talks #11 杉野希妃
Interview / Post
杉野希妃インタビュー
杉野希妃インタビュー
「生死に向き合った感覚から自分が変わった」
愛らしい憎めない存在
──大学在学中、若干27歳の三澤拓哉さんを監督に抜擢した理由は?
「三澤拓哉監督は、2012年の夏から私たちの会社のインターンとして入ってくれていて『ほとりの朔子』『マンガ肉と僕』『欲動』など、これまでにも様々な作品を共にしてきました。その時々で、助監督だったりアシスタントプロデューサー、製作助手、短編のプロデューサーだったり。まだ学生ですが、映画への想いが私たちと一緒なんです。映画に対する豊富な知識と、人間に対する観察力の鋭さにいつも驚かされていて。だから、そもそもアシスタントというより、映画が好きで極めたい同志として一緒に仕事をしてきました。本人は、日本映画大学に身を置きながら、はじめはプロデュースの仕事に興味があると言っていたのですが、私は、彼が監督をやったら面白いと思っていて。『欲動』の撮影が終わった直後に、脚本を書いてみたらって提案したんです。それが今回の作品のはじまり。彼がはじめて書いた長編です」
──本編には、分かりやすく性格の違う三人の女性が出て来て、彼女たちの掛け合いが印象的。杉野さんはそのうちの一人、真紀を演じています。キャスティングも監督が考えたのでしょうか。
「当初キャストとして出る気はなかったんです。脚本が出来上がった段階で、三人全然違う個性を表現しなければならないので、キャスティングをどうしようかと思案していて。オーディションなどもして色々と組み合わせを考えていく中で『真紀は杉野さんがやっぱりいいな』って監督に言われて。最終的にはそれで出演を決めました」
──生真面目で完璧主義者の真紀。共感するところは?
「登場する三人の性格はばらばらに見えて『自我が強すぎる』という意味ではみんな同じ。ベクトルが違うだけなんですよね。私も自分自身に対して自我が強いなと思うこともありますから共感しつつ…。でも、真紀を演じるのはもどかしかったです。不器用で世渡り上手じゃない。真面目でまっすぐなのにちょっとずれていて、もっと器用に生きてほしいと心配になったり。私は普段、器用そうに見られがちなのですが、不器用な部分が多分にあるのでそれを見つめ直したり。自分にとっては愛らしい憎めない存在でした」