飯島望未の挑戦ダンス公演「ZERO POINT/ゼロ・ポイント」 | Numero TOKYO
Culture / Post

飯島望未の挑戦
ダンス公演「ZERO POINT/ゼロ・ポイント」

夢を追い求める女性をサポートする「コアントロー・クリエイティブ・クルー」に日本人として参加するバレエダンサーの飯島望未が、マルチメディア・パフォーマンスに挑戦。イギリスの振付家ダレン・ジョンストンが手掛ける「ZERO POINT/ゼロ・ポイント」の高知公演に密着した。

「ZERO POINT/ゼロ・ポイント」は、アーティストをある土地に招聘し、滞在しながら作品制作をしてもらう事業「アーティスト・イン・レジデンス」の一環として、2013年にスタートしたプロジェクトだ。当時、振付家ダレン・ジョンストンは、3カ月の高知滞在中に、遍路の巡礼地などを訪問。その仏教文化や空間、さらに兼ねてから傾倒していた瞑想やミニマリズムの思想が、この作品のインスピレーション源になっている。高知県立美術館ホールで世界初演を迎えたパフォーマンスは、ダンス・音楽・アート・テクノロジーなどのマルチメディアが融合。東洋の仏教思想を取り入れた、実験的でユニークな舞台空間を描き出した。 実際の舞台では、ダンサーの身体とデジタルテクノロジーの演出、さらにカナダの作曲家ティム・ヘッカーによるアンビエント ミュージックが融合。リバース(再生・輪廻)にまつわる東洋的な思想や、量子力学の概念である「ゼロ・ポイント(零点)」をオリジナルに解釈した儀式的な空間を演出し、観る者を瞑想の旅へと誘う。練習とリハーサルは都内スタジオにて行われた。

振付家のダレンがキーワードになる動きやイメージをダンサーたちに投げかけて、話し合いながら振り付けが決まっていく。カウントが取りにくいアンビエント ミュージックは、息を合わせるのが難しいため、何度も動き始めのタイミングをチェック。国内公演では、クラシックバレエの演目を多く踊ってきた飯島さんだが、型にはまらないコンテンポラリーでも、彼女の華のある動きや魅力が光る。

本番当日、高知県立美術館ホールへ

Ms.COINTREAU

Photos:Satomi Yamauchi
Text:Anri Murakami
Edit:Yukiko Shinmura

Profile

飯島望未(Nozomi Iijima)バレエダンサー。大阪出身。6歳からバレエを始める。13歳で『ユース・アメリカ・グランプリ』3位に入賞し、奨学金を獲得。07年15歳で単身渡米する。ヒューストン・バレエ団の研修生になり、翌年同バレエ団とプロ契約を結ぶ。13年米ダンスマガジンにおいて「25人のいま観るべきダンサー」に選出。14年ソリストに昇格し、『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』などのクラシックバレエの作品だけでなく、ウィリアム・フォーサイス振り付けの『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレベイテッド』などのコンテンポラリー作品でも高い評価を得る。15年同バレエ団を退団。帰国後は、日本を中心に精力的に活躍。16年8月よりスイスのチューリッヒ・バレエ団に所属。

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