杉野希妃インタビュー「生死に向き合った感覚から自分が変わった」 | Numero TOKYO - Part 3
Interview / Post

杉野希妃インタビュー
「生死に向き合った感覚から自分が変わった」

talks #11 杉野希妃
talks #11 杉野希妃

女優として活躍しながら監督も務めるスーパーウーマン、杉野希妃。彼女が率いる映画制作会社、和エンタテインメントが『歓待』『ほとりの朔子』『欲動』に続き発表した最新作は、湘南・茅ヶ崎に集まった男女7人の恋模様を描く青春群像劇『3泊4日、5時の鐘』。監督を新人に託し、演者として作品に参加した彼女に、その経緯と心境を聞いた。<映画『3泊4日、5時の鐘』の情報はこちら

新しい自分を見つける作業

──プロデューサー、女優、監督業。それぞれどう使い分けていますか?

「スイッチを入れるみたいな感覚は全くないですね。例えば、エッセイなど書くお仕事も以前より増えてきたのですが、それも繋がっている。演じるって新しい自分を見つける作業だとも思っています。芝居も演出も執筆も、いかに素直になれるか、真の心、真の自分と向き合えるかが大切で。自分の想いに体が勝手に反応したり、イメージを膨らませたり、それにはまる言葉を探したり、全て同じ線上にありますね」

──自身を客観的に見るのが得意なのでしょうか。

「昔から客観性は強い方だと思うのですが、今年、オランダで交通事故に遭ったんです。そこで生死に向き合った経験から感覚が変わりました。意識というか、精神的な部分で。今までは自分の感情を意識するときに、肉体から内を感じていたんですよ。でも事故の後は、精神だけ宙に浮いていて他人事のように肉体を見ているような自分がいて。昔より、ある意味自分を客観視できるようになったというか。俯瞰で見ているような感覚に意識が変わった。元々タフだと言われてきましたが、俯瞰で自分を見てみたら確かにとてもたくましくて、そして一方ではすごく繊細で脆いんだと実感しました」

──オフの日の楽しみは?

「最近ホットヨガをはじめて、解放されてます。これも事故をきっかけに。数年前、周りがやっているのを横目で見ながら『私はその流行には乗らないぞ』って思ってたんですけど、事故に遭って体を改めて見直すようになって、退院後に家に帰って自分の体を鏡で見てびっくりしたんです。太ってて。筋肉量もかなり落ちていたので、リハビリに加えて、急いでパーソナルトレーニングを始めました。それが5月で、8月にすでに映画のお仕事が決まっていたので、3ヶ月で頑張って絞りました。その延長線上で始めたホットヨガがすごく良くて。もっと早く素直になっておけばよかった(笑)」

杉野希妃(すぎの・きき)

1984年広島県出身。慶應義塾大学在学中に留学先の韓国で女優デビュー。『歓待』(10/深田晃司監督)、『おだやかな日常』(12/内田伸輝監督)な ど女優兼プロデューサーとして、国内外で脚光を浴びる。東京国際映画祭や台北映画祭で特集上映が組まれるほか、ロッテルダムなど数多くの映画祭に審査員と して招待される。2014年、監督第二作『欲動』が釜山国際映画祭で新人監督賞を受賞。2015年は出演作『群青色の、とおり道』(佐々部清監督)が公開 された。初監督作『マンガ肉と僕』が2016年2月に公開予定。また、出演作『愛だけがほしい(仮)』が公開待機中。現在、監督作や数々の合作映画を企画開発中。

Photo:Wataru Fukaya Interview & Text & Edit:Yukiko Shinmura

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