Interview / Post
──ベストセラーを原案としたドラマということで、期待が大きい分、プレッシャーも強そうですね。フジテレビの連続ドラマ主演は5年ぶりだそうですが、女優として香里奈さんのターニングポイントになった作品は何でしたか。
「草彅剛さん主演のドラマ『僕の歩く道』という作品です。初めてのヒューマンドラマでした。ストーリーも重かったですし、最初はプレッシャーのあまり、怖くて読み合わせの直前まで台本を開けなかったほどでした。当然、当時のマネージャーにすごく怒られましたけれど(笑)。それまでも新人ながら役をいただいていたのですが、お芝居に関してほとんど独学に近い状態からのスタートでしたし、いつも気持ちは重かったんです。何をやってもモデル上がりだとか、下手だとか言われるんじゃないかって自分で思い込んでいて。今だったらプレッシャーを感じても気持ちを切り替えることができますが、その当時は重圧に押しつぶされそうになっていました。でもこの作品をきっかけに、より女優のお仕事に向かい合うことができた気がします。また、初めて主演をやらせていただいた『だいすき!!』というドラマも思い入れがあります。知的障害のある女の子という今までにない役どころだったので大変でしたが、自分で役を作っていく面白さや、やりがいを感じたのもその頃からでした」
──その頃からだんだんプレッシャーをはねのけられるようになったんですね。
「そんなことを言っていられる場合じゃなくなったんです。やるしかないという感じで。それまでは新人扱いで、許してもらえていた部分もあったと思うのですが、いつまでも甘えていられないですし」
──その気持ちを後押ししてくれたものは何だったんでしょうか。
「家族やスタッフの方々を含めた周囲のサポートはもちろんですが、自分が負けず嫌いの性格だったからですね。最初はいろいろな反応を聞いて落ち込むこともありましたが、言われれば言われるほど“あとで見返してやる!”と思うようになりました。そのくらいの気持ちで挑んだほうがいいなと」
──演じる上で、自分自身の考えを言ったりも?
「いつも自分なりに考えて演じていますが、わからなかったり、台本に違和感を覚えたりしたときは、監督に相談して細かく話し合っています」
──今は演じることが楽しいですか。
「プレッシャーには慣れましたが、作品によって現場の雰囲気なども違いますし、演じることに余裕はありません。役を演じていて楽しいと感じる日は一生こないんじゃないかなと思うほどです(笑)。ただ、難しいながらも、たくさんの人たちと一つの作品を作っていく過程はとても楽しいと感じています」
──モデル業と女優業、どちらが性に合っていると感じますか?
「もともとモデルからスタートしているので、私にとってのベースともいえます。そしてモデルの仕事があったからこそ、女優のお仕事を続けることができたと思っています。モデルを続けていなかったら、女優業のモチベーションも保てなかったと思う。それに私は毎日同じ内容の仕事をするのが苦手なタイプなので、そういう意味でも、モデル業と女優業の、刺激し合えるスタイルが自分には合っていると思います」
──ほかにも両立してやってみたいことはありますか?
「以前ウェディングドレスのプロデュースをさせていただいたことがあり、すごく楽しかったんです。やっぱりもの作りが好きなんでしょうね。そういった別のタイプのもの作りができたらいいなと思います」
黒ライダースレザーワンピース¥230,000/Beautiful People(ビューティフルピープル 青山店)
香里奈「いつまでも甘えていられない」
自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出会い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。香里奈のビフォー&アフター。
#104_きっかけ2
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Photos:Gen Saito
Styling:Keiko Watanabe
Hair & Makeup:Shio
Interview & Text:Mari Higure
Edit:Saori Asaka
Profile
香里奈(Karina)1984 年生まれ、愛知県出身。15歳でモデルデビュー。2000年から14年まで『Ray』にて専属モデルを務め、現在は『GINGER』のレギュラーモデル。01年にドラマ『カバチタレ!』で女優デビューし、以降ドラマ『だいすき!!』や映画『ガール』など多くの作品で主演。1月スタートの木曜劇場『嫌われる勇気』(フジテレビ系 毎週木曜22:00~)に出演中。