
力強い色彩と伸びやかな筆致で、日常のシーンから、記憶や面影、超自然な世界まで自由に行き交う作品を描く近藤亜樹。現在、水戸芸術館で「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」が開催されている。
本展では、2022年以降の作品、9mを超える大作『ザ・オーケストラ』、そして50点を超える新作が展示され、過去最大規模の個展となる。2025年5月6日(火・振休)まで。

近藤亜樹が画家として本格的にデビューしたのは2012年。その前年、山形の東北芸術工科大学在学中に、東日本大震災が起こった。
「描くことは生きることそのもの」と近藤はいう。花が落ちても折れても再び芽吹く植物、子どもの眩しさ、見えるものと見えないもの、会いたい人……
この瞬間を生きるものとして、世界や自身の人生と向き合いながら描き続けている。これまでに NumeroTOKYOでも、注目のアーティストとして紹介している(※)。
(※)参考記事:NumeroTOKYO 2021年6月号 「見て感じるボディ【5】近藤亜樹」

9mを超す大型の作品『ザ・オーケストラ』は、雷に打たれても新たな芽を宿す松の巨木から着想。動物も虫も花も、人間やタコも、手を差し出し、歌い、楽器とともに奏でている。
描き進めているとき、近藤の念頭には水戸芸術館前館長の指揮者・小澤征爾の存在もあったという。

本展では新作として、サボテンのシリーズも発表された。会場には大小さまざまなサボテンをモチーフにした作品が並ぶ。なお、展示設計は建築家・青木淳が手がけており、屋外には「叢」(Qusamura)の店主・小田康平によるサボテンのコラボレーションも。

誰かとつながること、回復していくこと。見えないけれど確かにある世界を、生命を肯定すること。

近藤亜樹が差し出す作品は、美しいと感じること、心が揺さぶられたこと、それが”確かなもの”であると、まっすぐに届けてくれる。
ぜひ水戸芸術館で、たくさんの作品に出会ってほしい。

近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は
期間/2025年2月15日(土)〜5月6日(火・振休)
時間/10:00〜18:00(入場は17:30まで)
会場/水戸芸術館 現代美術ギャラリー
休館日/月曜日、2月25日(火)
※2月24日(月・振休)、5月5日(月・祝)は開館
入場料/一般900円、高校生以下と70歳以上は無料
URL/www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5321.html