唯一無二の存在「ドーバー ストリート マーケット」
vol.1 注目ブランド8選
デザイナー川久保玲がディレクションし、伝統と大胆さが入り混じるカオスなコンセプトストア「ドーバー ストリート マーケット(Dover Street Market/略称DSM)」。進化し続ける、その魅力をさまざまな角度から徹底検証!(「ヌメロ・トウキョウ」2017年11月号掲載)
Simone Rocha
ロンドンのロマンティックな女王
1986年生まれ、アイルランド・ダブリン出身のシモーン・ロシャ。デザイナーのジョン・ロシャを父に持つ。2008年にダブリンのナショナルカレッジ・オブ・アート&デザインを卒業後、セントラル・セント・マーチンズ・カレッジのMAコースへ進んだ。10年に自身の名を冠したブランドをスタートし、ロンドンファッションウィークで発表。アイコニックな花をちりばめた独特なダークでロマンティックなコレクションで人々を魅了し、ファッション業界から高い評価を得ている。15年、初の路面店をロンドンにオープン。
今季も花がちりばめられたコレクションを展開。ブラック、レッド、ホワイトのカラー使いに、うっとりするような繊細なディテールで洗練された美しさが際立つ。(ブラウス¥58,500 ピアス¥40,500)
Simone Rocha
URL/simonerocha.com
Simone Rocha(シモーン・ロシャ)
Blue Roses
現代の女性へ向けたドリーミィなラインナップ
ロンドンを拠点にコレクションを展開していたブランド、「ミーダム カーチョフ(Meadham Kirchhoff)」。そのデザイナーを務めていたデュオの一人、エドワード・ミーダム(Edward Meadham)が、2016年に新ブランド「ブルー・ロージズ(Blue Roses)」をローンチ。『ガラスの動物園』(テネシー・ウィリアムズの戯曲)がブランドの背景にあり、コレクションではなく「bits and bobs(=いろいろなもの)」というコンセプトを基に展開しているという。ミーダム カーチョフを彷彿とさせるガーリィでドリーミィなデザインは健在だが、もう少しダークさを感じさせるゴスの要素を取り入れたプリントやデザインが見られる。
2シーズン目となる今季は、60年代後半~70年代のクリスマスクラッカーをイメージ。プリントTシャツやフーディのほか、デコラティブなドレス、シューズなどもあり。(Tシャツ¥8,000 バッグ¥78,500)
Blue Roses
Instagram/@edwardmeadham
Edward Meadham(エドワード・ミーダム)
Shanshan Ruan
小粋なディテールを加えたモード服
中国生まれでパリをベースに活動するシャンシャン・ルアン。2007年に渡仏後、エスモードでファッションデザインを勉強。「(アレクシス・マビール(Alexis Mabille)」や「アン ヴァレリー アッシュ(Anne Valérie Hash)」といったクチュールブランドで経験を積むほか、パリの老舗「レクレルール(L’Eclaireur)」でも働いた。13年に自身のブランドを設立し、ファーストコレクション「N MOTION」を発表。同年、第28回「イエール国際モード&写真フェスティバル」にて市民賞を受賞し、彼女のデザイナーとしての人生が始まった。無駄のない流線的なシルエットにカラフルなペインティングが映えるコレクションは、ドーバー ストリート マーケットでも人気ブランドの一つ。
エアリーで動きのあるシルエットはピースごとに存在感のあるものばかり。ダイナミックなペインティングやシアーな素材使いも独特の雰囲気を醸し出す。(パンツ¥72,500)
Shanshan Ruan
URL/www.shanshanruan.com
Shanshan Ruan(シャンシャン・ルアン)
Nabil Nayal
最先端テクノロジーも駆使する創造性
2015年および17年度「LVMHプライズ」のファイナリストとしても名を連ねた、シリア出身のナビル・エル・ナヤル(Nabil El-Nayal)が手がける。14歳でイギリスへ引っ越した後、ロンドンの名門であるロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学んだ。「バーバリー(Burberry)」、「リバー・アイランド(River Island)」での経験を経て、11年9月にロンドンファッションウィークでデビュー。クラウディア・シファーやレディー・ガガ、フローレンス・ウェルチ、リアーナなどの目に留まる。モノトーンなカラー使いとボリュームのあるシルエットにエッジィな要素も加えた、イギリスらしい個性的なクリエイションが見どころ。
