『Butter』なんですが、ここはあえて、ENHYPENの『Drunk-Dazed』を。オーディション番組『I-LAND』の頃から彼らをずっと応援していて、昨年のデビュー曲『Given-Taken』は、振り付けを何度も練習するくらい大好きな1曲でした。初カムバとなったこの曲も、とても良かった」

松田「このMVには、『I-LAND』出身のKとEJがカメオ出演していることでも話題になりましたよね」

藤林「そうなんですよ。ENHYPENは基本的には箱推し(※4)ですが、今はJAY(ジェイ)、JAKE(ジェイク)、SUNGHOON(ソンフン)の02line(※5)を中心に応援してます。ただ、『I-LAND』の頃からK推しなので、来年の『&AUDITION』(※6)がとにかく楽しみ!」

Taro「私も02line推しだったけど、今年はそこにNI-KIが加わりました。ダンスが上手いのはもちろんだけど、最近、魅力がすごい!」

目が離せない! aespa、NCT 127の独自のサウンド

梶山「私の一曲は、aespaの『Next Level』。K-POP第4世代に圧倒的女王感を知らしめた1曲だと思います」

Taro「彼女たちは昨年がデビューでしたけど、大型新人だと話題でしたよね」

NICE73「それがこの『Next Level』で、国民的な人気にまでブチ上がった印象です。ポイントダンスがお茶の間にまで広がり、今年のCD売り上げの初動枚数も、BLACKPINK、TWICE、IZ*ONEに次ぐ勢いです」

松田「私もaespaに1票。ヒップホップのビートスイッチという手法で、映画『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』のOSTのカバーに、オリジナルのパートを付け加えているんですよね。aespaは次の『Savage』も良かった。プロデュースを手がけたユ・ヨンジンさん、あの人はすごいですね!」

NICE73「NCT 127の『Sticker』もユ・ヨンジンさんが手がけてるんですが、この曲の作家陣には、デム・ジョインツも参加してるんです。彼はYe(カニエ・ウェスト)、クリス・ブラウン、アンダーソン・パークなど錚々たる面々に曲を提供している方なので、レベルが違うサウンドに仕上がっています。NCT 127はリパケの(※7)『Favorite』に収録されてる『Love On The Floor』もビートが素晴らしかった」

梶山「先日公開されたNCT Uの『Universe』は、久しぶりにSHOTAROくんがカムバック! 激しいダンスに目が釘付けでした。チッケムの再生回数も伸びていますよね」

松田「aespa、NCT 127や、EXOなど、SMエンタテインメントのグループは、KWANGYAを越えてKOSMOを目指す『SMCU』(※8)という独自の設定も注目されました」

NICE73「K-POPアイドルのゲーム化など、メタバース構想はHYBEなど各事務所も進めています。今後もこの流れは加速するでしょうね」

松田「ところで、今年のナナさんのベストは?」

NICE73「挙げるとしたら、aespaかNCT 127。あと、ONFの『Beautiful Beautiful』も、文字通り美しい曲でした。人生は芸術だという歌詞もすごく良くて」

松田「2021年の年末に、日本人メンバー・U(ユウ)以外の全員が一斉入隊というニュースもありました。12月にリリースされたミニアルバム『Goosebumps』の最後の曲のタイトルが『Show Must Go On』。FUSE(※9)は絶対に待っていようと思いますよね」

今年のK-POPシーンの重要トピックス総まとめ

松田「今年のK-POPシーンを振り返って、BTSからのディスコファンクの流れのほかに、大きな傾向はありましたか?」

NICE73「昨年のガールズグループは、TWICEの『I CAN’T STOP ME』のような80年代回顧がありましたが、ボーイズグループは今年も808ベースのもの、そこに新しくディスコファンク調のものが増え、そのサブ的な流れとして、かつてのBIGBANGのような00年初期回顧がありました。MIRAEVERIVERYGOLDEN CHILDあたりは、2000年代前半のK-POPを彷彿とさせました。それと、今年はなんといっても『逆走』です」

