桐谷美玲「私、とっても現実派なので(笑)」
自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出合い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。桐谷美玲のビフォー&アフター。
──女優としてさまざまな人になれるから変化は必要ないのかも。やってみたら楽しかった役は?
「絶対にドラマの中でしかなれない、戦隊ヒーローや金星人。もはや地球人じゃない役が楽しいです(笑)」
──芸能界に進んだきっかけは?
「高1の夏に突然、家に電話がかかってきました。その日『変な人に探されているから気をつけて』という連絡が友達からたくさん来たんですよ。うちの事務所は聞き込みをして、名前が挙がった人に会うのがスカウトの方法で、『この子を知っているか』と聞き回っていたんです。私には直接声をかけない分、怖かったですよ。それで後日、事務所に『つけ回すのをやめてください』と言いに行き、うまいこと乗せられてここにいる…みたいな(笑)」
──そこで、この仕事をやってみようという気持ちになった?
「全然。ただ、先輩の内山理名さんの撮影を見に行ったんです。現場で理名さんが素晴らしくキラキラしていて、素敵だなあと。いま考えると、全てが戦略。私が写真やファッション誌が好きだと話したから。一回やってみて、嫌だったら断ればいいと言われて、気づいたら10年以上がたちました」
──最初のお仕事は?
「ドラマ『吉祥天女』です。何も知らないまま、とりあえず現場に行けと言われて。ただ、先輩のいる現場だったので、教わりながらやりました」
──では、どこでこの仕事をやっていこうと決心したのですか。
「『SEVENTEEN』の専属モデルは大きかったですね。高2の春から撮影を始めて。同世代のモデルばかりで、もう一つの学校みたいでした。もともとファッションやメイクが好きだったので、可愛い洋服が着られて、全然違う自分になれるのが楽しかったです」
女優の仕事をしていなければOLだった!?
──仕事の上で、転機となったのはいつでしたか。
「転機というわけではありませんが、初めて『女帝・薫子』でドラマ主演したとき、立場や責任が変わったと感じました。視聴率はあまり気にしないのですけど。自分にできることを精いっぱい頑張るだけなので」
──今の仕事は自分に合っていると思いますか。
「思わないです。地味に目立たないように生きていきたい(笑)。私は完全なインドア派で、仕事がないと全然外に出ないタイプ。家でごろごろしたり、犬と遊んだり、最近は海外ドラマ見たり。『ウォーキング・デッド』を見始めたら止まらないんですよ。それまで、海外ドラマは見ないようにしていたけど、ついに手を出したら、次から次へと見ちゃいます。これ以上手を出したら寝る時間がなくなるので、まず『ウォーキング・デッド』を制覇しないと(笑)」
──この先、やってみたい役は?
「いま27歳ですが、意外と大人なのねと言われることが多くて。皆さんが思ってくれているイメージと実年齢に差があるので、少しずつ近づけていけたらと思います。格好いい女刑事とか、悪女とか。悪役、やったことないんですよね」
──キャスターとしても活躍していますね。
「自分で取材に行き、新たな世界のことを知るのは面白いです。インタビューするのはとても難しくて苦手なのですが、いろんな話を聞けるのは楽しい。例えばアートディレクターの吉田ユニさん。もともと私、ユニさんの作品が好きで、以前にもお仕事したことがあって。ちょっとだけ毒の入った、不思議で可愛い世界観が魅力です。撮影ではじっくり話す機会がないので、取材できてうれしかった。どこからあんなにユニークな発想が湧くのか、頭の中を見てみたいと思いました。自分と違う価値観の方にお話を伺うことで、自分に生かせることも多いです。同世代を取材することが多いので、刺激になりますね」
──自分に生かせることが多い?
「はい。この間、陶芸家の中園晋作さんの工房を訪ねて。もともと器が好きで、陶芸をやってみたいと思っていたので、陶芸熱が再燃しました。ちょっとだけろくろをやらせていただいたんですけど、全然できなかったですね。器を見るのも楽しみで、個展に行ったり、お店でいろんな作家さんの器を見て、何をのせたらいいかな?と考えるのも好き」
──では女優にならなかったら、今頃は陶芸家?
「いいですね! でも実際は普通のOLかな。私、とっても現実派なので(笑)」
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Photos:Sasu Tei
Styling:Keiko Miyazawa
Hair & Makeup:Takako Imai
Interview & Text:Maki Miura
Edit:Saori Asaka