
三浦透子の演技は、思わず見入ってしまう不思議な力を持っている。不思議と言えば、歌手としての実力も併せ持つ三浦の声も、すごく響くとか圧倒的に通るという印象ではない。しかし、彼女の演技も、声も確実に「届いてくる」のだ。
そんな彼女の一人芝居が上演される。作品はオーストラリア出身で、弁護士としても活躍した経験のある劇作家スージー・ミラーの『プライマ・フェイシィ』だ。性的暴行を受けた女性たちが法廷でどのような扱いを受け、司法制度の限界に直面する姿を取り上げた作品は、観客、法曹界の女性、政治家、メディアに熱狂的に受け容れられ、世界各国からの注目が集まった。
2019年にオーストラリアのシドニーで初演。その後、新型コロナウィルスのパンデミックによる公演中止の時期を経て、イギリスのウエストエンド、アメリカのブロードウェイと上演が重ねられ、主演したジョディ・カマーはイギリスではローレンス・オリヴィエ賞最優秀女優賞、アメリカではトニー賞の最優秀女優賞を受賞している。
弁護士として活躍する主人公テッサは、一転、被害者の立場に立たされることで、自分が信じてきた法制度が被害者を追い詰め、傷つけるものであることを突き付けられる。被害者でありながら、これまで関わってきた人々への責任とも向き合わされる、極めて厳しい役柄だ。

一人芝居という形式は、こうした役の揺らぎを表現するのに最も適した構造のひとつだろう。そして、観客と緊張を共有しながら舞台へと引き込んでいく作業は、三浦の得意とするところだ。
また、演出家の栗山民也が、この繊細な戯曲にどのような輪郭を与えるのかも興味深い。言葉と沈黙のあいだに生まれる揺れを、どのように掬い取るのか。観客の内側に小さな違和感や痛みを残すような、緊張感のある舞台が期待される。
東京では下北沢のザ・スズナリが会場となる。客席と舞台の距離が非常に近く、観客の心が演者に伝わり、演者の熱を観客が感じられる特別な舞台になるだろう。
舞台 『プライマ・フェイシィ -私の声を聞いて-』
作/スージー・ミラー
翻訳/徐賀世子
演出/栗山民也
出演/三浦透子
公演日程/2026年7月1日(水)~26日(日)
会場/ザ・スズナリ(以降、群馬・福島・茨城・大阪・兵庫 5都市にて巡演)
一般前売開始日/2026年4月25日(土)※茨城公演のみ5月2日(土)
企画・製作/シス・カンパニー 03-5423‐5906(営業時間 平日11:00~19:00※土日祝休業)
公演特設URL/https://www.siscompany.com/prima/