Taro「Brave Girlsは流行りましたよね。いろんな場所で耳にしました」

NICE73「『Rollin’』は2017年にリリースされたんですが全く売れなくて、彼女たちは軍隊を慰問で回っていたんです。それが今年、除隊した人が俺たちの青春なんだと編集した動画をYouTubeにアップしたら、そこから火がついて、リリースから4年後に音楽番組で1位を獲得しました」

梶山「1位を獲る直前まで、彼女たちは解散する予定で、宿舎の荷物をまとめていたんですよね」

NICE73「軍の慰問から人気が出るって、すごく珍しいことなんです。そのほかにも、今年はYouTubeなどのアルゴリズムで、昔の曲が再浮上することが何度かありました。年始に『みんなの夢が叶いますように』という歌詞の宇宙少女(WJSN)『As You Wish』(2019)、LABOUMの『想像プラス』(2016)があり、Lovelyz『1cm』(2018)もBrave Girlsに続くかと思いきや結局、解散に至りました……。インディーシーンだと、D-Hackの『OHAYO MY NIGHT』も逆走と言われています。しばらくチャート上位をキープしていました」

松田「インディーシーンの話が出ましたが、アイドル以外ではどんな傾向が?」

NICE73「シンガーソングライターの、イ・ムジンさんが20〜30代を中心に大ブレイクしました。個人的に、彼は日本の藤井風さん的な存在だと思っています。彼は今、音大生なんですが、地声で2オクターブ出るんです。『シングアゲイン:無名歌手伝』で注目され、大学の課題提出の辛さを歌った動画がTikTokでバズった後、ドラマ『賢い医師生活2』のOSTの『雨とあなた』、続く『Traffic Light』で音楽番組1位を記録しました。この曲には、J-POPを思わせる美しいメロディとコード進行を感じます」

松田「D-Hackといい、韓国ではJ-POPが注目されているんですか?」

NICE73「ここ数年、インディーシーンでは日本のシティポップがブームなんです。『SHOW ME THE MONEY 10』(※10)でも、sokodomoの『MERRY-GO-ROUND』(feat. Zion.T/ Wonstein/ Prod.Slom)は、椎名林檎さんや槙原敬之さんを彷彿とさせる美メロ。 インディシーンでは、80年代のニュートロから、90年代に移ってきているのかなと思いますね」

次回は、待望のカムバ、涙の解散、興奮のオーディション番組……激動の1年を振り返ります。


【 注釈 】

(※1)ONCE……TWICEのファンネーム。
(※2)ペン……ファンのこと。
(※3)ヌナ……韓国語で、年下の男性が親しい年上女性に向けた呼称。
(※4)箱推し……特定のメンバーではなく、グループ全体を応援すること。
(※5)02line……2002年生まれのこと。
(※6)&AUDITION……HYBE LABELS JAPANが行うオーディション番組。
(※7)リパケ……一度発売されたアルバムに、新曲を数曲加え、新しいジャケットで「リパッケージ・アルバム」としてリリースする、K-POP独特の販売方法。この場合、NCT 127のサードアルバム『Sticker』のリパケが『Favorite』となる。
(※8)SMCU……SMエンタテインメントが提唱するメタバース「SMカルチャー・ユニバース」のこと。現実と仮想の境界なく、世界が文化で繋がった未来のエンターテイメント世界であり、SMが目指すメタバース風未来コンテンツとのことだが、いまだ謎が多い。
(※9)FUSE……ONFのファンネーム。
(※10)SHOW ME THE MONEY 10……「SMTM」や「ショミ」と呼ばれる、「Mnet」の超人気ヒップホップサバイバル番組。

「年末K-POP大忘年会」をもっと読む

「大人のためのK-POP入門」はこちら

Text:Miho Matsuda Edit: Saki Shibata

Magazine

520_表紙

MARCH 2022 N°154

2022.1.28 発売

Culture Call !

ガールズカルチャー最前線

オンライン書店で購入する