福士リナ、アートバーゼル マイアミビーチで開催の「Desigual」のショーへ | Numero TOKYO
Art / Feature

福士リナ、アートバーゼル マイアミビーチで開催の「Desigual」のショーへ

2019年12月、アートバーゼル マイアミビーチにて「デシグアル(Desigual)」の2020年コレクションが発表された。ショーを体験するため、マイアミに駆け付けたモデルの福士リナさんに密着。

「Love different(違いを愛する)」をスローガンに掲げたデシグアル2020年のコレクション。写真家・クリエイティブディレクターのカルロタ・ゲレーロ(Carlota Guerrero)の演出により、服を見せるためのショーという枠を超え、美しくパワフルなアートパフォーマンスとしてデシグアルの世界を表現した。まさに、アートバーゼル マイアミビーチという舞台にふさわしい内容。さらに同期間中、バルセロナのマルチアーティスト、ミランダ・マカロフ(Miranda Makaroff)とのコラボアイテムのローンチイベントも開催。日本から駆けつけた、モデルの福士リナさんが見て感じた、デシグアルのショーやイベント、アート一色に染まったマイアミの街とは?

Rina in Miami DAY 1

Desigual❤ Miranda Makaroff のローンチパーティにて

マイアミに到着した夜、まず向かったのは、 Hotel Nautilus by Arloを会場に行われていたマルチアーティスト、ミランダ・マカロフ(Miranda Makaroff)とコラボレーションしたカプセルコレクション2020ssのお披露目パーティ。プールサイド・ガーデンにポップアップショールームと巨大なアート作品「エヴァ」が出現。

バルセロナ生まれのミランダ・マカロフは、画家、イラストレーター、デザイナー、DJと多彩な顔を持つマルチアーティスト。ピンクに包まれた部屋には、彼女がインスパイアされたイビザ島や地中海の島々、自然と共生する世界、活気に満ちた喜びを感じさせるコレクションが並ぶ。自然と官能的なモチーフをコラージュしたデザインと、ヴィヴィッドな色彩が組み合わさったプリントは、性とその喜びに対する際限のない愛、ポジティブな感情といったミランダのメッセージそのもの。またバーの横で存在感を放つ立体作品「エヴァ」は、女性器の形をした小さな入口から中へ入ることができるインスタレーションになっていて、そこには旧約聖書内の“アダムとエヴァ(アダムとイブ)”のエヴァの世界が広がる。

内側は全面ピンク、空気で膨らませたフワフワ柔らかい床の上に5人のカラフルな女性たちが絡み合う彫刻。ミランダ・マカロフの2020 SSカプセルコレクションの一部を身に着け、その周りにはまるで彼女たちが脱いだかのように洋服が宙に舞っている。この作品は、実際に本コレクションでプリントされているヌードの世界を、体感できる展示として再現したものだとか。

「まっすぐだからこそ受け取れる感情や感性の鋭さがコレクションや作品にも表れてる気がします。一見すると、チャーミングでポップなデザインや見た目だけど、それだけではない要素が自然にまとめられている気がします」

“私たちはエヴァが罪人だといつも言われましたが、喜びの偉大な発見者である彼女に私たちは感謝すべき。退屈な楽園にいるよちも、悪徳と矛盾を持って地球上にいる方が良いと思います”と、この展示を通してエヴァの物語を変えたいというミランダなりの解釈が込められている。

「大胆なプリントと色使いなので派手かと思いつつ、着ると馴染んで可愛い。ひと目で彼女の作品と見てわかるぐらいの主張の強さもしっかりあってアートのような服なので素敵でした」

日本から一緒に参加した、モデルの石倉ノアさんとミランダを囲んで。
日本から一緒に参加した、モデルの石倉ノアさんとミランダを囲んで。

「ミランダはすごく可愛らしくて気さくで、誰とでもフラットな人間関係を築ける人なんだろうなというのが第一印象です。そして素直な人なんだろうな。自分に正直な人って内側から可愛らしさや愛嬌、芯の強さが滲み出てくると思うけど、まさにそんな人で、とても魅力的でした」

DAY 2

マイアミのビーチとアートバーゼルを満喫

マイアミを訪れるのは初めてで楽しみにしていたというリナさん。

「季節は冬なのに、陽気な気候が最高です。アール・デコの建物の街並みもすごいキレイでおしゃれだし、そこらじゅうにヤシの木が生えていて、街の景色と馴染んでいて、それも素敵でした」

マイアミビーチを散歩。ホテルからすぐの砂浜で海を眺めながら。

デザイン・ディストリクトにオープンした、ファレル・ウィリアム プロデュースの人気レストランでランチ。白を基調にピンク、ミントグリーンのパルテルトーンのインテリアもおしゃれ。グリーンの植物に囲まれたテラス席は風も通って気持ちいい。

メニューは世界各地のエッセンスを織り交ぜたフュージョン料理らしく、一つ一つが凝っていて、食事中の会話も弾みそう。

ランチの後は、アートバーゼル・マイアミビーチ見学。世界中から集まったギャラリーとアーティストの膨大な数の作品が一堂に介し圧巻のスケール。とても半日では回りきれなかったけれど、様々なアートに出会い、リナさんもインスピレーションをいっぱいもらったよう。海外での人気も高い、草間彌生の花の彫刻作品を発見!

