トリンドル玲奈インタビュー「30代に向けて『きれい』を意識」 | Numero TOKYO
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トリンドル玲奈インタビュー「30代に向けて『きれい』を意識」

自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出合い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。トリンドル玲奈のビフォー&アフター。(「ヌメロ・トウキョウ」2019年1・2月号合併号掲載)

──放送中のドラマ『僕らは奇跡でできている』では、歯科衛生士の丹沢あかりを演じていらっしゃいますね。 「はい。出番は多くないので、脚本だけで役をつかむのは大変でした。『いろいろ言っちゃうけど、愛されているキャラクターにしたい』という監督のアドバイスを意識しながら、あとは現場の雰囲気に合わせながら演じています」 ──あかりの第一印象は? 「『なんでこんなこと言うんだろう』『本当はこんなこと言いたくないな』と思う台詞ばかりで(笑)。例えば、榮倉奈々さんが演じている勤め先の上司である院長に『私が謝ったほうがいいってことですか?』と言ったり」 ──遅刻の理由が『出がけに彼氏と険悪になって』というシーンですね。 「ほかにも……全部がそうですね(笑)。見ている人が不快にならないぐらいの“やな感じ”になるように気をつけています」 ──台詞全部! それは大変です。 「自分自身とはずいぶんかけ離れたキャラクターなので、撮影が終わると『はあ〜〜(ため息)』って(笑)」

──高橋一生さん演じる主人公は、大学で動物行動学を教える講師です。

「変わっているでは済まされないくらい変わっている人を絶妙に演じていらっしゃるなと。一つの分野に特化している研究者気質の人は皆さん変わったところがあるのかなと思ったりもしました。というのも、父に少し似ているんです! 数学が得意で物事を数学的に捉える人で、私の話を聞いていないときがあったり、自分の興味のある話ばかりしていたり」

──変わっているとはいえ馴染みのあるキャラクターなんですね! ドラマには動物がたくさん出てきますが、お好きですか?

「猫を飼っています。アニメ映画『猫の恩返し』が好きで、そこに出てくるユキという白猫に似ているのでユキという名前です。あまりに似ているので改名したくらい。一緒にいると癒やされます」

──そもそも女優になったのは?

「出演していたCMを見たプロデューサーに声をかけていただいて。それまではモデルの仕事が主だったのですが、ファッション業界は私には華やかすぎてしまって、現実とのギャップを感じることもあったんです。でも、ファッション誌と違って、お茶の間などでいろいろな人が見てくださるドラマに出られたときは単純に嬉しかったです」

──演じてみていかがでしたか。

「普通にしていることがこんなに難しいなんてと思いました。それまではカメラに合わせて一瞬を素敵に撮ってもらえばよかったけれど、ずっとカメラが回っているのでどう動いていいのかわからなくて戸惑いました。でも、もともと自分が強くこうしたいというのがないので、言われた役を演じるのは好きですね」

──この仕事でやっていくと決めた瞬間はこれまでにありましたか?

「この瞬間から!というのはないかもしれません…。最初は学業と両立させることに必死で。でも自分なりに覚悟はあるつもりです。長女だからかもしれないですが、曲がったことをしてはいけない、しっかりしなくちゃいけないという意識が強いんですね。だから正解があるほうが何事も楽。女優の仕事も監督のOKがあるから取り組みやすい。自分に合っている気がします」

──撮影の空き時間はどう過ごされていますか。

「ぼーっとしていることが多いです…(笑)。軽めの笑える短編集を読んだり。女性作家さんの長編小説を読んだりすると、わかりすぎて引っ張られてしまうので空き時間にはなかなか読めないなと最近気がつきました」

──影響されやすいタイプですか?

「友人の言葉が刺さったりはしますね。年齢のせいもあると思うんですが、最近どうしたら『可愛い』のかがわからなくなってきて…。友人に『女の人は“可愛い”から“きれい”や“かっこいい”になっていくもの。ちょうどその間にいるからなんじゃない?』と言われて妙に納得したりしています」

──今26歳。20代後半に入って思うところがあるんでしょうか。

「私、子どもっぽいし、ピュアだとよく言われます。最近はピュアすぎるのもどうなのかなと…。まだ年を重ねていくことが楽しいと思えないんです。周りのお姉さんたちが30代は楽しいと言っているのをよく聞きますがまだまだその域には到達できそうにない。むしろ知りたくなかった世の中の暗いところを知っていくのが怖いというか、いろんなことを知りすぎたくない!と思ってしまう。周りで起きていることが理解できるようになったというだけなのかもしれないですが、それを乗り越えたら楽しくなるのかな?と考えたりしています」

──海外経験も豊富でいらっしゃるので、むしろ積極的にいろんな問題と向き合っているのかと思っていました。

「それが違うんですよ。おっしゃるように、海外にいるといいことも悪いこともみんなで話し合うことが多いんですが、私はどうしてもそれに馴染めなくて…。嫌なことは話したくないし、平和でいたいなって」

──そういう意味では日本が合っている?

「周りには海外で働きたいという人もたくさんいますが、私は日本で仕事をしたいし、結婚相手も日本の方がいいですね。例えばオーストリアには家族もいて、大好きな場所ではあるんですけど」

──最近、興味があることは?

「すごく今更なんですが、お洋服に興味があるんです。10代の頃、ある監督さんに『仕事ができる人はおしゃれだ』と教えられたことがあって。ファッションは自分のためのものと思っていたので、そのときは全然わからなかったのですが、身だしなみにその人が出るということが最近になってわかるようになったんです。なので自分の着たい気持ち半分、相手に与える印象半分でお洋服を選んだりするようになりました。いろいろな人と仕事をしていきたいから、そこからだ!と(笑)」

──30代に向けて、目標とする女性像がありますか?

「『きれい』を意識していきたいです。生活スタイルや美容法も自分に合うものを見つけたいし、もちろん中身も外見に出てしまうと思うので中身も含めて成長したいですね。あとは、子どもの頃から母にも言われてきたことなんですが、どんなこともネガティブに考えがちなので、ポジティブに考えていきたい。笑顔って素敵だなとあらためて感じることがあったので、小さなことでも明るく捉えてたくさん笑っていきたいです」

──今後どういった作品に出演したいですか。

「みんなに愛されるハッピーなラブストーリーをやってみたいです。『月9』で放送されるような(笑)」

ドレス ¥129,000/N°21(イザ 0120-135-015) パンプス ¥74,000/Jimmy Choo(ジミー チュウ 03-5413-1200)

Photo: Akihito Igarashi Styling: Chizuru Komatsu Hair&Makeup: Hitoshi Nobusawa Text&Edit: Sayaka Ito

Profile

1992年、オーストリア・ウィーン生まれ。モデルとして多数の雑誌やCMで活躍。また女優として、映画『リアル鬼ごっこ』『任侠野郎』、ドラマ『捜査会議はリビングで!』などに出演。現在、ドラマ『僕らは奇跡でできている』(毎週火曜 21:00〜、カンテレ・フジテレビ系)、『テラスハウス OPENING NEW DOORS』(Netflixにて配信)に出演中。

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