毎月の生理、デリケートゾーンの悩み……我慢できてしまう小さな不調を見逃していませんか。不調があって当たり前と見過ごしていると、思わぬ病気や妊娠時のトラブルの原因に。新たにスタートする連載「まさき先生が導く全女性のためのウェルネスメソッド」では、産婦人科医の安部まさき先生が、専門的な視点から女性の体と心に寄り添うアドバイスをお届けします。
TOPICS
1.女性の7割はPMS!?
2.PMSの原因は?
3.PMDDって知ってる?
4.生理前、少しでも不調を感じたらクリニックへ
5.具体的な治療法は?
6.食事やライフスタイルでケアできること
7.おすすめのアイテム
「生理前後に感じる不調を、不調として捉えていない女性、多いのではないでしょうか。痛みや眠気、感情の起伏が激しくなるのは全てホルモンの仕業なのです。毎月来るものだから我慢して当たり前ではなく、内科や皮膚科に行くのと同じように、ホルモンコントロールすることで、快適な毎日を手に入れることができます」(安部まさき)
女性の7割はPMS!?
──多くの女性が悩むPMS。ある調査によると、生理のある女性の70〜80%が悩んでいるともいわれていますが、そもそもPMSとは?
「別名、月経前症候群ともいわれており、症状としては大きく分けて、身体の症状と心の症状の二つです。まず身体の症状としては、下腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、頭重感、乳房痛の順に多いといわれており、体重増加やむくみなどの症状が出る人も。心の症状としてはイライラ、のぼせ、怒りっぽくなる、落ち着きがない、憂鬱などが挙げられます。
いずれも生理が始まる3〜10日前に出現。人によって症状は異なり、複数併発する方もいらっしゃいますが、いずれにしろ、仕事のパフォーマンスが落ちたり、いつも通り過ごせないなど日常生活に支障が出るなら、それはPMS。生理が始まると同時に症状がスッと落ち着くのが特徴です」
PMSの原因は?
──PMSになってしまう原因というのは、明確にあるのでしょうか。
「現在、わかっているのは、女性ホルモンが深く関わっているということだけ。排卵を抑制すると発症しなくなることから、排卵後から生理前の期間に増える黄体ホルモンが誘因しているともいわれています。ホルモンの変動により、精神を安定させる幸せホルモン、セロトニンが低下するのが一因ではとも考えられていますが、まだ解明されていません」
──では、なりやすい人、なりにくい人などの傾向はあるのでしょうか。
「女性ホルモンが関わっている=誰にでも起こり得ることです。遺伝や体質はあまり関係ないといわれており、ストレスなどの外的な要因によって悪化することがあると考えられています。
PMSを発症する年齢は関係なく、生理が始まっていれば10代でも症状を感じている人も。生理前になると勉強に集中できないということであれば、やはりそれもPMS。出産を機に悪化したという話を聞くこともありますが、出産そのものというよりは、育児で睡眠時間が減少したり、慣れない育児によるストレスの増加など、外的要因で悪化させている可能性が高いと思われます」
PMDDって知ってる?
──PMDDは、同じく生理前に起こるといわれますが、PMSとの違いは?
「PMSの中でも、イライラや焦燥感、不安感、脅迫感、自己喪失感、涙もろさなど心の症状が強く出て、仕事や家庭生活、学業、人間関係など日常生活に支障をきたすものが、PMDD(月経前不快気分障害)です。頭痛など身体の不調があってもなくても起こり得るもので、やはりホルモンの仕業のため、誰にでも可能性はあります」
生理前、少しでも不調を感じたらクリニックへ
──“イライラするぐらいで病院なんて”“鎮痛剤さえ飲めば、とりあえず平気”など、我慢したり、自分で解決しようと思いがち。婦人科のクリニックに行くべき症状のレベルが気になるところです。
「仕事をしていられない、対人関係に支障をきたす方はもちろんですが、そこまでではなく、たとえ鎮痛剤で痛みが治ったとしても、過去3ヵ月以上連続して、毎月繰り返す不快な症状が一つでもあれば、それはPMS。症状の程度にかかわらず、治療の対象です。治療することで、不調や不快感なく過ごせるようになります」
では具体的な治療法は?
