世界が注目、ロンドンのクリエイティブなブックストア「Idea」 | Numero TOKYO
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世界が注目、ロンドンのクリエイティブなブックストア「Idea」

ロンドンのアート書店兼出版社のアイディア(IDEA)が、ドーバー ストリート マーケット ギンザに新たな常設スペースをオープン。独自の審美眼でセレクトされる本は、デジタル全盛期の今だからこそ求められています。 ドーバーのオープンハウスに合わせて来日したIDEAの創設者の一人、アンジェラ・ヒル(Angela Hill)に話を聞きました。

——IDEAを始めたきっかけを教えてください。

「90年代にフォトグラファーをしていたとき、いつもたくさん本を買っていました。当時のフラットメイトが、今はなきパリのセレクトショップ『Colette』のオーナーのサラ・アンデルマンの友達だったのです。彼女がロンドンの私たちの家に来たとき、私の本のコレクションを見て『あなたの本を買えるかしら』って聞いてきたの。私は『ダメよ。でももう一冊見つけて来てあげる』と答えました。それが始まりです」

——本はどんな基準で選んでいますか?

「インスパイアしてくれる本である必要があります。手に取って中身を見て数秒で面白いかそうでないかわかります。もう何年もこの仕事をしているので、直感的に選んでいます」

 

 
 
 
 
 
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——日本の本も多く取り扱っていますが、日本の出版物のどんなところに魅力を感じていますか?

「日本の古書店に行って驚くのは、あらゆる本が置いてあることです。アメリカの70年代の本からフランス、イギリスの本、すべてあります。世界中のどの国を見ても、日本のような国はありません」

 

 
 
 
 
 
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——IDEAが他の本屋さんと違う点は何でしょうか?

「私たちはビジュアルで本を売っています。本を開いてイメージを見てもらえたら、その良さがすぐわかると思います」

——今回ドーバー ストリート マーケット ギンザのために、どんな本を揃えたのでしょう?
「あえて日本の本は持ってきませんでした。音楽やポップカルチャー、デザインやグラフィックにまつわる本や雑誌を集めました」

——本だけでなくTシャツなどもありますが。

「Tシャツ、キャップ、バッグも。このバッグは、本を運ぶためのものです。(IDEAのオーナーで夫の)デヴィッドが9で終わる年はいい年だと思っていて、他に1979と1989もあります」

——ブランドやアーティストとコラボレーションして、本も出版していますね。

「今までVetementsと2冊本を出しましたが、とても反響がありました。1冊目はパリのコム デ ギャルソンで大行列になり、予想外でした。2冊目は、もっとたくさん刷りましたが、それでも足りないくらいでした。Gucciとも何冊か出版しました。私たちを選んでくれてとても嬉しかったです」

『VETEMENTS』(2016年)
『Gucci Epiphany』(2016年)

——ずばり書店の魅力とは何でしょう?

「ものを発見することです。宝探しみたいに。ここにある本の99.9%の写真は、グーグルでは探せません。オンラインには載っていないので。もしあなたがファッションデザイナーなら、オンラインでリサーチはしないことね。みんなが見たことがあるものだから」

ネットには出てこない面白いビジュアルブックを発掘し、伝えてくれるIDEA。彼らがセレクトした本や雑誌は、ドーバー ストリート マーケット ギンザの5階で見られます!

Profile

新藤友紀子Yukiko Shinto ウェブ・エディター。女性ファッション誌のウェブ編集などを経て2018年『Numero TOKYO』に参加。ファッションをはじめ、カルチャーやライフスタイルなど興味の赴くまま取材。Numero.jpでは連載「パン野ゆりのぶらりパン歩き」「パントビスコの不都合研究所」やスイーツの記事などを中心に担当している。最近は韓国ドラマやK-POPに目覚め、失われた青春を取り戻すかのように沼り中。

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