長谷部千彩著『メモランダム』:ジャズの、小曲にも似た | Numero TOKYO
Culture / Editor's Post

長谷部千彩著『メモランダム』:ジャズの、小曲にも似た

メモランダム
メモランダム

音楽のような文章に出合うことがあります。

室生犀星は
「抒情詩の精神には音楽が有(も)つ微妙な恍惚と情熱とがこもつてゐて人心に囁く。
よい音楽をきいたあとの何物にも経験されない優和と嘆賞との瞬間。(後略)」
と書いていたけれど、
抒情詩でなくてもそんなふうに思うことがあるんだよなあと
長谷部千彩さんのエッセイ『メモランダム』(河出書房新社)を読んで思いました。

香水や写真、東京、旅、ジャズ……。
彼女の好きなこと、考えていること、それらが
彼女の言葉に乗せられてやってくる。
それらは、彼女の審美眼だけが教えてくれること。

『メモランダム』は彼女が好きなジャズみたい。
自由で心地よくて、お酒が飲みたくなったりして。

Profile

伊藤さや香(Sayaka Ito) エディター。フランス文化への憧れがすぎて、慶應義塾大学文学部仏文学専攻を卒業、フランス系アパレル会社に勤務。ファッション誌などのライターを経て、フランス版『Numero』の日本語訳小冊子の編集に携わる。その後『Numero TOKYO』に創刊メンバーとして参加。主に、映画、本、アート、ライフスタイルの企画を担当。もとよりカラックス、ジャームッシュ、クンデラなどの作家たちを愛しつつ、新たな(もうちょっと明るい)お気に入りを専ら模索中。プライベートでは2児の母。

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