シンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニインタビュー「きっかけは出産」 | Numero TOKYO
Interview / Post

シンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニ
インタビュー「きっかけは出産」

talks#14
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ミラノ発のジュエリーブランドALIITAが、日本からデビューを果たす。デザインを手がけるのは、MARNIのデザイナー、コンスエロ・カスティリオーニの義娘であるシンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニ。ジュエリーへの飽くなき情熱からブランドをスタートさせたシンシアが、肩肘張らないミニマルなデザインの中にエレガントさを漂わせるコレクションを披露する。ファッションファミリーからまた一つ新たに生まれたクリエイションに注目したい。
最も自分らしくいられる大切な場所
──これまでファッションマーケティングの世界でキャリアを積んできたシンシアさんですが、ジュエリーブランドを立ち上げたきっかけとは? 「経歴だけを見ると、ものすごいキャリアチェンジをしたように感じるかもしれないわね。でもジュエリーをデザインするということは子どもの頃からずっと持ち続けてきた夢だったの。きっかけは、出産をして母になり、家のこと、家庭というものに気持ちがいくようになったこと。そんな生活を始めたなかで、周りのみんなが、『ずっとやりたいと思っていたことなのに、なぜやらないの?』って後押ししてくれたの」
──ファーストコレクションの「PURE HOME」というテーマも、やはり家族のことを思って選んだのですか。 「このコレクションのなかで最初に作ったのが家をモチーフにしたジュエリーだったの。私にとって、家とは最も自分らしくいられる大切な場所であり、私の人生の基本であり、家族そのもの。特に子どもを産み、母になったことで、その気持ちがさらに強くなったわ。すべてがここから始まると思うから、ファーストコレクションは、家(=HOME)からスタートしたかったの」
──ブランド名は、幼少期を過ごしたベネズエラの民族の言葉で「大切なもの」という意味が付けられていますね。故郷で過ごした頃の思い出はクリエイションにどう影響していますか? 「私が育ったのは、ベネズエラにあるマラカイボという都市。国内の政治的な事情で長らくその地に帰ることができなかったけれど、ただそれでも子供時代に過ごした思い出や友達のことなどを今でもずっと憶えているし、人生にとって大切なステップを重ねていった特別な場所。だからブランド名にも、私の自分自身のルーツや、抱いている私の思いを表現したかったの」

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