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Culture Post

ソフィア・コッポラの世代を問わず愛される生き方

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女性クリエイターたちが憧れるあの人について証言!小林エリカがインスパイアされるソフィア・コッポラの魅力とは?(「ヌメロ・トウキョウ」2018年4月号掲載

「わたしの好きを、可愛いを、怖れない」by小林エリカ

少女たちが可愛い洋服とメイクで着飾って、スカートの裾を髪をなびかせる。ソフィア・コッポラが描く世界には、いつもそんなシーンが織り込まれていて、それが果たしてマリー・アントワネットだろうが、ティーンの窃盗団だろうが、わたしはいつもそれに魅了されてしまう。彼女がカンヌ国際映画祭監督賞を受賞した『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』でも女の子(と女)たちはやっぱり一生懸命にドレスアップしてみせる。それは、女の館へやってきたひとりの男の気をそれぞれが惹こうとするためではあるのだが、わたしはやっぱりそれを観ながら感動してしまう。なぜかと考えてみたら、結局、ソフィアが描くおしゃれするという行為は、本質的には、モテとか、他人の目線だとかを遥かに凌駕して、ただソフィア自身が思う好きを、可愛いを、怖れることなくどこまでも追求した結果だからなのではないか、というところに辿り着いた。

かつて20歳そこそこだったわたしが、はじめて彼女の映画『ヴァージン・スーサイズ』を観て、可憐で儚い世界の向こうに広がる、揺るぎない強さに、胸震えたことを思い出す。それまで、強さというのは、マドンナだとかみたいな、男にだって負けないような女の人だけが持てるものだと思っていた。けれど、強さというのはもっと、多様でしなやかで自由なのだと、その時、わたしははじめて知った。ああ、わたしは、わたしの好きを、好きなまま、強くなることが、できるんだ、というのは、最大の発見だった。

もはや可愛いといわれるような年を超えた彼女は、いまなお彼女自身の好きを、可愛いを、探求し描き続けていて(それは人を震撼させるような凄みさえ帯び始めている)、わたしはわたしであるということにどこまでも真摯で、懸命だ。それは、なんて、壮絶だけれど軽やかで華やかで美しい戦いなんだろう。わたしは彼女のそんな絶対的な強さに、どこまでも憧れるし勇気づけられる。

Film Director



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©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

女性映画監督の第一人者に

長編6作目『The Beguild/ビガイルド 欲望のめざめ』が公開中。2017年カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。2作目『ロスト・イン・トラン スレーション』(2003)ではアカデミー 賞最優秀脚本賞を受賞しており、その実力は業界でもお墨付き。

Fashionista



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洗練されたスタイリングが注目の的

ファッション誌でその着こなしが頻繁に取り上げられるセレブリティの一人。一見シンプルにもかかわらず必ず注目されるのは、1点1点が独自の審美眼で見極められたアイテムであり、それらが洗練されたコーディネートに落とし込まれているから。

Homeowner




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妻として母としての顔も自然体でこなす

夫はフランスのバンド、フェニックスのボーカルであるトーマス・マーズ。ソフィアの長編デビュー作『ヴァージン・スーサイズ』で出会った二人。『The Beguild/ビガイルド欲望のめざめ』でもフェニックスが楽曲を提供するなど、公私をともにしている。ロミーとコジマ、二人の娘がいる。

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ソフィア・コッポラのフィルモグラフィー

Edit:Sayaka Ito

Profile

小林エリカ(Erika Kobayashi)漫画家、作家。著書に、短編小説集『彼女は鏡の中を覗き込む』(集英社)、コミック『光の子ども1, 2』など。今春に小説『マダム・キュリーと朝食を』(集英社)が文庫で発売予定。

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