俳優、野村周平の夢
「いつか監督をやってみたい」
自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出会い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。野村周平のビフォー&アフター。
──7月クールの“月9”『好きな人がいること』に出演。仕事をクビになった、ヒロインのパティシエ(桐谷美玲)が、天才シェフの次男(山﨑賢人)をはじめとする3兄弟(三浦翔平、野村)とのシェアハウス生活をきっかけに…という恋愛ドラマです。野村さん演じるお調子ものの三男・冬真は、調理師学校に通っているものの、できの良い兄2人に囲まれて、進路に悩む年頃。野村さんご自身の転機といえば?
「いろんなところで言ってますが、やはりデビューのきっかけになったオーディションですかね(「アミューズ全国オーディション2009」)。父親が応募したんですけど、その賞金でBMXを買おうかなと思って」
──今回のドラマでも冬真がBMXを乗りこなすシーンが見られるようで、楽しみです。オーディションは、仕方ないなあ…くらいの感じで受けたんでしょうか?
「軽い気持ちでした。ですが、スノーボードをやってたので、勝負事には負けたくはなかったです」
──結果、グランプリを受賞。そのときの感想はいかがでしたか?
「『やった!』っと。でも、喜んだのもつかの間で。いざ俳優になったと思ったら、仕事は全然来ない。兵庫から上京したてで、他に友達もいない。周りにいた俳優仲間に流されて…しばらくは自分を見失ってました」
──例えば、どんなふうに?
「流行ってたK-POPになんとなく染まってみたり、サングラスかけて、わけもなく『グレイト!』とか言ってみたりですかね(笑)」
──若いですね、今も若いけど(笑)。
「(笑)、完全に若気の至りです。そんなとき、昔からのスノボとかBMXの仲間に『そういう(流されてる)おまえ、ダサくね?』と言われ、ハッとしました」
──何歳くらいのときですか?
「16〜17歳の時ですけど、こんなに仕事がないなら大学でも…みたいな迷える時期で。でも、行ったところでやりたいこともなかったし。だったら、やれるところまで俳優の仕事を頑張ろうと。昔からの仲間に、カッコよく言えば『変わらずおまえのまま行け!』的なことを言われて、目が覚めましたね」
──小誌での19歳時のインタビューでは「納得がいくまでこの世界で頑張りたい」と決意のほどを。
「(照れ)完全に吹っ切れた頃ですね。仕事がないくせに『ま、いっか…』って浮ついた気持ちで周りに流されて、その後に心を入れ替えた頃。そうしたら、不思議と仕事も頂けるようになってきたんですよ」
──そんな気持ちの変化は、態度や行動にも現れましたか?
「『梅ちゃん先生』に出させてもらった頃ですかね? それまでは撮影現場でも割とにぎやかだったんですけど、その役柄(集団就職のため上京した勤勉な青年)やNHKの朝ドラということもあって、静かに過ごすようになりました。今もイタズラとかはしてますが、ちゃんと空気を読めるようにはなったつもりです(笑)」
Photos:Sasu Tei
Styling:Satoshi Yoshimoto
Hair & Makeup:Tatsuya Nishioka
Interview & Text:Tatsunori Hashimoto
Edit:Saori Asaka