アート×ライフ:それぞれのかたち vol.3 KAWS | Numero TOKYO
Art / Feature

アート×ライフ:それぞれのかたち vol.3 KAWS

「表現することは生きること」だと人は言う。それって本当? 領域や手法の異なる4組に、新たな表現に懸ける思いを質問。それぞれの形で浮かび上がる、“アートな生き方”の楽しみとは。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年6月号掲載)

3月に世界12都市で実施された無料サービス版より、渋谷スクランブル交差点の様子。『COMPANION (EXPANDED) in Tokyo』(2020年) augmented reality. Courtesy: KAWS and Acute Art.
3月に世界12都市で実施された無料サービス版より、渋谷スクランブル交差点の様子。『COMPANION (EXPANDED) in Tokyo』(2020年) augmented reality. Courtesy: KAWS and Acute Art.

KAWS「EXPANDED HOLIDAY」

現代アートの雄が放つ、革新的な“AR彫刻”

両目に「×印」のキャラクター「コンパニオン」で、世界的な人気を誇る現代アーティスト、KAWS。彼の次なるプロジェクトはAR(拡張現実)を使った作品だ。ヴァーチャル空間におけるアートプラットフォーム制作会社Acute Artとタッグを組んで、『EXPANDED HOLIDAY』と題した“AR彫刻”を発表した。

3月に世界12都市で実施された無料サービス版より、渋谷スクランブル交差点の様子。『COMPANION (EXPANDED) in Tokyo』(2020年) augmented reality. Courtesy: KAWS and Acute Art.
3月に世界12都市で実施された無料サービス版より、渋谷スクランブル交差点の様子。『COMPANION (EXPANDED) in Tokyo』(2020年) augmented reality. Courtesy: KAWS and Acute Art.

「ARで達成できること、オーディエンスが経験できることのクオリティの高さを知ったとき、そのポジティブな側面に惹かれました。これまでオブジェクトを制作し、公共スペースで展示してきましたが、ARでは設置する場所やスケールにとらわれず、パプリックアートの可能性を広げることができると考えたのです」

「AT THIS TIME (EXPANDED)」の撮影例。(2020年) augmented reality. Courtesy: KAWS and Acute Art.
「AT THIS TIME (EXPANDED)」の撮影例。(2020年) augmented reality. Courtesy: KAWS and Acute Art.

専用アプリをダウンロードし、スマホを空間にかざせばコンパニオンが出現。好きな角度から自由に鑑賞することができる。3月に世界12都市にて期間限定で公開した無料版のほか、高さ45センチ、3種類のARコンパニオンを1週間レンタルし、動画と静止画を撮影できる「AT THIS TIME(EXPANDED)有料版」、世界25個限定の「COMPANION(EXPANDED) EDITION OF 25」をリリース。限定エディションは1.8メートルのコンパニオン25体のうち1体の永久所有権を購入することができ、さらにリアルなアートピース同様、転売することも可能だ。KAWSはARアートの可能性についてこう語る。

「場所も見る人も選ばず、芸術を発見、体験でき、コレクションの概念をも変えてしまう。ソーシャルメディアで世界中の人たちと共有することもできます。私自身、みんながアップしてくれた写真を楽しみ、圧倒され、感謝の気持ちしかありません。COVID-19の状況を考えても、AR彫刻なら一つの場所に集まらず、それぞれのスペースで観賞することができます。みんなが健康でアートを楽しんでくれることを祈っています」

「Acute Art」アプリ
App StoreとGoogle Playから無料ダウンロード可能。「AT THIS TIME (EXPANDED)」では色や個数別に4種類のメニューがあり、高さ45センチのARコンパニオンを好きな場所に配置して静止画や動画を撮影できる(7日間で¥860〜3,800)。
「Acute Art」公式サイト:https://app.acuteart.com/

Text : Miho Matsuda Edit : Keita Fukasawa

Profile

KAWSカウズ 1974年、アメリカ・ニュージャージー生まれ。ビルボード広告の人物の目に「×印」を描き込むグラフィティアート作品で頭角を現す。その後はニューヨークを拠点にペインティングや立体などの作品のほか、限定エディションのトイ、アパレルなどを発表。2019年には日本ほか世界各地で全長40メートルの巨大コンパニオンを展示し、大きな話題を集めた。

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