3Dプリントを使った世界で初めてのデザイナーとしても知られるナビル。今季はトランスペアレントやシフォン、プリント、リボンなどを使い、ロマンティックな雰囲気。(コートドレス¥372,000)
Nabil Nayal
URL/www.nabilnayal.com
Nabil El-Nayal(ナビル・エル・ナヤル)
Paskal
東欧のニュージェネレーション
パスカルは、もともと建築を勉強していたウクライナ出身のジュリー・パスカル(Julie Paskal)が2013年に設立したブランド。16年にはパリにあるセレクトショップ『コレット』のショーウィンドウにコレクションが飾られ、ファッション界の注目を浴びた。16年秋冬コレクションをパリファッションウィークにて発表。現在ではドーバー ストリート マーケットをはじめ、世界で50以上のセレクトショップで展開される。ペプラムやボルカドットを多く使ったコレクションは、レディライクなシルエットとミニマルなシェイプが特徴。構築的な雰囲気も併せ持ったバランスも魅力の一つ。
ホワイトやブラックをベースにしたモノトーンな印象の17年秋冬シーズン。花やフリル、リボン、シフォンなど彼女らしいこだわりの素材使いやデコレーションに注目したい。(トップ¥45,000)
Paskal
URL/paskalclothes.com
Julie Paskal(ジュリー・パスカル)
Cecilie Bahnsen
北欧の新星が生み出す“モダン”
デンマーク・コペンハーゲンを拠点に活動するデザイナーのセシリエ・バーンゼン(Cecilie Bahnsen)。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、ジョン・ガリアーノのスタジオで経験を積み、2016年に自身のブランドを設立。クチュールのようなラグジュアリーな要素を残しつつもモダンで女性らしいコレクションを展開する。伝統的な手法で、すべてハンドメイドで作られるというピースはどれも美しく洗練されたものばかり。ふんわりとしたミニドレスやシャツはフェミニンなラインを際立たせる。袖や襟元、裾のフリルやカッティングなどのディテールにも注目してほしい。
清楚なホワイト、クールなブラックをコレクションのメインカラーとして使用。ユニークなデザインを構築しながら、現代の女性らしさをタイムレスに表現している。(トップ¥114,000)
Cecilie Bahnsen
URL/ceciliebahnsen.com
Cecilie Bahnsen(セシリエ・バーンゼン)
Paccbet
ゴーシャが手がけるスケートレーベル
ドーバー ストリート マーケットがデビューからサポートし続けているロシア出身のデザイナーのゴーシャ・ラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)と、彼と10年来の親交をもつスケートボーダーのトリア・ティタエヴ(Tolia Titaev)が友人たちと立ち上げたスケートブランド「ラスベート(Paccbet)」。ロシア語で夜明けを意味し、ロシアの若者たちの目から見た新しい世界をコンセプトに掲げる。ドーバー ストリート マーケット限定で展開されるコレクションは、現在セカンドシーズンが展開中。ブランドロゴをプリントしたフーディや太陽をモチーフとしたロゴを使ったキャップ、そしてスケートデッキなどをラインナップする。
ストリートをミックスした着こなしにもマッチするTシャツやキャップなどロゴ物や、女性でも取り入れやすいパステルカラーも揃う。(Tシャツ¥8,400 キャップ¥7,500)
Paccbet
Instagram/@rassvetmoscow
Gosha Rubchinskiy(ゴーシャ・ラブチンスキー)
Hair&Makeup:Katsuya Kamo Makeup assistant:Kanako Yoshida Manicures:Eichi Matsunaga Special Thanks:Dover Street Market Ginza
Photo:Sarai Mari, Yuji Namba(Cutout Photos) Fashion Director:Shun Watanabe Text:Kurumi Fukutsu Edit:Fumika Oi