山本美月インタビュー「愛のあるオタクなんです!」
自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出合い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。山本美月のビフォー&アフター。(「ヌメロ・トウキョウ」2017年12月号掲載)
──今年の9月号で『CanCam』を卒業。“ずるかわ”は、やり尽くした?
「はい。フレアスカスートはうまい具合に回せます。腰だけぐるっと、がコツ。『CanCam』名物らしいです」
──女優業は楽しいですか。
「どの役も面白いです。映画デビュー作『桐島、部活やめるってよ』では高校のマドンナ的な役だったのに、『全然、可愛くない』ってすごく怒られました。でもそれで評価されたので、今ではいい思い出。映画『黒執事』では、メイド服でアクションしたことも。舞台『怪談・にせ皿屋敷』では、醜い容姿の女の子がだんだん美しくなる役で、アドリブの多さに鍛えられました。現場によって内容もチームも違うので、やればやるほど幅が広くなっていく気がします」
──放送中の『刑事ゆがみ』では、今までのイメージを一新して、氷川和美という男の子っぽい役ですね。
「ヒズミは中性的でミステリアス。漫画喫茶を拠点にしていて、一切しゃべりません。原作漫画にはないオリジナルの役で、浅野忠信さんが演じる弓神刑事とも因縁があるようですが、まだ私も知らない。私にとってもミステリアスな役なんです(笑)」
──無言で演じるのは難しそう。
「弓神刑事がたくさん話しかけてくれるので、つい返事をしたくなりますね。どこか捨て犬みたいな必死さや愛らしさ、拾いたくなる感じが出せたらいいなあと思います。服装がハードめで、革の匂いのするコートが格好いいんです」
──敏腕ハッカーとして弓神刑事を支える役。山本さんは農学部出身と理系だから、パソコンも得意?
「いえ、機械、弱いんです。生物専攻で物理系じゃないので。最近もパソコンが壊れて初期化できず、わからなさすぎて、おなかが痛くなったほどです。ゲームも下手。ボタン操作が覚えられなくて、シュッて投げて捕まえるような単純なゲームならできるけど、視線を前に、装備を変える、マップを開くとかになると途端にダメ。ボタンは覚えられて3つです(笑)」
──ドラマでは提案するタイプ?
「しないです。ドラマは監督のものだと思っているので、私が意見を言ったら私のものになっちゃう。意見を求められたら言いますが、求められなければ口は出しません」
──この先、どんな役をやりたいですか?
「アニメや漫画が好きなので、キャラクターが立った役に惹かれます。ヒズミもアニメに出てくるようなキャラなので、すごくうれしい。女の子だけど男っぽい、男の子だけど女っぽい中性的なキャラが大好きなんです。アニメだったら、沢城みゆきさんや水樹奈々さんが演じるような。たぶん好きになったきっかけは『HUNTER HUNTER』のクラピカかな。『青い花』の杉本先輩みたいな、女子校にいるショートカットでモテそうなキャラがすごく好き。ファンタジーも好きで、ハリー・ポッターシリーズにも憧れます。ハーマイオニーを演じたい!」
──非現実的で、想像力豊かな世界がお好きなんですね。アニメはどのくらいの割合で見ていますか?
「毎日見ています。私は知識がたくさんあるオタクじゃなくて、純粋にアニメが大好きな、愛のあるオタクなんです! 監督や制作会社、声優などの知識をひけらかすのではなく。知識を入れなければと追い込まれるのは、すごく嫌。知らないからといって、にわかファンといわれるのは違うし、ただ好きであればいいんじゃないかなぁ」
──エンタメは楽しんでこそ!ですよね。最近、身の回りに変化は?
「ここ2年ぐらい、私、反抗期かなって思っています。反抗期がなくて、いい子だったんですよ。でも今になって(笑)。一人で生きていける人間になりたい願望があるんです。この仕事をしていると、事務所や周りの人にいろいろ頼れてしまうから『あれ、私、一人じゃ生きていけないのかなあ?』って、ふと不安になるんです」
──なかには、自分でスケジュール管理して、一人で行動する大物女優さんもいらっしゃいますよ。
「ちゃんと外の世界を知っているからできることですよね。わりと年上の俳優さんとよくご飯に行かせていただくのですが、現実的な話を聞くと、何が正しくて何が間違っているのか、自分で判断できるようにならなきゃと思います。結局、最後は一人だから」
──おじさんたちとも気が合うということは、性格はおやじっぽい?
「よく言われます。あまり媚びるのが得意じゃないところとか。おつまみも、エイヒレや酒盗ですから(笑)」
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Photos:Akihito Igarashi Styling:Aya Kurosaki Hair:Yuuk Makeup:Chacha Interview & Text:Maki Miura Edit:Saori Asaka