日本財団アール・ブリュット美術館合同企画展「TURN/陸から海へ」~ひとがはじめからもっている力~ | Saeborg
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日本財団アール・ブリュット美術館合同企画展「TURN/陸から海へ」~ひとがはじめからもっている力~

 

私たちの身体には昨日までの記憶が積み込まれている。
その中には遥か昔の海の中で生命が誕生した記憶もあるだろう。「生まれつき」持っているもの
は自分ひとりで獲得できるものではなく、これまでに地球上に誕生した全ての生命があったから
こそ持ち得た才である。しかし今、「生まれつき」の才を意識することは難しい。
なぜなら現代社会は「生まれつき」のエッジを覆い、協調性を持たせる事により安定した基盤を
作り上げたからである。そのため、「生まれつき」の存在を意識する感覚が大衆の中で退化しは
じめ、「生まれた後」の陸上だけで思考する、「時間の根」の浅い集団が社会の中に多く出現して
きている。そんな社会は本当に安定しているのだろうか。私たちが未来に向けて歩みを進めてい
る方向は、これでいいのだろうか。
私たちがこれから、これまでの時間と同じくらい命を紡いでいくには、「生まれつき」が持って
いる真の意味での強い生命力が必要だ。全ての命が自分とつながっていることが意識できる身体
を再び獲得する事が、社会における安定した基盤になり得るのだ。
TURN とは更に連なっていく次なる世代が豊かな生き方をする為に、生まれつき持っているもの
を再認識する陸から海への旅である。
日比野克彦(2014 年7 月 合同企画展監修者)

 


障がいと芸術表現に対するこれまでの画一的な語られ方や受容のされ方への問いかけを、「アー
ル・ブリュット」を掲げ探求する「みずのき美術館」(京都府)、「鞆の津ミュージアム」(広
島県)、「はじまりの美術館」(福島県)、「藁工ミュージアム」(高知県)の初めての合同企
画展として開催いたします。
監修者日比野克彦は「アール・ブリュットとは何か」という問いを、より普遍的、根源的な問い
として昇華させる言葉として、「TURN」という言葉を掲げました。
本展で紹介する30余名の作家は、「陸」という日常に「海」へと潜るような視座を向けることに
よって、日常生活やわたしたち自身の中に驚くべき豊かさが息づいていることを見出した者たち
です。日比野克彦自身は、監修者として、障がい者支援施設へショートステイ(*1)し、TURN
について深く思考した軌跡が展覧会の展示作品の軸に据えられます。
本展では、より豊かに感受する意識がもたらす新しい世界の可能性を、「TURN」という言葉と共
に問い直します。
*1 ショートステイ:障がい児、障がい者や高齢者などを、家族が一時的に療育、介護することができない場合や、心的負担の軽
減を図るために、福祉施設に短期入所することができるサービス。本展ではサービスを模して実施。

 

日比野克彦『モニチヌ(ミズノキ1)』2014年 ※松花苑でのショートステイ体験中に制作した作品

 

■開催概要
主 催
TURN 展実行委員会
(みずのき美術館、鞆の津ミュージアム、はじまりの美術館、藁工ミュージアム)
日本財団
共 催
社会福祉法人松花苑
社会福祉法人創樹会
社会福祉法人安積愛育園
特定非営利活動法人ワークスみらい高知
特別協力
公益財団法人 生涯学習かめおか財団 ※みずのき美術館展のみ
■会期
2014 年11 月8 日(土)~2015 年1 月12 日(月・祝)
みずのき美術館
(京都府亀岡市北町18)
2015 年1 月31 日(土)~2015 年3 月29 日(日)
鞆の津ミュージアム
(広島県福山市鞆町鞆271-1)
2015 年4 月18 日(土)~2015 年6 月28 日(日)
はじまりの美術館
(福島県耶麻郡猪苗代町字新町4873)
2015 年7 月18 日(土)~2015 年9 月23 日(水・祝)
藁工ミュージアム
(高知県高知市南金田28 藁工倉庫)
■ 展示概要
美術家、福祉活動家、劇作家、死刑確定囚、障がいのある人など約10 作家の作品が4 館共通
作品として巡回し、さらに各館毎に5 作家程度の単館作品も展示されます。鑑賞者が作家を紹
介するガイドブックを手に4会場を巡ることも本展企画の重要な要素となります。
会場構成としては、監修者日比野克彦が京都、広島、福島、高知、4 ヶ所の障がい者支援施設
での滞在経験を元にした作品、「TURN/陸から海へ
ひとがはじめからもっている力
」をテーマとした日比野克彦と4館のキ
ュレーターが選出した多様な作品や表現行為、日本財団がコレクションするアール・ブリュット
作品を一つの空間として展示します。鑑賞者は、「TURN/陸から海へ
ひとがはじめからもっている力
」とは何かを体感する
ことで、先人達が抱いていた世界観や人生観を呼び起こす契機となることをめざします。

 

 

■出品作家

クマムシ、スリッパ、Chim↑Pom、サエボーグ、八島孝一、上里浩也、マルセル・デュシャン、今村花子、平岡伸太、岩谷圭介、畑中亜未、岡本太郎、小林竜司、中原浩大、田中偉一郎、淺井裕介、工藤トミエ、北川義隆、日比野克彦、戸來貴規、佐藤初女、野田秀樹、猪熊弦一郎、島袋道浩、高橋重美、十八代目中村勘三郎、長田身延+長田純子+山中雅史

 

 

なお、鞆の津ミュージアムではトークイベントも開催。宇川直宏、会田誠、エリイ(Chim↑Pom)、坂口恭平、みうらじゅん×根本敬、茂木健一郎、園子温、神楽坂恵が登場する予定です。

詳細→http://abtm.jp/blog/320.html

 

サエボーグ「スローターハウス5」2012年 兵頭喜貴撮影

 

本日より、アール・ブリュット美術館合同企画展「TURN/陸から海へ」が京都のみずのき美術館を皮切りに開催しました。

サエボーグも展示に参加します。1月末からの広島の鞆の津ミュージアムで展示します。

TARO賞のときに出した「スローターハウス9」を出しますので是非、観に来てくださると嬉しいです~

よろしくお願いいたします!!

 

Art annual onlineさんより写真拝借  http://www.art-annual.jp/news-exhibition/news/40655/ 

詳細 http://artbrut-nf.info/

 

Profile

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サエボーグ(saeborg)はラテックス製の着ぐるみ(スーツ)を自作し、自ら装着するパフォーマンスを展開するアーティストです。これまでの全作品は、東京のフェティッシュパーティー「Department-H」で初演された後、国内外の国際展や美術館で発表されている。2014年に岡本太郎現代芸術賞にて岡本敏子賞を受賞。主な展覧会に『六本⽊アートナイト2016』(A/Dgallery、東京、2016)、『TAG: Proposals on Queer Play and the Ways Forward』(ICA/ペンシルバニア大学、アメリカ、2018) 、『第6回アテネ・ビエンナーレ』(Banakeios Library、ギリシャ、2018)、『DARK MOFO』(Avalon Theatre/MONA 、オーストラリア、2019)、 『あいちトリエンナーレ』(愛知芸術劇場、名古屋、2019)、 『Slaughterhouse17』(Match Gallery/MGML、 スロベニア、2019 )など。

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