俳優、野村周平の夢
「いつか監督をやってみたい」
自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出会い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。野村周平のビフォー&アフター。
──朝ドラはお年寄りにまで顔と名前を知られるわけで、作品的にも転機の一つになったのでは?
「そうですね。同世代と絡むことが多かったんですけど、ベテランの皆さんともご一緒できました。それこそお年寄りからお子さんまで、いろんな世代の方にも見ていただいて。だから最近の僕を見ながら『あのマジメな光男ちゃんはどこに?』と、残念に思われている方もいらっしゃるかもしれません(笑)」
──自分で言いますか(笑)。でも、そういうオープンな性格だから、年上に好かれるんじゃないですか?
「そうですね、オジサンに…というと語弊がありますが(笑)、今も遊んだりするのは年上の方が多いです。子どもの頃からスノーボードの世界でやっていたせいか、当時から大人とばかりつるんでいたんですよ。それもあって大人との付き合い方はわかるんですけど、若い人たち…まあ僕も若いですけどね(笑)、同年代の人が何を考えてるか、よくわからなくって」
──飲みに行ったりはしない?
「もちろん行くこともあります。でも若い人同士だと、すぐ芝居論をアツく語りたくなるから。別に仕事の話はOKなんですけど、僕らはキャリアも経験もないわけで、それで芝居論を語ってもなと。それよりも、今は与えられたことを必死でやろうって思います。アツく議論した揚げ句に、肩組んで…。そういうノリはちょっと苦手ですね」
──よく言われている、共感できる範囲内だけでの仲間意識ですね。
「上の世代の俳優さんって、よくも悪くもブッ飛んだ方が多いじゃないですか? エピソードも破天荒だし。お酒の席で仕事の話もするけど、映画界とか全体の話で自分の話はしないし。でも、お芝居はすごいし、今も仕事ができているということはちゃんとやってこられたんだろうなと思うから。そういう先輩方といるほうが楽しいです。また憧れもします」
──野村さんの年は、福士蒼汰さんに神木隆之介さん、菅田将暉さん…いわゆる“華の93年組”といわれている世代。同世代の俳優はライバルだったりするんですか?
「それはないです。そう思うってことは、自分と一緒のタイプだと思うからじゃないですか。僕はみんな違うタイプだと思ってるので。みんな仲はいいですし、お互い尊敬もしてます。その人にはなれないし、皆それぞれにいいところがたくさんあるなって思います。だから僕は、10代の頃に仲間に言われたように、自分を貫き通すだけですね」
──大学に行くか迷ったと言っていましたが、もし行っていたら卒業して新入社員の年齢なんですよね。
「行かなくてよかったと思います。大学は目的がない人間は行っちゃいけない場所だと思いましたし。でも正直、サークルとか、そういうのはやってみたかったですけど(笑)」
──もしいま大学に行くとしたら?
「税理士の仕事に興味があるんで、経済の勉強がしてみたいです。スノボとかBMX関係の仲間と遊ぶことが多いんですけど、みんなしっかりしてるんですよ。税金とか世の中の仕組みをちゃんと知っとかなきゃなって思います。将来的にも役に立つと思います」
──先々の夢はありますか?
「いつか監督をやってみたいです。BMXライダーの映画を撮ってみたい。ウソの多い世の中なんで、日本のリアルなストリートの現場を映像に残したいなと思います。あと、これ言うと誤解されがちなんですけど、金持ちになる! やはり映画を撮るにしてもお金は必要だし。日本だけでなく、海外も当然見ています。せっかくこの世界でやると決めたからには、夢は大きく持っていたいなと思います」
シャツ¥15,000/Kaiko(O 代官山)ジャケット¥55,000/Enharmonic Tavern パンツ¥27,000/Wyatt 靴¥31,200/Blohm(すべてスタジオ・ファブワーク)
Photos:Sasu Tei
Styling:Satoshi Yoshimoto
Hair & Makeup:Tatsuya Nishioka
Interview & Text:Tatsunori Hashimoto
Edit:Saori Asaka