中野裕太インタビュー「ラブストーリーのほうがじつは僕、得意なんです」 | Numero TOKYO
Interview / Post

中野裕太インタビュー
「ラブストーリーのほうがじつは僕、得意なんです」

旬な俳優、女優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。Vol.31は、俳優、中野裕太にインタビュー。

Facebookを通じて出会った台湾人女性のリンちゃんと日本人男性モギさんの、実話をもとにしたラブストーリーが話題だ。2014年には書籍『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』が出版。その人気に興味を持った谷内田監督が、最高と思えるスタッフを結集して同名映画を制作、撮影から2年近い歳月をかけてついに、5月27日に公開となった。夫のモギさんを演じるのは、2014年に活動の場を俳優1本に絞り、ストイックに自身の可能性を模索する中野裕太。ストイックというのは本人の申告ではなく、周りから見た感想である。あくまでも。 役者0歳として生まれ出ることができた記念すべき作品 ──5月27日公開の映画『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』では、主演だけでなく、編集にも相当参加されたと聞いています。 全体の98%くらいは関わっているんじゃないかな。谷内田監督は、さまざまな可能性を排除せず、いいアイディアがあったら試してみようというスタンスの人。包容力があるんですよね。最初は自発的でしたが、最後は監督と編集マンと、チームとして作業していました。リンちゃん役の(ジェン・)マンシューもアイディアを送ってくれて、いろいろな意見を吸い上げて形にするのが僕の役目。それを監督にプレゼンして…。ディズニーのように何度も試写会を重ねて、アンケートの意見を参考に修正しました。 ──素晴らしいチームができていたんですね。 監督の人徳でしょうね。完成までみんなを待たせてしまったけれど、小規模チームだからできたこともあって。他の現場ではできない、妥協のないいいものができたかなと思います。個人的なことを言えば、クランクアップは29歳の最後、9月末でした。で、10月に30歳を迎えて、その時、自分が0歳になった気がしたんです。Numero TOKYO本誌で篠山紀信さんに撮影してもらった2010年は、バラエティにも出演していたし、その後も紆余曲折あって…。でも、30歳になった時に、「これからは役者として歩んで行っていいよ」と言われた気がした。そういう意味では、自分にとって思い入れの深い作品です。この作品のおかげで生まれ出て、ヨロヨロと立ち上がって自分で羊水を洗い、へその緒を切った…という感覚(笑)。

先の見えないトンネルにいる感覚は、今も続いている

Photos:Kenji Yamanaka
Interview&Text:Atsuko Udo
Hair&Makeup:Aiko Ono
Edit:Masumi Sasaki

Profile

中野裕太(Yuta Nakano)1985年、福岡県生まれ。演技を今井純氏に師事。2013年にGAS LAWを結成。映画『もうしません!』主演のほか、『遠くでずっとそばにいる』『新宿スワンII』などに出演。主演をつとめる日台共同制作作品『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』(通称:ママダメ)が、2017年5月27日より公開、台湾では6月16日より公開予定。粗野で繊細。聡明で阿呆。太陽と一緒になった海。蕾。非常に矛盾しているが、それでいて素直な人。

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