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Culture Art
秋のアート体験に超新星現る!
『岡山芸術交流 2016』レポート

岡山といえば、瀬戸内海を望む “晴れの国”、世界的なデニムの聖地、超高級フルーツ、桃太郎伝説etc.。そしていまこそ注目すべきは “最先端の現代アート”。いま岡山で何が起きているのか? その答えがここにある!

Text:Keita Fukasawa

okayama art summit 2016
林原美術館に展示されたピエール・ユイグの作品『Untilled』

まずは質問。この秋に日本国内で初開催される、大規模な地方芸術祭(大型国際展)の要注目株を3つ、答えなさい……!

(1) 茨城県北部から話題を放つ『KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭』
(2) さいたま市を舞台に繰り広げられる『さいたまトリエンナーレ2016』

……そして3つめ。「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」本誌でもご紹介している関東圏の2組に続き、視線をぐぐっと西のほうへ。神戸と広島のちょうど中間に位置する岡山から独自のコンセプトを掲げ、意気込みも新たに『岡山芸術交流 2016』が名乗りを上げた! ……と聞いて、「地域振興の目的で開催される芸術祭はたくさんある。なぜいま岡山なのだろう?」と感じた貴殿はなかなか鋭い。だが、その鋭いまなざしをさらに輝かせることになる眺めの一端を、この場を借りてお届けしよう……!!

okayama art summit 2016
JR岡山駅に掲げられた『岡山芸術交流 2016』の巨大バナーと、駅前のシンボル・桃太郎像

まずは基本情報から。『岡山芸術交流 2016』の開催地は岡山市の中心部。まずは山陽新幹線でJR岡山駅へ。そこから徒歩圏内、日本三名園のひとつ岡山後楽園と岡山城にほど近いエリアに8つの主会場が立地している。参加アーティストは16カ国から31組、いずれも現代アートの世界最前線で活躍し、コンセプチュアルな作風で知られる実力派ばかり。しかも、その約半数が日本初上陸、多数のアーティストが岡山で滞在制作を行った。さらに、アーティスティックディレクターを務めるリアム・ギリックは鋭い社会批評眼で作品や著作などを展開してきた英国人アーティストだが、国際展のディレクターを務めるのは今回が初めて。なかなかどうして、チャレンジングな感じである。

okayama art summit 2016
城下交差点に出現した、リアム・ギリックによる巨大な柱状の作品『Faceted Development』と、マイケル・クレイグ=マーティンの作品『Beacon』

ずばり一言で表すなら「世界水準の精鋭アーティストが岡山に集結」。その意気込みやよし、ここはひとつ、お手並み拝見といきますか。と受け身の姿勢で桃太郎大通りを歩いていたところ、会場手前の交差点でいきなりファーストインパクトに見舞われた。岡山の地に初めて降り立った自分のような人間ですら「なんだあれは!?」となるのだから、日頃からここを通行している地元の人々はもっと驚いたに違いない……!

okayama art summit 2016
1〜3階の教室や廊下を貫いているかのような錯覚へといざなうホセ・レオン・セリーヨの作品『Piece occupied by zero (Okayama PANTONE 072, 178, 3245)』

『岡山芸術交流 2016』の展示はこうした屋外作品群と、いくつかの屋内会場から構成されている。まずは、チケットブースにカフェや休憩スペースを備え、今回最多となる19点の作品を展示するメイン会場「旧後楽館天神校舎跡地」へ。かつての雰囲気をとどめた元教室や廊下を巡り、作品を自由に見て歩くという、アートイベントではおなじみの方式だ。

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リアム・ギリック『Development』

校庭には、「Development」の文字が掲げられた謎の施設が出現。思わず「机9文字事件」(1988年)を思い出させる眺めだが、その正体は、ゴルフボールとクラブを借りて誰もが楽しめるパターゴルフ場。じつはこれも、リアム・ギリックによる作品だ。しかしなぜに「開発(Development)」……!? 本イベントのテーマとして掲げられたその意味に想いを巡らせつつ、ひとときのプレイに興じたい。

お宝デザイン × 名作モダニズム建築 × 現代アートのマリアージュ!

Profile

深沢慶太(Keita Fukasawa) フリー編集者、ライター、『Numero TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numero TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集やインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)などがある。『Numéro TOKYO』では、アート/デザイン/カルチャー分野の記事を担当。

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