リード・クラッコフ氏にインタビュー。清原あいかの「ティファニー ペーパー フラワー」レポート4
ティファニーの新しいフラワーモチーフのジュエリー「ティファニー ペーパー フラワー」がいよいよ9月、日本で発売。世界に先駆けてまず5月にアメリカで発売され、これを記念したイベントがニューヨークにて開催された。Numero.jpでは、ニューヨークのイベントレポートと、この新作ジュエリーについて清原あいかがマニアックにご紹介!
2017年2月に「Tiffany & Co.(ティファニー)」のチーフ・アーティスティック・オフィサーに就任して以来、初となる自身のジュエリーコレクションを発表したリード・クラッコフ。昨年のティファニー本店4Fの大規模なリニューアルを成功させ、ティファニーが誇る過去の伝統や豊かな世界観を守りつつも、さらに大胆に改革していく…モダンなアメリカンラグジュアリーを提案し続ける彼に話を聞いた。
Tiffany Paper Flowers
The First collection by Reed Krakoff
「ティファニー」チーフ・アーティスティック・オフィサー、リード・クラッコフにインタビュー!
──最初のジュエリーデザインとして「ティファニー ペーパー フラワー」を選んだ理由を教えてください。 「実は他にもたくさんあり、これが最初なわけではないのです。ただ、皆さまに初めて公開したのがこの『ティファニー ペーパー フラワー』になります。ティファニーには長い歴史があるので、まずはそれに敬意を表さねばならないと思いました。ティファニーの歴史、過去、花、自然、そしてダイヤモンドを扱ったもので、もっと新しい解釈にしたいと。そう、従来からあるオーガニックで女性的なモチーフを、モダンでグラフィカルなフィルターを通して表現したコレクションを作りたいと考えました。ティファニーを代表する数々のデザインを思い浮かべると、いずれの作品も見た目が美しいだけではなく、製作の過程には高い技術が採用され、商品はさらに素晴らしく仕上げられています。『ティファニー ペーパーフラワー』も、こうした伝統に忠実に作られています」
ティファニーのジュエリーの輝きを際立たせる技は、これらのツールを使って生み出される。ハイジュエリーアトリエ見学の記事はこちら。
──どんな女性に着けてもらいたいですか? また、どういうふうに着けてもらいたいのか、スタイリングアイデアはありますか?
「幅広いラインナップなので、女性ならば誰もがフィットするアイテムがあるのではと思っています。モチーフは古典的なフラワーですが、新しい解釈になっているので、何か驚きとか予想外のものを見られるとは思っています。例えばペンダントの場合、単独で身に着けることもできますが、自分のお気に入りのブレスレットやペンダントなどと組み合わせたり、重ね合わせたり…。普段は大切にしまっておいて、特別なオケージョンに限って身に着けるものではなく、日常的に役立つウェアラブルなアイテムに私は魅力を感じます。このコレクションとともに毎日の生活を送ることができるという事実こそ『ティファニー ペーパーフラワー』の真髄であり、ティファニーのDNAに根ざしたものなのです」
個人的おすすめ「ティファニー ペーパー フラワー」スタイリングサンプル3
1.「ティファニー ペーパーフラワー」+「エルサ・ペレッティ ボーン カフ」
一生モノの重厚感あるイエローゴールドの「ボーン カフ」と軽やかなパヴェダイヤ
<左>「エルサ・ペレッティ ボーン カフ」(18YG)¥3,550,000 <右上>「ティファニー ペーパーフラワー オープン ピアス」(プラチナ×ダイヤモンド)¥595,000 <右下>「ティファニー ペーパーフラワー オープン リング (ミディアム)」(プラチナ×ダイヤモンド)¥780,000(すべて予定価格)
2.「ティファニー ペーパーフラワー」+「パロマ・ピカソ オリーブ リーフ」
繊細なオリーブとエフォートレスなフラワーで時代を超えた自然モチーフのミックス
<左>「パロマ・ピカソ オリーブ リーフ カフ」(SIL)¥163,000 <右上>「ティファニー ペーパー フラワー ペンダント」(プラチナ×ダイヤモンド)¥635,000 <右下>「パロマ・ピカソ オリーブ リーフ バンドリング」(SIL)¥25,000(すべて予定価格)
3.「ティファニー ペーパーフラワー」+「ティファニー ハードウェア」
ロマンティックなフラワーはハードなチェーンでピリッとモダンに
<左>「ティファニー ハードウェア グラジュエイテッド リンク ネックレス」(SIL)¥210,000 <右上>「ティファニー ペーパーフラワー スタッド ピアス」(プラチナ×ダイヤモンド)¥680,000 <右下>「ティファニー ペーパーフラワー リング」(プラチナ×ダイヤモンド×タンザナイト)¥850,000(すべて予定価格)/すべてTiffany & Co.(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)
──ティファニーにおける最初の仕事、ホーム&アクセサリーコレクション、本店4Fのリニューアルはいかがでしたか?
