「Valextra」がミラノ本店をリニューアル、原点回帰へ
春のような暖かさでスタートした2019年秋冬シーズンのミラノ・ファッションウィーク。ランウェイで次々に新作が発表されるなか、華やかなイベントやパーティが開催されていました。
イタリア発のラグジュアリーレザーブランド「Valextra(ヴァレクストラ)」は、マンゾーニ通りにある本店の内装をリニューアル。ファッショニスタで賑わう会期中に開かれたエキシビジョンに潜入してきました!
建築家ジョン・ポーソン(John Pawson)が手がけたショップは、ブランドのDNAを感じさせるミニマルなデザイン。モダンな美術館を彷彿とさせる空間は、これまで「Jil Sander」の店舗やギャラリーをデザインしてきた彼ならでは。ディスプレイされたバッグは、まるでアート作品のようでした。会場では、「Valextra」CEOのサラ・フェレロ(Sarah Ferrero)をキャッチ。アーカイブからインスピレーションを受けたという最新コレクションや一新した店舗について聞きました!
サラ・フェレロCEO「ショップデザインについては、これまで4年にわたり隈研吾をはじめとした建築家やデザイナーとのコラボレーションを毎年行ってきました。今季は新たに商品そのものに焦点を戻し、原点回帰したかったんです。私たちのブランドは、ミニマリスティックと洗練されたデザインで知られています。そこを語るため、美術館や教会のような、そんな空気感が欲しいと思いました。これまでは、ブランドそのものについてクローズアップしたことがなかったので、『Valextra』の歴史を辿るようなエキシビジョンにしました。ガラスケースに入ったものなど、いくつかのピースはアーカイブからのものです」
「私たちの原点は、ミラネーゼのレガシー。クリーンで洗練された、良質なレディースのハンドバッグから始まりました。最新コレクションでは、イタリア映画全盛期である50年代に脚光を浴びたソフィア・ローレン、マリア・カラスら、国際的なセレブリティに愛されたデザインもラインナップしています。美しいだけではなく、私たちのようにたくさん働いて、旅する女性へ向けたバッグたちです。『Valextra』は、トレンドにはあまりリンクしていないのですが、カルチャーのムーヴメントには影響を受けています。今は、50〜60年代のムード。当時のイタリアの価値は、大半が戦争によって失われてしまいました。世の中のあらゆるものを再建されなければならなかったので、テクノロジー重視のものや日本人デザイナーが流行りました。今回のエキシビジョンは、ミラノがルネッサンス時代へ回帰しているということへの祝福でもあり、ノスタルジズムでもあります」
熱心に語りかけるサラCEOが身に着ける新作バッグ「SerieS」には、アルファベット「S」「F」のビッグチャームが。インパクトもあるし、バッグとセットで欲しいな……激動のファッションウィークを過ごすなか、物欲を刺激された瞬間でした!