大谷亮平インタビュー「傷つかない楽な恋愛なんてない」 | Numero TOKYO
Interview / Post

大谷亮平インタビュー「傷つかない楽な恋愛なんてない」

自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出合い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。大谷亮平のビフォー&アフター。(「ヌメロ・トウキョウ」2020年1・2月合併号掲載)

──大谷さんは学生時代、バレーボールひと筋でしたが、10月のワールドカップはご覧になりましたか? 「もちろんです。ラグビーも観てましたけど、自分がバレーをしてるので、バレーを中心に観てました。それに、日本チームの柳田将洋選手と交流があるんです。最終戦の翌日、彼がドイツに帰る前に慰労会をしました」 ──今大会、日本男子チームの快進撃はすごかったですね。 「本当に素晴らしかった。石川選手、西田選手、関田選手……、挙げればキリがないくらい、どの選手も大会に向けて仕上げてました。柳田選手のジャンプサーブも、ここまで来たのかと驚きました。僕もかなり本気でやっていたので、サーブ1本くらいなら取れるだろうと思ってましたが、あそこまでいくと無理かもしれない。今回、参加した海外のチームにはエースが帯同しなかったところもあるので、オリンピックまでに日本チームをはじめ各チームがどこまで仕上げてくるのか楽しみです」 ──今もプレイすることは? 「チームに入っているので、週1回は練習しています。韓国にいたときも、韓国代表チームと一緒に練習してました。ただ、試合には参加してないんですよ。ソウルにいたとき、映画の撮影中にバレーで靭帯を切ってしまったことがあり、みなさんにご迷惑をかけたので、まずは現状をキープすることを目標に。バレーは僕の人生で唯一、継続していることだと思っているので、長く続けたいですね。それに、普段のトレーニングが効いてるとジャンプサーブのキレが良いとか、バレーが体調のバロメーターにもなっています」

──バレーボールは、大谷さんの人生の柱になっているんですね。

「小学生の頃から厳しいチームにいたので、人生の基盤になってしまいました。礼儀や上下関係など、今も考え方が体育会系かもしれないです」

──では、ターニングポイントは?

「まず、バレーの世界から芸能界に入り、韓国に渡ったこと。この仕事を始めてすぐに韓国でCMが決まり、しばらく日本と韓国を往復していたんですが、本格的に住んでみないかと誘われて。だから、俳優デビューしたのは韓国なんです。それから、韓国から日本に戻ってきたときが2つ目のターニングポイントです。韓国で所属していた事務所のスタッフが、釜山国際映画祭で今の事務所のスタッフに出会い、『ウチの事務所に日本人がいる』と話したことから日本での仕事が決まって。日本の仕事も、最初の頃は韓国と往復してたんですよ。それから本格的に日本で活動することになって。僕の人生はすべて運と縁なんです」

──流れに任せるタイプですか?

「今に結びついているのは、縁が運んでくれました。自発的に動くこともあるんですが、それはあまりいい結果にならなくて(笑)」

──バレーボールを始めたのは?

「小学生の頃、ママさんバレーをしていた近所の人が、やってみたらと誘ってくれたのがきっかけでした」

──それも縁なんですね。日本で活動を開始して約3年半ですが、そう思えないくらい多くの作品に出演されていますが。

「12年間韓国にいたので、日本に戻ったとき、日本語での演技のスキルがゼロだったんですね。それをどうにかするには、とにかく場数しかない。だから、たくさん作品に出て経験を積みました。韓国でのやり方が染みついている部分があるので、もしかしたら、日本で長くお芝居をされてきた俳優さんと比べると、違和感を感じる方もいるかもしれません。でも韓国での経験も含めて僕なので、その中で何ができるか、やっと今少しずつわかってきたところです」

──ドラマ『リカ』では、自称28歳の看護師・雨宮リカ(高岡早紀)のターゲットになる本間隆雄を演じています。これは強烈なドラマですね。

「リカは一度、運命だと思い込んだら、どんな手段もいとわない女性です。本間には妻と子どもがいますが、リカはお構いなし。本間は家族を守らなくてはいけないけれど、果たして守り切れるのかが見どころです」

──本間は映画プロデューサーですが、共感する部分はありましたか?

「本間は普通の人なんですよ。例えばドラマを観ていて、『すぐに警察に駆け込めばいいのに、どうして自力でがんばるんだろう』と疑問に思うことがありますよね。でも、彼は自分ではどうにもならないと感じたらすぐに周囲に助けを求めます。結果、いろんな人が巻き込まれ、犠牲が出てしまう。それは本間が意図したわけじゃないけれど、そこがまたリアルだと思いました。もしかしたら、観ていて『少しくらい自分でどうにかしろ!』とイライラするかもしれない。普通のドラマなら、本間に少しはカッコいい部分を残したりしそうなものですが、今回は本当に普通の男。視聴者の方は本間の視点で観ると思うので、自分だったらどうするのか、何ができるのか、リカ対策を考えながら観てください」

──リカは一度、運命の人だと思い込んだら、誰かを殺してまで全力で突き進みますが、大谷さん自身は全身全霊を何かに傾ける気持ちは理解できますか?

「ストーカーはまた別の話ですけど、恋愛に関しては、理性を失ってしまうことはあり得ますよね」

──過去にそんな経験は?

「昔、どうしようもなく苦しい恋愛がありました。そもそも傷つかない楽な恋愛なんてあるのかな。スパッと頭で割り切れたらいいですけど」

──そのときは、どうやってその苦しさを解消したんですか?

「誰にも話さず家に籠るタイプと、外で飲んで発散するタイプ、2通りに分かれると思うんですが、僕は家に籠ると煮詰まるので、周りに悟られないように外で発散してました」

──バレーも役に立ちましたか?

「バレーの練習はありがたかった(笑)。撮影に入ってない時期だと、そのことばかり考えてしまうので。家にいるのがしんどいとき、音楽を聴きながらひとりで10時間以上、街を歩き続けたこともありました」

──恋愛は情熱的なタイプですね。

「恋愛のウェイトは大きいかもしれません。でも、そこまでの恋愛は一度きりで、それ以来はないですね。何もないのも寂しいですけど」

──その経験も演技の糧になるとか。

「今回はどうかな。とにかくリカが怖すぎるので、本間がどう切り抜けるのか怯えながら楽しんでください」

Photo:Kisimari Styling:Shogo Ito Hair&Make up:Ayaka Kanno Interview&Text:Miho Matsuda Edit:Saki Shibata

Profile

大谷亮平Ryohei Otani 1980年10月1日、大阪府生まれ。日本でモデル活動を始めてすぐ2003 年韓国でのCM 出演が決まり、それをきっかけに韓国でモデル・俳優として活動。16年より日本での活動を開始。出演作にドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』『まんぷく』『ノーサイド・ゲーム』、映画『ゼニガタ』『焼肉ドラゴン』など。20 年上演予定ミュージカル『ボディガード』への出演も決定している。現在、オトナの土ドラ『リカ』(東海テレビ・フジテレビ系にて毎週土曜23:40 〜)に出演。

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