発売中のNUMERO TOKYO 4月号では、フィギュアスケーターの安藤美姫さんを特集いたしました。
約2年ぶりの再登場。久し振りにお会いした美姫さんは、どこか肩の力が抜けたような、
リラックスした柔らかい大人の女性の印象を受けました。
昨年12月に3年ぶりに出場した全日本選手権のショートの演技を観たとき、ぐっと胸に来る感動がありました。
あの『マイ・ウェイ』で見せてくれた美姫さんの演技は、彼女の生き方がそのまま表れたものだな、と。
常に自分自身と闘いながら、新しい挑戦を。そして、情熱的に真摯に、柔らかに艶っぽく、大胆に軽やかに。
氷上を舞う彼女見れば、なにも語らなくても、どれだけスケートを愛しているかが分かった演技。
終わった後の美姫さんの笑顔と溢れ出る涙を見て、さらに私自身の胸も熱くなりました。
見ている者に勇気を与えて、突き動かしてくれるパフォーマンス…、これはつまり芸術の持つ力。
そして、翌日の『火の鳥』の演技を最後に、現役引退を表明しました。
「結果よりもただ自分らしくいたい。そういうタイプのスケーターなんですよね、私は」とインタビューで笑顔で話してくれた美姫さん。
アスリートとして表現者として勝つこと以上に、「自分というものを持つこと」を常に追求した彼女。
安藤美姫らしさが溢れ出た演技で、引退と決断したのも、美姫さんの強さですよね。
「そもそも、決断のその瞬間には正解はないと思うんです。
それを正解にしていけばいいだけ。残念な結果に終わったとしても
そこから学びがあるし、自分が挑戦したいことは大きな力になると思うから」。
こんなふうに話せる安藤美姫さんは、正真正銘の唯一無二のトップアスリートです。
自分らしさと信念を持っている人間には、腹を括った強さがあります。
昨年、娘さんを出産し、母であり、現役のアスリートである安藤美姫さんは、
その芯の強さを、柔らかな女性らしさで包み込んだような本当に素敵な女性へ進化されていました。
☟こちらは、撮影中の美姫さん。
ファッションやメイクがとても好きで、楽しんで撮影に臨んでくださりました。
大人っぽかったり、女の子みたいにはしゃいだり。本当に多面的な魅力がたくさんあります。
インタビューの最後に「子育てはどうですか?」と伺うと、
「(中略)初めての経験で分からないのは当たり前だし、それは恥ずかしいことじゃない。
最初からお母さんやトップスケーターになれる人はいない。どういう立場でも、徐々に成長していく。
子どもが育ててくれるよってよく言われますけれど、その通りだなって思っています。(略)」と、美姫さんらしいお答えでした。
人生は未知なることに挑戦するから意味がある。
そんなことをお話しながら教えていただき、私自身すごく大きな勇気と励ましをいただきました。
ぜひ、みなさまにも読んでいただければ嬉しいです。