パントビスコの不都合研究所 vol.9 鈴木えみ
世の中に渦巻くありとあらゆる“不都合”な出来事や日常の些細な気づき、気になることなどをテーマに、人気クリエイターのパントビスコがゲストを迎えてゆる〜くトークを繰り広げる連載「パントビスコの不都合研究所」。東急プラザ表参道原宿で開催中の「少し〇〇な芸術祭」会場にて、鈴木えみをゲストにお迎え。
パントビスコ「初めまして。今日はお越しいただきありがとうございます。お会いして、本当に実在するかたなんだと思いました」 鈴木えみ「それ、なぜかよく言われます(笑)。こちらこそよろしくお願いします!」 パントビスコ「はじめに似顔絵を描いていただきたいのですが、普段絵は描かれますか?」 鈴木えみ「デザイン画は描くのですが、絵は不安ですね。頑張ります」 パントビスコ「眼鏡や帽子など特徴はあるので、それで似せられるかもしれませんね」 鈴木えみ「いじわるプロデューサーみたいな感じになっちゃいました(笑)」
似顔絵完成!
鈴木えみ「髪が長い!」
パントビスコ「すごくお上手ですね。似てます。パッケージデザインにありそう」
鈴木えみ「ありますか?(笑)」
「今日の対談のテーマなのですが、えみさんが日常で不都合だったり不便に感じていることはありますか?」
「うーん、そうですね……。やっぱり変なルールってたくさんありますよね。人が帰った後にすぐ家の鍵を閉めちゃいけないとか」
「ありますよね。相手への気遣いというか」
「過度な気遣いですよね」
「宅急便の配達の人から荷物を受け取った後に、ドアに耳をすませてその人が立ち去ってから鍵を閉めるというのを漫画にしたことがあります。今までで一番大きな反響があったのですが、なかには防犯上早く鍵を閉めたほうが良いという意見もありました」
これに共感できる人は100%やさしい人説。 pic.twitter.com/iYTuxiyAML
— パントビスコ (@pantovisco) May 22, 2020
「私も、今まで立ち去ったのを確認してから鍵を閉めていたんですけど、それも面倒になって、最近だとドアを閉めるのと同時に鍵をかけています(笑)。音がかき消されるように」
「確かに。それだと相手も気にならないですね」
もしかして、誘いづらいと思われている!?
「何だろう、ほかに不都合なこと……」
「僕のを言ってもいいですか? 人と約束ごとをするときに、本音と建前を気にしてしまうんです。例えば、よく『行けたらいくわ』とか、『コロナが落ち着いたらご飯に行こうね』って言うじゃないですか。えみさんが、『コロナが落ち着いたら会おうね』と人に言うとしたら、行く度は何%ですか?」
「えーっ。相手にもよりますかね。でも、私は『いつにします?』ってその場で日にちを決めたいタイプです」
「そうなんですね。それで推し量れますよね。本当に会いたい相手だったら、日程を決めますしね」
「それで言うと、私は結構自分からガンガン誘うほうなんですね。今まで私が誘って会っていた人たちを一旦誘わずにいて、果たして向こうから誘いが来るのかな、というのを今チャレンジ中です(笑)」
「なるほど。それが当たり前の関係値になっていることもありますもんね。誘うほうと誘われるほう、どちらが多いですか?」
「うーん、誘うほうが多いですね」
「少し意外ですね」
「みんな気を遣っているのかもしれないですね」
「それもあると思います。今回の対談も、ダメ元でお声がけしたところこのように実現したので、声をかけてみて良かったなと思いました」
「声をかけづらいんでしょうかね……。全然そんなことないんですけど。どうしたらいいですか?」
「どうしようもないですね、それは(笑)。とはいえ、誘って誘ってと言うのも変ですしね」
「誘いづらいのは子育てをしているのもあるのかもしれませんね」
それぞれのクリエーションが生まれるところ
「作品を作るときは、どこからインスピレーションを得ていますか?」
「普段歩いているときとか、何気なく生活しているなかで気づくことが多いです」
「逆に、普通に生活するようにしているということですか?」
「そうですね。頑張ってネタ探しはしていないです。お洋服やデザインはどこからアイデアを思いつくんですか?」
「私は過去の資料やコレクションを見たりするのが結構苦手なんです。日常着のつもりでお洋服を作っているので、まさに同じ感じですね。アイデアが降ってくる瞬間に書き留めて、タイミングで一斉にそれを形に落とし込んでいきます」
「素晴らしい。同業者だったり、自分の役割に近いかたの作品やクリエイティブを見ることはありますか?」
「あります、あります。デザイナーの友人も結構いるので、展示会に行ったり生地の作り方だったりそういう知識を教えてもらったりすることも多いですね」
