
沖縄、ハワイ、タヒチ、クック諸島、ニュージーランドの美しい海と、共に生きる女性たち。彼女たちの出産の物語を通じて、人と海、コミュニティのつながりについて問いかけるドキュメンタリー映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』が公開される。2025年9月12日(金)より、沖縄県のシネマプラザハウス1954にて先行公開、10月31日(金)からはヒューマントラストシネマ渋谷を皮切りに全国公開。

主人公は、沖縄出身の女優でフリーダイバーの福本幸子。海のようにおだやかで自由な環境で子どもを迎えたいと願う、彼女の旅を通じて、ニュージーランド、ハワイ、タヒチ、クック諸島など異なる文化圏での出産や助産のあり方が映し出される。
本作では、自宅での水中出産、帝王切開、コロナ禍での病院出産、自然のなかでの出産など、さまざまな出産が映し出される。

現代では、医療施設での出産が一般的で当たり前となっているが、女性が安心できる環境を主体的に選ぶこと、その権利があること。その背景にある文化やそれをささえるコミュニティの姿が描かれている。
それは「自然出産」を推奨するものではなく、医療機関や医療介入を否定する意図もないという。大切なのは、出産の方法にかかわらず、女性が自分の身体と感覚を信じて主体的に選択できること。

各地で出会った女性や助産師の語りは、それぞれのストーリーでありながらも、「出産の選択の尊厳」「母なる海との精神的なつながり」といった普遍的な問いへとつながっていく。
なお、本作での主人公である福本幸子さんは、2019年、20年と、これまでに本誌でも海の魅力を語ってくれている。「海は私の生活の一部」と語っていた彼女の生き方は、「海」を守る社会のあり方、エコフェミニズムや海洋環境社会科学にも広がっていく。
あたたかなコミュニティ、出産と向き合う人たち、美しい海。そして広い視座から捉えた、それぞれのバース・ストーリ。出産をとりまくさまざまな環境や文化を、そして現在を感じてほしい。

Pacific Mother パシフィック・マザー
URL/https://pacificmotherfilm.jp


