気鋭の中国出身のアーティスト二人展@シャネル・ネクサス・ホール
東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールにて、「Borrowed Landscapes フェイイ ウェン|パン カー 二人展」が開催中だ。驚異的な経済成長を見せていた1990年代の中国で生まれ育ち、その後海外でアーティストとして活動を行うフェイイ ウェンと、パン カー。本展では、レンズを通した表現をベースとした先駆的な作品で注目を集める二人の新作が紹介される。
2024年以降、アドバイザリーであるフィリップ ティナリとのコレボレーションにより、アジア各国のアーティストをフィーチャーした写真展を開催すると発表したシャネル・ネクサス・ホール。その関連として、2013年の創設以来コラボレーションを続けている「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」においても、今年度はアジアの写真家をフォーカスしたプログラムとして、上海出身のアートユニットBirdheadによる展覧会が行われたことも記憶に新しい。
(参考)Birdhead の展覧会に注目! KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2024
このたびその第一弾として、中国出身アーティストであるフェイイ ウェンとパン カーの二人展がシャネル・ネクサス・ホールを会場に開催中だ。
フェイイ ウェンはロンドン在住。大英図書館で働きながら、自然や風景を主題に自身の撮影したイメージと、ときにはファウンドフォトのイメージを混ぜ合わせ、章立てされたシリーズ作品に展開している。写真に映されたイメージと、見る者が見ようとするイメージとの関係を追求し続けており、中国の山水画を想起させるような、あるいは日本で撮影されたように見える題材や構図を用いながら、そのほとんどをイギリスとウェールズで撮影しているのも特徴的だ。写真表現を探求しながら、露出レベルや現像技術、用紙や印刷の手法などの試行錯誤を重ねており、本展では最新シリーズ「Seeing a pine tree from your bedroom window」からゼラチンシルバープリントとライスペーパーにジークレー印刷をした16点を発表するという。
現在は中国と北米を行き来しながら、アジアの近代化の過程、特に人口の多い都市において、集団から生み出された文化・歴史に長年関心を寄せてきたパン カー。創作を通して、急速な発展を遂げる地域で育まれる熱狂や嘆き、レジリエンス、そしてその土地と結びついた生活を検証しているアーティストだ。近年は、中国の出稼ぎ労働者の居住空間や、彼らの多くが住む「アーバン・ビレッジ(城中村)」 (都市のなかに取り残された、労働者の密集居住エリア)を題材にした壁面のアッサンブラージュ『Bay Windows(出窓)』をタイクン・コンテンポラリーで発表(2022年、香港)。エキゾチックな美的感覚を模倣した装飾的な窓が、彼らの生活の内面的な側面や、夢とその挫折を喚起させる。本展では、本シリーズの続編ともなる6点の新作が公開となる。
我々を取り巻く現代の状況を思慮深く見つめる方法を提示する、フェイイ ウェンとパン カー。それぞれにとって転換となる重要な新作を発表される本展に、ぜひ注目を。
※掲載情報は5月26日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
「Borrowed Landscapes フェイイ ウェン|パン カー 二人展」
会期/2024年5月22日(水)〜7月15日(月・祝)
会場/シャネル・ネクサス・ホール
住所/東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階
開館時間/11:00〜19:00(最終入場 18:30)
URL/nexushall.chanel.com/program/2024/fwpk/
Text:Akane Naniwa