「個人的にティファニーのホームコレクションが好きだったのですが、過去10年から15年の間は全く強化されてこなかったカテゴリーでしたので、それを取り戻すということは、とてもエキサイティングな経験でした。今までのホームコレクションを買ってくださっていたり、慣れ親しんでいらっしゃった大勢の方々が、また戻ってきてくださって、新しいホームコレクションを買ってくださった。それも新しい解釈で作りましたので、皆さまにとっては予想外だったのではないかと思っています。また4Fの改装に関しては、見た目も感じ方も体験の仕方も全く新しいものになっているのではと思います。とても明るく、温かみがあり、かつ、ストーリー性を秘めたフロアになりました。またエンターテインメントとして、皆さまに楽しんでもらえるものになっているかと思います。従来のお買い物の仕方、ただ見て歩き回って買い物をするというものとはかなり異なったフロアであることが特徴です」
昨年11月のオープン以来、未だ予約が取れないティファニー本店4F内にあるThe Blue Box Caféの店内。ティファニー本店4Fの記事はこちら。
──ティファニーにこれまでどういうイメージをお持ちでしたか?
「私はティファニーとともに育ったと言っても過言ではありません。ティファニーのキーチェーンを持っていましたし、家族や友人など、親しい人々と過ごす特別なイベントでは、ティファニーはいつも私のそばにあるように感じられました。ティファニーは私にとって、最高のものが揃う場所でした。ティファニーのボックスを見れば誰だって気持ちが高まりますし、中身は何が入っているのだろうと想像を膨らませるような世界でもあると思います。私が考える最高のものというのは、品質が最高であるということと、それでいながらも日常で使用できるものであります。私は、製品やブランドをよく理解しているつもりでしたので、実はずっと一員になりたいと思っていたのです」
リード氏は、”ルイス・コンフォート・ティファニーがデザインしたランプを長年にわたって収集しているそう。ティファニーランプについての記事はこちら。
──約180年の長い歴史を持つアメリカを代表するブランド、ティファニーで働くということはどういうお気持ちですか?
「このような機会を与えられたことは本当に名誉だと思っています。ティファニーはアメリカで唯一のラグジュアリーブランドだと思っています。さまざまなブランドと関わりたいと思っていた中でも、ティファニーとの関わりは喜びです。ティファニーは企業としても、才能あふれるメンバーに囲まれています。職人、アーティスト、アートディレクター、ライター、写真家など…それが企業の富にもなっています。とても充実した日々ですし、とても報われていると感じています」
──これまでファッション業界でご活躍されてきましたが、ジュエリー業界に移るというのはどうでしたか?
「私は今までもコスチュームジュエリーは扱ったことはあります。しかし、ハイジュエリーに関しては、まったく今回が初めてであります。今回ティファニーで最高のチームに出会い、それは宝石を鑑定できるジェモロジストであったり、自分が出したコンセプトを素晴らしいハイジュエリーに反映させてくれる、そういうテクニックを持っている人たちに囲まれています。まったく異なるファッション業界に長くいただけに、ある意味新鮮な目でハイジュエリーの世界を見ることができるんじゃないか、従来のやり方ではない予想外な、今まで見たことがない新しいものを表現することができるのではないかと思っています」
“「ティファニー ペーパーフラワー」の製作を通して私が得た最も素晴らしい体験の一つが、このブランドのために 専心する優れた職人やジェモロジストとの出会いでした”
──ティファニーからどういうことを期待されているとお考えですか?どのように改革していきたいですか?
「やはり責任を感じています。エキサイティングな気持ちを持ってこれからずっと継続していかなければいけないと思っています。コレクションの認知度も高めていかなければいけないですし、デザインにおいては最高なものをこれからも出し続けていかなければならない。そして、オンラインの改革も必要性を感じています。次の段階に私たちは向かっていると思います」
──「ティファニー ペーパー フラワー」の今後の予定についてお聞かせください。第2弾はありますか?
「ピュアな魅力はそのままに、より幅広いコレクションしていきたいと考えています。楽しみにしていてください!」
What’s Tiffany Paper Flowers?
「ティファニー ペーパー フラワー」とは?
2017年2月にチーフ・アーティスティック・オフィサーに就任した、リード・クラッコフが手がけた最初のジュエリーコレクション。ティファニーの歴史に深い関わりを持つアイリスの花に、現代的な解釈を加え、デザインされた架空の花「Paper Flowers」。インスピレーションは、紙から切り取られた何枚もの花びら。散り散りに舞うこの花びらを一つに留め作られたジュエリーだ。本物の花よりシンプルでもっと詩的。女性らしさとインダストリアルなモダニティがバランスよく共存した、アメリカンジュエリーの真骨頂であり、リード・クラッコフのクリエイティビティが光る、ティファニーの全く新しいジュエリーコレクションである。なお、このコレクションの日本での展開は9月1日からを予定している。お楽しみに!
Edit&Text:Aika Kiyohara