最新作『ビガイルド』から振り返るソフィア・コッポラのフィルモグラフィー | Numero TOKYO
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最新作『ビガイルド』から振り返るソフィア・コッポラのフィルモグラフィー

現在、公開中の映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞したソフィア・コッポラ。近年ファッションブランドのキャンペーンからオペラの演出まで、さらなる挑戦を続ける彼女が映し出す、繊細で魅力的な世界をアーカイブ作品とともにひも解く。

女性の中の少女性や狂気を、丁寧に繊細に描き出してきた、ガールズカルチャーのパイオニア、ソフィア・コッポラ。 最新作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』では、かつて同原作男性視点から描く女性ではなく、「女性から見た女性」をテーマに、これまでの可愛いがガーリーなだけでない、新境地である“スリラー”に挑戦した。ソフィア映画でおなじみのキルティン・ダンスト、エル・ファニングに加え、ニコール・キッドマンらが、抑圧された世界に生きる女性を好演。

物語の舞台は、1864年のアメリカ・バージニア州。南北戦争から隔離された男子禁制の女子寄宿学園に1人の負傷兵が現れたことから巻き起こる7人の女性たちの愛憎劇。
淡く柔らかな色彩とスイートなベールに包まれた映像の奥に、狂気や残酷さを纏いながら、男女のパワーバランスが崩れいていくさまがスリリングに描かれる。そこに、細部にまでこだわった美術、衣装、音楽とが一体となってソフィア独特のカラーを築き上げた。若手実力派エル・ファニングの早熟でいたずらな魔性さ、キルティン・ダンストの生真面目な雰囲気とは裏腹な内に秘めたマグマ的な強さ、そして、ニコール・キッドマンの、女の性(さが)とプライドに板挟みの諸刃の剣的な熱演が、女って怖い!と思わせるほどに、深みと凄みを盛っている。

『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(2018)

今年のカンヌ国際映画祭で監督賞に輝いた本作は、『白い肌と異常な夜』(1971)のリメイク。南北戦争で重症を負った兵士が女学校に隠れ場を見いだすが徐々にスリリングな展開に。

出演/ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、エル・ファニング、コリン・ファレル
URL/beguiled.jp/
全国公開中
©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

ソフィア・コッポラ作品を一挙紹介

Text:Ayana Takeuchi


Photo:Aflo

『ヴァージン・スーサイズ』(1999)

ガーリー・カルチャーを担う先駆者としての才能が花開いた長編デビュー作。70年代のアメリカ郊外を舞台に自殺した美麗な5人姉妹の揺れ動く感情を繊細で甘美な世界観で描いた。

出演/キルスティン・ダンスト、ジョシュ・ハートネット


©2003 LOST IN TRANSLATION INC.

『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)

CM撮影のために来日したハリウッドスターと、フォトグラファーの夫についてきた若いアメリカ人女性が、お互いの孤独を癒やす儚いラブストーリー。アカデミー脚本賞を獲得した出世作。

出演/ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン
価格/¥3,800(DVD)
発売・販売元  /東北新社 


©2005 I Want Candy LLC.

『マリー・アントワネット』(2005)

マリー・アントワネットをひとりの少女として捉え心の機微を浮き彫りに。豪華な宮廷生活に潜む闇をマカロンカラーの色彩感覚、ユーモア、モダンな音楽でそっと包み込んだ。

出演/キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン
価格/¥3,800(DVD)
発売・販売元/東北新社 


©2010 Somewhere LLC

『SOMEWHERE』(2010)

自堕落な生活を送るハリウッドスターとその娘が過ごす数日間にスポットを当てたヒューマンドラマ。有名人の父を持つソフィアのリアルな心境と母としての視点が投影されている。

出演/スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング
価格/¥3,800(DVD)、¥4,700(Blu-ray)
発売元/東北新社
配給元/TCエンタテイメント


©︎2013 Somewhere Else,LLC.All Rights Reserved

『ブリングリング』(2013)

アメリカで実際に起こったセレブの留守宅ばかりを襲う、ティーン窃盗団による事件がモチーフに。インターネットと現実に生きる享楽的な若者の自我に迫り現代を風刺する。

出演/エマ・ワトソン、ケイティ・チャン
価格/¥3,800(DVD)、¥4,700(Blu-ray)
発売・配給元/ポニーキャニオン

TV『ビル・マーレイ・クリスマス』(2015)

ビル・マーレイが豪華キャストと送るクリスマス・バラエティショウ。ジョージ・クルーニーやマイリー・サイラスに加え、フェニックスなどのミュージシャンも俳優として出演。

出演/ビル・マーレイ、マイリー・サイラス、ジョージ・クルーニー
配給/Netfilix


Photo©Yasuko Kageyama

『ソフィア・コッポラの椿姫』(2017)

オペラの演出に初挑戦し、真実の愛を知った高級娼婦の悲恋を現代的なタッチで表現した。ヴァレンティノ・ガラヴァーニの衣装と、ネイサン・クロウリーの舞台美術にも注目。

出演/フランチェスカ・ドット、アントニオ・ポーリ

ソフィア・コッポラのインタビューを読む

Text:Masumi Sasaki

Profile

Sofia Coppola(ソフィア・コッポラ)映画監督。1971年5月14日生まれ、NY出身。映画監督のフランシス・フォード・コッポラを父親にもつ。俳優のニコラス・ケイジやジェイソン・シュワルツマンはいとこ。99年に『ヴァージン・スーサイズ』で長編映画デビュー。2003年『ロスト・イン・トランスレーション』でアカデミー賞最優秀脚本賞受賞。17年『ザ・ビガイルド』でカンヌ国際映画祭監督賞受賞。99年に映画監督のスパイク・ジョーンズと結婚、03年に離婚。その後、フランスのバンド「フェニックス」のトーマス・マーズと結婚、二児の母でもある。

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