フォクシーズ インタビュー
「音楽はノーマルな私の自己表現」
旬な俳優、女優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。 vol.23はアーティスト、フォクシーズ にインタビュー。
個性派の女性がひしめく英国の音楽界で、着々と存在感と評価を確立してきたフォクシーズことルイザ・ローズ・アレン。今年初めに発表したセカンド・アルバム『オール・アイ・ニード』では、映画音楽を愛する彼女ならではのスケール感とドラマ性溢れるダンサブルなサウンドに、どこまでもパーソナルな言葉を乗せる、フォクシーズ流のポップソングが進化。もっと赤裸々に、ソウルフルに歌い始めた新しい自分を、4月に来日したルイザが語ってくれた。
ノーマルな私には何かが足りない気がした
──あなたが「ミュージシャンになりたい」と思ったきっかけは何だったんですか?
「私は幼い頃からずっと日記を書いていて、ほかにも短いストーリーとか詩とか、色んな文章を綴っていたの。だから歌い始める前に、まずはソングライティングに近いことをしていたのね。その後歌うことの楽しさに目覚めて、家で四六時中歌っていたっけ。テーブルの上に立って“私の歌を聴いて!”と要求して、家族を辟易させたものよ(笑)。だからふたつの大好きなことをミックスして、自分の仕事にすればいいんだと気付くまでに、あまり時間はかからなかったわ。大変だったのは、その先ね」
──デビューを果たすまでに苦労があったんですね。
「ほら、ミュージシャンとかクリエイティヴな職業に就いている人は、浮世離れしているイメージがあるじゃない? みんな美しくて、どこか普通の人とは違わなきゃいけないように思われていて。それってリアルじゃないし、私はごくノーマルな人間だから“自分には何かが足りないのでは?”と不安感に悩まされた時期があった。でもそういう私が率直に自分を表現することで、同じように感じている人に共感してもらえるんじゃないかと考えるようになったの。有名になりたいから音楽をやっているわけじゃなくて、ただ自分をクリエイティヴな手段で表現したいだけだから」
──こうして順調に活動している今、あなたが間違っていなかったことが証明されたようなものですよね。
「ええ。最近知人に、“世の中は全て7年のサイクルで成り立っている”と言われたの。7年経つと、人は自然に次の章を開いてゆくものなんだと。私もちょうどそういう時期に差し掛かっていて、ひとつの段階をクリアした気がする。だから、今後も音楽活動は続けるつもりだけど、ここにきて何か違うことも試したいという気持ちが芽生えているの。すごく想像力が豊かな人間だから、大胆なチャレンジをするかも(笑)。まずは、ほかのアーティストに曲を提供してみたい。今もまだソングライターとして勉強中の私だけど、自分が学んだことを次の世代に伝えて、サポートしてあげたい。音楽業界って、みんながイメージしているほどグラマラスじゃないから(笑)。あとはやっぱりファッションが大好きで、去年H&Mとコラボしたりしたから、その手のプロジェクトには興味津々よ」
──特にヴィンテージ・ファッションが好きだそうですが、ヴィンテージ・ハンティングのコツは?
「とにかくたくさん見て選び抜く必要があるわ。だから時間をかけることが重要だし、好みが似ている友達と一緒に行っちゃだめ。取り合って喧嘩になるでしょ(笑)? 独りで行くのが一番ね。そして、絶対に値切ること!」