イタリアの写真家ルイジ・ギッリ「終わらない風景」──アジア初の美術館個展開催 | Numero TOKYO
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イタリアの写真家ルイジ・ギッリ「終わらない風景」──アジア初の美術館個展開催

ルイジ・ギッリ《グリッツアーナ・モランディ、1989-90》〈ジョルジョ・モランディのアトリエ〉より  1989-90年  東京都写真美術館蔵  ©Heirs of Luigi Ghirri
ルイジ・ギッリ《グリッツアーナ・モランディ、1989-90》〈ジョルジョ・モランディのアトリエ〉より  1989-90年  東京都写真美術館蔵  ©Heirs of Luigi Ghirri

東京都写真美術館にて、総合開館30周年を記念して、イタリアを代表する写真家ルイジ・ギッリの個展が開催される。2025年7月3日(木)より9月28日(日)まで。

測量技師としてのキャリアを経て、1970年代から本格的に写真家としての活動を始めたギッリ。彼にとっての写真とは、現実世界の複製ではなく、フレーミングされた「見られた」視覚的断片によって風景を作り出すための手段だったという。

ルイジ・ギッリ《ザルツブルク、1977》〈F11、1/125、自然光〉より1977年 ©Heirs of Luigi Ghirri
ルイジ・ギッリ《ザルツブルク、1977》〈F11、1/125、自然光〉より1977年 ©Heirs of Luigi Ghirri

本展では、1970年代から晩年にかけて、ギッリが撮影したイタリアや旅先での風景、アーティストのスタジオや自宅、美術品、看板やポスター、窓や鏡に映る風景などの作品を紹介。また、ギッリの活動をまとめたドキュメンタリー映画『Infinito』(2022年)の日本初公開も予定されている。

ルイジ・ギッリ《サッスオーロ、1975》〈F11、1/125、自然光〉より 1975年 ©Heirs of Luigi Ghirri
ルイジ・ギッリ《サッスオーロ、1975》〈F11、1/125、自然光〉より 1975年 ©Heirs of Luigi Ghirri

「私は写真を作りたかったのではなく、写真であると同時に地図や設計図を作りたかったのです」とは、ルイジ・ギッリの言葉。

ルイジ・ギッリ《カプリ、1981》〈イタリアの風景〉より 1981年 ©Heirs of Luigi Ghirri
ルイジ・ギッリ《カプリ、1981》〈イタリアの風景〉より 1981年 ©Heirs of Luigi Ghirri

作品に向かうほどに、さまざまな感覚が立ち上がり、奥深くまでたどりたくなる。活動期間がわずか20年だったギッリの作品が約130点も揃う、またとない機会。ぜひ会場でじっくりと見てほしい。

ルイジ・ギッリ《モデナ、1978》〈静物〉より 1978年 ©Heirs of Luigi Ghirri
ルイジ・ギッリ《モデナ、1978》〈静物〉より 1978年 ©Heirs of Luigi Ghirri

そして同館では、7月3日(木)より9月21日(日)まで「TOP コレクション トランスフィジカル」が3F展示室にて開催中。こちらは、4人の学芸員が共同で企画するオムニバス形式の展覧会。

モノとして存在する写真の「物質性」や、被写体や作家自身の「身体的表現」に着目して、多角的な視点からコレクションの新たな読み解き方を紹介。19世紀から現代までの選りすぐった作品、そして東京都写真美術館ならではの貴重なオリジナルプリントも。
ぜひ写真の表現をたっぷりと楽しんで。

総合開館30周年記念
ルイジ・ギッリ 終わらない風景

期間/2025年7月3日(木)~9月28日(日)
休館日/月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
開館時間/10:00~18:00
※木・金曜日は20:00まで。
※8月14日(木)~9月26日(金)までの木・金曜日は21:00まで
※入館は閉館30分前まで
料金/一般 800円、学生 640円、高校生・65歳以上 400円
URL/www.topmuseum.jp

Text:Hiromi Mikuni

 

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