「僕は近いようなクリエイティブを見ると、意識しないところで深層心理に根付いて、真似をしてしまうんじゃないかという怖さがあるんです」
「あると思います。一回見てしまうと、刷り込みのように1%くらい入っちゃうみたいな」
「ひどい人は9割入る人もいるじゃないですか」
「それは気づいてって思いますけど(笑)」
「なので、似たような作品を作っている人のものは見ないようにしています。僕、喋りすぎですか?」
「大丈夫です。お喋りお好きなんですね」
「間が怖いので、間が開かないように気をつけながら話しています(笑)。ラジオのようになっちゃうんですけど」
「意外でした。もうちょっと壁を持ったまま一定の距離を保つタイプかなと思っていたので」
「全然です。むしろ嫌われないようにしなきゃと相手がどう思っているかを常に考えてしまうほうです」
鈴木えみが考える夢の“ゲーセン”
「もう一つ聞きたいことがあって、今コロナ禍で閉店してしまっているお店も多いですよね。そういう空きテナントを見て胸が痛いのですが、仮にご自分がやられているお仕事以外で、表参道の路面店を自由に使っていいよと言われたら、何をしたいですか?」
「えー。楽しそう。どれくらいの広さですか?」
「じゃあ、この会場くらいの広さにしましょう」
「何にしようか……。すごいゲーセン!」
「意外な答えですね。ゲーセンと言ってもいろいろありますけど、どんなものでしょうか」
「見たことないゲーセン。UFOキャッチャーなんだけど、景品が『えっ!?』ていうのをやりたいです」
「面白そうですね。僕、この間三重県伊勢市に行ってきたのですが、伊勢海老キャッチャーがありました」
「私も今、サザエとかいいなって思ってました」
「まさに。そこのお店は、本物の伊勢海老を取るのではなく、伊勢海老のぬいぐるみを釣り上げたら、店長が裏から伊勢海老を持ってきてくれるシステムでした。サザエいいですね」
「取るのにちょっと罪悪感が低そうじゃないですか」
「そうですね。取りやすそうだし」
美容室でのモヤモヤ
「不都合、ありました。美容室で髪を最後に乾かしてもらうじゃないですか。そうすると、お会計にブロー代金っていうのが入るんですよ。自分で乾かそうかなって思いません?」
「まぁそうですね。プロなので上手にやってくれるとは思いますが」
「これは『自分で乾かします』って言ったら、ゼロになるのかなってこの間思いました。『乾かしますか?』って選択肢はないじゃないですか」
「ないですね。言われた通りにやるしかない。あれみたいですね、居酒屋のお通し代」
「そうですね。でもお通しは断れるって言いますもんね」
「プロとして最後まで整えたかたちでお帰りいただきたいというのもあるのかもしれませんね」
「それなら、ブローも込みの金額にしてほしいです」
「確かに。ブロー代金の内容がお店によってまちまちなのも問題ですね。セットや仕上げ代も含まれていたりとか。それではこれについて解決法を考えてみましょう」
鈴木えみが手がけるブランド「Lautashi」が受注会を開催
11月14日(日):群馬
11月20日(土)〜21日(日):大阪
詳しくは特設サイトへ
鈴木えみプロデュースのスイーツが発売中!
フォアグラやトリュフを使用した最中のスイーツとバスクチーズケーキがセットに。フレンチレストラン「Francais La Porte」のオーナーシェフ片岡竜也氏とのコラボ。
大丸松坂屋オンラインショッピングサイトにて販売中。
11月18日(木)までパントビスコが東急ブラザ表参道原宿をジャック!
今回の対談場所となったのは、東急プラザ表参道原宿で開催中のパントビスコ「少し〇〇な芸術祭」展示会場。パントビスコによるとなる人気キャラクターたちにポップアート風のカラーを施したアートパネルや「返り討ちかるた」をテーマにした立体展示、「#勝手にアンケート」シリーズをモチーフにした作品など、本企画のために考案された新作や描き下ろしイラストを含む約10作品が集結!
「少し〇〇な芸術祭」
期間/2021年10月15日(金)~11月18日(木)
場所/東急プラザ表参道原宿
内容/パントビスコの作品を用いた展示、フォトスポット、ノベルティプレゼント
エントランス:パントビスコの特別階段装飾
3階:パントビスコ作品展示 特設会場 ※入場料無料
4階:大型フォトスポットの設置
6階「おもはらの森」:キャラクター展示 ◎全店舗:1,000円(税込)以上のお買い上げでステッカープレゼント ※なくなり次第終了
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Photos: Kouki Hayashi Edit & Text: Yukiko Shinto