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People Talks

長澤まさみインタビュー「愛するという関係性を考えさせられました」

旬な俳優、女優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。vol.36は女優、長澤まさみにインタビュー。

Photos:Gen Saito
Styling:Go Momose
Hair&Make-up:Rika Sagawa
Interview&Text:Tomoko Ogawa
Edit:Masumi Sasaki

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黒沢清監督が劇作家・前川知大率いる劇団「イキウメ」の同名舞台を映画化し、「第70回カンヌ国際映画祭」の「ある視点」部門にて正式出品された『散歩する侵略者』。数日間の行方不明の後、「侵略者」に乗っ取られて帰ってきた夫・加瀬真治の妻・鳴海を演じるのは、女優・長澤まさみだ。人間から概念を奪う侵略者となった夫に戸惑いながらも、それでも共に生きようとする、妻の愛を全身全霊で真摯に体現した彼女は、30歳になったばかり。映画を通じて考えた愛について、そして女優として成長を続ける自身の成長について話を聞いた。

愛情は育むものだと実感

──愛の概念について考えさせられる映画だと思ったのですが、夫である真治に対して怒りながらも愛を与え続けるという妻・鳴海を通じて、愛の概念ってどういうものだと考えましたか?

「愛情は育むものだなぁと感じましたし、夫婦という関係性のなかで、平等という状態はありえないのかなと思いました。男尊女卑とかではなくて、2人いたら前と後ろという立ち位置になるんじゃないかと。どちら側にどちらがいてもいいと思うんですけどが、そうでないと関係性が崩れるというか、上手くいかないんじゃないかなって」

──映画のなかでも、ある事件によって二人の関係が再構築されますもんね。

「以前は夫である真治の後ろにいたのが鳴海だったけれど、彼女の後ろに真治が寄り添ってくれるようになったということだと思います。やっぱり、成立するのが難しい平等な関係を夫婦で成し得たいと思うなら、そのときそのときで臨機応変に入れ替われることが必要なのかもしれないと思いました。人間ってそう簡単に大人になれるものではないし、お互いにすごく幼稚な感情を持っていて、でもそれを出せるから一緒にいられるわけで。すごく愛という関係性について考えさせられました」

──侵略者と彼らのガイドとなる人間との関係性から、その後の侵略者の行動が変わってくるというのも、人間社会でよく起こっていることだなと思いました。

「確かにそうですね。世の中に言いたいこと、メッセージをたくさん感じ取れる作品だなぁと思います。そういう作品が、新しいエンターテイメントとしても楽しめる映画になっていることが、とても有意義で面白いですし、夢もありますよね」

芝居だからという概念を捨てて演じること

Profile

長澤まさみ(Masami Nagasawa)1987年6月3日生まれ、静岡県出身。2000年に第5回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞。『ロボコン』(03/古厩智之監督)で初主演し、第27回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『世界の中心で、愛をさけぶ』(04/行定勲監督)では第28回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・話題賞など数々の賞を受賞した。以降、ドラマ、映画、舞台、ミュージカルなど多岐に渡り多くの話題作に出演。待機作に、『嘘を愛する女』(18公開予定/中江和仁監督)がある。黒沢清監督作品は今作が初出演となる。

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