──ただでさえ婦人科は未知の場所というイメージが強く、ハードル高め。どういったことが行われるのか知っておきたいです。
「カウンセリングや症状を軽くするためのセルフケアの提案と並行して、基本的には投薬治療を行います。飲み薬のホルモン薬(低用量ピル、プロゲスチン療法)、漢方などがありますが、血栓症になりやすい人はピルが使えないため、医師の診断に従ってください。さらに心の症状が強いPMDDの場合は、抗うつ薬を処方することも。いずれにしろ、つらい症状に毎月悩み、自分であれこれ試しても改善しないなら、ぜひ医療に頼ってほしいですし、そもそも試す前に訪れてほしいと思います。なぜなら婦人科は、年齢に関係なく、女性特有の悩みに寄り添う場所だからです」
セルフケアでできること
クリニックに行く前に自分でもできることがあればと思ってしまいますが、セルフケアで治せることはありますか?
「PMSもPMDDもホルモンの変動によるものとされているため、自分でコントロールできるものではなく、セルフケアで治すことはできません。そのため、“セルフケアで治る”と断言している情報を信じるのは危険です。
ただし、セルフケアをすることで、症状を軽くしたり、痛みなどを緩和することはできます。まずメンタル的なものとして効果があるのは、生理の記録を付けること。イライラし始める時期や症状を毎月メモしていくことで、自分のリズムがわかり、“この辺りは仕事をセーブしよう”“責任のある仕事からは距離を置こう”“友達との食事は避けよう”などの調整ができるようになります」
食事やライフスタイルにおいては?
「当たり前のことにはなってしまいますが、バランスのいい食事が一番です。セロトニンの減少が一因として考えられているため、セロトニンの材料となるトリプトファンやビタミンB6を積極的に摂取するのも手。トリプトファンは体内ではつくれないため、豆腐、みそ、納豆などの大豆製品や乳製品から摂取を。ビタミンB6は、玄米やカツオ、マグロなどに含まれています。
カフェインやアルコール、タバコなども神経を刺激するので避けたほうがベター。リラックスを促すハーブティはオススメです。そのほか、規則正しい生活や、適切な睡眠、運動が効果的。人に不安感や不快感を話すこともオススメです」
──また、生理前になると過食したり、甘いものを欲したりする人も多いはず。
「甘いものなどを食べて血糖値が上がると、さらなる過食やイライラにつながるため、この時期は特におすすめしません。どうしても食べたい場合は、血糖値が上がりにくい低GIスイーツを選びましょう」
おすすめアイテム
NeRoLi herb
ウーマンズブレンド 1週間分(25g)¥1,490 1ヶ月分(90g)¥4,510/NeRoLi herb
産地や製法など厳選した本物の植物の力を詰め込んだ「NeRoLi herb(ネロリハーブ)」のハーブティー。生理期間をおだやかに過ごしたい方へ、20種類のハーブがブレンドされた、女性におすすめのブレンド。感情のバランスを整えたり、緊張感をおさえ、高まった感情をおだやかにしてくれます。*妊娠中、授乳中の方はお飲みいただけません。
安部まさき先生からひとこと
「セルフケアをしても治るものではないので、つらいと感じたら、自分であれこれ悩んで、あれこれ試す前に、気楽に婦人科のクリニックへ。セルフケアの提案の相談にものってくれるはずです。生理によって仕事など日常のパフォーマンスが落ちてしまうのはもったいないこと。自分の人生をより輝かせるために、医療という選択もあることを知っていただきたいと思います。婦人科はハードルが高いと思うかもしれませんが、年齢に関係なく、女性特有の悩みに寄り添うことが私たちの役割。いつでも相談に来てくださいね」
なのはなレディースクリニック
住所/埼玉県さいたま市見沼区東大宮5丁目33-12 柏洋ビル1F
TEL/048-878-8338
公式サイト/https://nanohanalc.com/
Photo:Kouki Hayashi Styling:Ako Tanaka Hair &Makeup:Kei Kouda Interview & Text:Hiromi Narasaki Illustration:Akari Kuramoto Edit:Saki Tanaka
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