タイの奇才・アピチャッポンの新作アート作品が公開中 | Numero TOKYO
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タイの奇才・アピチャッポンの新作アート作品が公開中

Installation view of “Solarium” (2024) by Apichatpong Weerasethakul at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Nobutada Omote. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.
Installation view of “Solarium” (2024) by Apichatpong Weerasethakul at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Nobutada Omote. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.

『ブンミおじさんの森』で2010年カンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)受賞するなど、国際的評価を得る映画監督であり、現代美術作家として映像インスタレーションを中心に多様な活動を行う奇才、アピチャッポン・ウィーラセタクン。東京・谷中のSCAI THE BATHHOUSEで7年ぶり5度目の個展が開催中だ。

孤独な夢、近しい身内の物語や抑圧された集団の記憶など、心の片隅に追いやられた不穏な心理を予感させるアピチャッポン・ウィーラセタクンの作品。亡霊のようなイメージが、歴史の道筋をたどって現在に立ち現れ、引き伸ばされた時間のスクリーンに忍び込み、人々の日常を越えて闇と忘却、光と記憶のあいだを彷徨い続ける。

本展では、展覧会タイトルと同名の新作『Solarium』(2023)が公開。幼少期に夢中になったホラー映画から着想を得たという、ガラスの両面に映し出された2チャンネル映像のインスタレーションだ。盲目の妻を救うため、患者の眼球を盗んだ狂気の医師(マッドドクター)を描くタイ映画『The Hollow-eyed Ghost』(1981)を再現し、暗闇の中をさまよいながらも、やがて日の出の太陽に破壊されてしまう男の姿と、目に見えない光のあたたかさがそれぞれのスクリーンに映し出される。スクリーンとして中央に置かれたガラスの構造体に反射し、双方向に飛び交う光と音の運動と拡散によって構成されており、ガラスに貼られたホログラフ・フィルムに亡霊が浮かび上がるしかけだ。鑑賞者と被写体は入れ替わり、視覚が捉える領域とその外の世界を行き来するなかで、私たち自身の存在のゆらぎが鏡のように映し出されていくという。

Installation view of “Solarium” (2024) by Apichatpong Weerasethakul at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Nobutada Omote. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.
Installation view of “Solarium” (2024) by Apichatpong Weerasethakul at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Nobutada Omote. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.

なお、ウィーラセタクンのドローイングを一般公開するはじめての機会となる。光、影、眼球のスタディからなるモノクロームの水彩画シリーズや、近年ウィーラセタクンが制作の過程で訪れた場所を記録した写真アーカイブを5部構成で編纂した立体作品『Boxes of Time』(2024)も初公開となる。作家の5年間にわたる光と影の探求が結実した本展に、ぜひ注目を。

Installation view of “Solarium” (2024) by Apichatpong Weerasethakul at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Nobutada Omote. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.
Installation view of “Solarium” (2024) by Apichatpong Weerasethakul at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Nobutada Omote. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.

※掲載情報は3月26日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

アピチャッポン・ウィーラセタクン「Solarium」
日時/2024年3月16日(土)〜5月25日(土)
会場/SCAI THE BATHHOUSE
住所/東京都台東区谷中 6-1-23
時間/12:00〜18:00
休廊/日・月・祝日
URL/www.scaithebathhouse.com/ja/

Text:Akane Naniwa

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