DAY 3

感動のパフォーマンスショー“Love different”

今日のスタイリングは、黒のパンツスーツでシックに。
今日のスタイリングは、黒のパンツスーツでシックに。

いよいよ今夜、今回の旅のメインイベント、2020年コレクションが発表されるショー会場へ。まずは、2020年コレクションのラインナップをいち早く紹介している展示スペースへと案内される。ドリンク片手に、新作を手に取りながら、今か今かと、ショーの始まりを待つ。

気になったデニムジャケットを手に取り早速試着。
気になったデニムジャケットを手に取り早速試着。

ようやく準備が整い、ショーの行われるスタジオへ移動。入口で手渡されたのは、なんと白いジャンプスーツ‼ これを着て参加するらしい、これもショーの演出のうち?

配られた白いジャンプスーツをしっかり着用し、準備万端のリナさん。
配られた白いジャンプスーツをしっかり着用し、準備万端のリナさん。

さらにウェイティング中。ステージのカーテンが開くまで、お揃いの白いユニフォーム姿でみんなソワソワしながら待ち構えている。これからどんなパフォーマンスが見られるのか楽しみ。

幕が開くと、前方に古代遺跡のようにそびえ立つデシグアルのアイコニックなモチーフのステージが。遂に音楽と共にショーがスタート。性別、年齢、身長、サイズ、人種…それぞれ異なるバックグラウンドを持つ30名のモデルがデシグアルのコレクションを身にまとい、ランウェイを自由に踊りながら入場すると、ステージに登り、思い思いのポーズを決める。

全員が登場し終わると、次の瞬間、 思わぬ展開!隣同士の2人がお互いに顔を見合わせ、寄り添い抱き合いながら、情熱的なキス。さらに、その感情は高まり、あちこちで次々と服が脱ぎ去られ、最後は全員ヌードとなって、ゆっくりと体を重ね合わせ、混じり合う。

「性別や人種を超える愛は素敵なことだけど、それを視覚的に表現するのは難しい。私にとって今まで見たことなのないものでした。人間の感情が渦巻いて見えそうなぐらい絡み合っているのを、あんな近くで目の当たりにして、その感情がこちらにも伝わってくるような気がしました。空間全体に、いい意味で疲れるぐらいの、押しつぶされそうになる強いエネルギーみたないなものを感じました」

中央で膝をついているのは、マドンナの娘、ローラ・レオン(Lola Leon)。
中央で膝をついているのは、マドンナの娘、ローラ・レオン(Lola Leon)。

キスをする2人。右側はナオミシマダ(Naomi Shimada)
キスをする2人。右側はナオミシマダ(Naomi Shimada)

最も自然な本能的感情であり、セクシュアルなエネルギーであり、世界共通言語である“キス”という行為を通じて、デシグアルにとって新たなスローガン「Love Different(違いを愛する)」を視覚的に印象付けたパフォーマンスとなった。

「今自分が何を感じているのか、言葉にできないほどの衝撃で不思議な感覚に陥りました。考えこませる隙を与えないぐらいに、めまぐるしく展開していくステージの状況に情報処理が追いつかず。動画を撮ろうとしたけど、肉眼で確認しておきたい、とにかく釘付けになりました。泣いてる人もいましたが、なんで泣いているのかわからないけど自然に涙が出てくるような、その気持ちもわかる気がします。後からじわじわきそうな、ゆっくり自分の中で消化するのが楽しみ。言葉なんていらない、感じさせるショーでした」

今回のコレクションには、シーズンやルールに捕らわれず様々なテイストをミックスすることで、2020年に発表するすべてのものを表現したいという想いも込められている。「Love Different」なパフォーマンスを通じて、アーカイブを振り返り、デシグアルらしい色鮮やかで、サスティナブルな幸せムード溢れるヒッピースタイルを提案した。

リナさんが撮影した、ヤシの木のシルエットが映えるマイアミならではの夕景。
リナさんが撮影した、ヤシの木のシルエットが映えるマイアミならではの夕景。

「ショーをディレクションしたカルロタ・ゲレーロも、ミランダ・マカロフのコレクションも、表現の仕方は違うけど、フェミニズムとか性や愛のカタチに対しての彼女たちなりの考え方や自由さがなんか共通している気がして、いろんなストーリーとして自分の中でなんとなく繋がりました」

<番外編>

マイアミ最後の夜はアートなパーティに潜入

興奮と感動のショーの後は、アートに沸くマイアミをさらに盛り上げる、デシグアルとも縁の深い、アーティスティックなパーティ「エルロー アート(elrow art)」へ。バルセロナやイビサをはじめ、NY、香港、ドバイなど世界各国で開催され、2018年にはサマソニにも初上陸して話題を集めた。DJプレイだけでなく、サーカスのようなパフォーマンス、観客参加型のアトラクションまで、エンタメ性の高いパーティというだけあって、明け方まで場内は熱気に溢れ、超満員状態。元気に踊ったあとは、海辺のテラスでチルアウト。デシグアルのクリエイティブな世界に触れ、アートに始まり、アートに終わる、マイアミの旅となった。

desigual.com


Edit&Text:Masumi Sasaki

Profile

佐々木真純Masumi Sasaki フリーランス・エディター、クリエイティブ・ディレクター。『流行通信』編集部に在籍した後、創刊メンバーとして『Numero TOKYO』に参加。ファッション、アート、音楽、映画、サブカルなど幅広いコンテンツ、企画を手がけ、2019年に独立。現在も「東信のフラワーアート」の編集を担当するほか、エディトリアルからカタログ、広告、Web、SNSまで幅広く活動する、なんでも屋。特技は“カラオケ”。自宅エクササイズ器具には目がない。

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