Art / Feature
アートとシューズの不思議な関係 【4】舘鼻則孝
靴をめぐるイメージは人それぞれ。ただ足元を彩るだけにとどまらず、私的な記憶から密やかな欲望に至るまで、不思議な魅力が香り立つ。アーティストによる“この一足”を手がかりに、奥深き世界へいざ、ご案内! 四足目は舘鼻則孝。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年9月号掲載)
2018年 Photo by GION ©NORITAKA TATEHANA K.K. Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
舘鼻則孝
『Heel-less Shoes(Lady Pointe)』
舘鼻則孝の代表作『ヒールレスシューズ』は、ファッションアイテムとしての機能を持つ靴を、アート作品として表現する。バレエのトゥシューズをモチーフにした本作は、美しくも画期的なデザインだ。その背景にあるのが、自らが追求する花魁(おいらん)などの文化や歴史、そして工芸の職人による緻密な手仕事。日本で生まれ育ったアイデンティティがいくつも積み重なり、つくられた靴は、ジャンルや文化、国などの垣根も超えていく。
Text : Akane Naniwa Edit : Keita Fukasawa
Profile
舘鼻則孝Noritaka Tatehana
1985年、東京都生まれ。日本古来の文化と現代の要素を組み合わせながら、新たな視点と世界観を吹き込んだ作品を発表。なかでも花魁の高下駄から着想を得た『ヒールレスシューズ』が、レディー・ガガの衣装に採用され大きな話題に。近年は日本各地の伝統工芸士との創作活動にも力を注いでいる。メトロポリタン美術館(米・ニューヨーク)など、美術館のパーマネントコレクションへの収蔵も多数。