桐谷美玲「私、とっても現実派なので(笑)」 | Numero TOKYO
Interview / Post

桐谷美玲「私、とっても現実派なので(笑)」

自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出合い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。桐谷美玲のビフォー&アフター。

#106_きっかけ01
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──4月スタートの新ドラマ『人は見た目が100パーセント』で桐谷さんが演じるのは製紙会社に勤務する城之内純。真面目で見た目が冴えない、女子力ゼロのリケジョ(理系女子)です。

「彼女はずっと勉強と研究ばかりで、ビューティやファッションに関わることなく生きてきました。私、理系まったくできないので想像つかないのですが、地味に暮らしているところは似ていますね(笑)。それゆえ、自分に自信がなくて、おどおどしている女の子。だけどすごく一生懸命でピュア。自分を好きなわけでなく、かといって、今の暮らしを不幸とも感じていない。その世界に生きている自分でいいとも思っています。そんな女の子が覚悟を決めてビューティ研究を始め、変わっていく。失敗しながらも自分らしさを見つけて進む姿が素敵です。大きな変化ではないかもしれないけど、小さな一歩ってすごく大事だな、と。今回は原作漫画をヒントに役作りを考えています。漫画ではわからない、自信なさげにしゃべる感じや声のトーンは監督と相談しながら作っていけたら」

──なかなか刺激的なタイトルですが、見た目が100%と思いますか。

「見た目は大事だと思うし、外見だけでなく内面から発する雰囲気も含めての見た目だと思います。そう考えると、やはり大事かと。昔は大人っぽくなりたくて、メイクを濃くしたり、眉毛をめちゃくちゃ細くしたりと頑張っていました。今その写真を見ると、うわぁって思いますけど」

──今は、変わりたい!と思うところはありますか。

「全然ないんですよね。子どもの頃からあまり変わらない。だいぶ社交的にはなりました。昔は自分のおじいちゃんとも話せないような内弁慶な子どもだったんです。でも小学生のときに大阪に3年間住んだ際、大阪の人々がグイグイ来てくれてパーッと開放されました。明るくなり、おしゃべりできるようになった。それが人生最大の変化で、他は変わっていないです」

──女優としてさまざまな人になれるから変化は必要ないのかも。やってみたら楽しかった役は?

「絶対にドラマの中でしかなれない、戦隊ヒーローや金星人。もはや地球人じゃない役が楽しいです(笑)」

──芸能界に進んだきっかけは?

「高1の夏に突然、家に電話がかかってきました。その日『変な人に探されているから気をつけて』という連絡が友達からたくさん来たんですよ。うちの事務所は聞き込みをして、名前が挙がった人に会うのがスカウトの方法で、『この子を知っているか』と聞き回っていたんです。私には直接声をかけない分、怖かったですよ。それで後日、事務所に『つけ回すのをやめてください』と言いに行き、うまいこと乗せられてここにいる…みたいな(笑)」

──そこで、この仕事をやってみようという気持ちになった?

「全然。ただ、先輩の内山理名さんの撮影を見に行ったんです。現場で理名さんが素晴らしくキラキラしていて、素敵だなあと。いま考えると、全てが戦略。私が写真やファッション誌が好きだと話したから。一回やってみて、嫌だったら断ればいいと言われて、気づいたら10年以上がたちました」

──最初のお仕事は?

「ドラマ『吉祥天女』です。何も知らないまま、とりあえず現場に行けと言われて。ただ、先輩のいる現場だったので、教わりながらやりました」

──では、どこでこの仕事をやっていこうと決心したのですか。

「『SEVENTEEN』の専属モデルは大きかったですね。高2の春から撮影を始めて。同世代のモデルばかりで、もう一つの学校みたいでした。もともとファッションやメイクが好きだったので、可愛い洋服が着られて、全然違う自分になれるのが楽しかったです」

#106_きっかけ02
#106_きっかけ02

女優の仕事をしていなければOLだった!?

──仕事の上で、転機となったのはいつでしたか。

「転機というわけではありませんが、初めて『女帝・薫子』でドラマ主演したとき、立場や責任が変わったと感じました。視聴率はあまり気にしないのですけど。自分にできることを精いっぱい頑張るだけなので」

──今の仕事は自分に合っていると思いますか。

「思わないです。地味に目立たないように生きていきたい(笑)。私は完全なインドア派で、仕事がないと全然外に出ないタイプ。家でごろごろしたり、犬と遊んだり、最近は海外ドラマ見たり。『ウォーキング・デッド』を見始めたら止まらないんですよ。それまで、海外ドラマは見ないようにしていたけど、ついに手を出したら、次から次へと見ちゃいます。これ以上手を出したら寝る時間がなくなるので、まず『ウォーキング・デッド』を制覇しないと(笑)」

──この先、やってみたい役は?

「いま27歳ですが、意外と大人なのねと言われることが多くて。皆さんが思ってくれているイメージと実年齢に差があるので、少しずつ近づけていけたらと思います。格好いい女刑事とか、悪女とか。悪役、やったことないんですよね」

──キャスターとしても活躍していますね。

「自分で取材に行き、新たな世界のことを知るのは面白いです。インタビューするのはとても難しくて苦手なのですが、いろんな話を聞けるのは楽しい。例えばアートディレクターの吉田ユニさん。もともと私、ユニさんの作品が好きで、以前にもお仕事したことがあって。ちょっとだけ毒の入った、不思議で可愛い世界観が魅力です。撮影ではじっくり話す機会がないので、取材できてうれしかった。どこからあんなにユニークな発想が湧くのか、頭の中を見てみたいと思いました。自分と違う価値観の方にお話を伺うことで、自分に生かせることも多いです。同世代を取材することが多いので、刺激になりますね」

──自分に生かせることが多い?

「はい。この間、陶芸家の中園晋作さんの工房を訪ねて。もともと器が好きで、陶芸をやってみたいと思っていたので、陶芸熱が再燃しました。ちょっとだけろくろをやらせていただいたんですけど、全然できなかったですね。器を見るのも楽しみで、個展に行ったり、お店でいろんな作家さんの器を見て、何をのせたらいいかな?と考えるのも好き」

──では女優にならなかったら、今頃は陶芸家?

「いいですね! でも実際は普通のOLかな。私、とっても現実派なので(笑)」

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Photos:Sasu Tei
Styling:Keiko Miyazawa
Hair & Makeup:Takako Imai
Interview & Text:Maki Miura
Edit:Saori Asaka

Profile

桐谷美玲(Mirei Kiritani) 1989年生まれ、千葉県出身。2006年から約5年間『セブンティーン』の専属モデルを務め、同年代を中心に人気を博す。同年、女優としても映画、ドラマデビュー。12年より『NEWSZERO』火曜日キャスターとしても活躍する。近作にNetflix Originalドラマ『アンダーウェア』(15年〜)、ドラマ『好きな人がいること』(16年)ほか。4月スタートの木曜劇場『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系列 毎週木曜22時〜)で主演を務める。

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