自然との対話を生み出す。サム・フォールズの日本初個展 | Numero TOKYO
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自然との対話を生み出す。サム・フォールズの日本初個展

自然や光、時間、偶然性をもとにした制作プロセスが特徴的な、サム・フォールズ。日本初となる個展が、東京・六本木の小山登美夫ギャラリーにて開催。ペインティング作品と、陶のフレームと写真を組み合わせた新作を発表する。

1984年アメリカ・バーモント州で育ち、現在はニューヨークおよびハドソンバレーを拠点に制作活動を行うサム・フォールズ。アメリカのリード大学で物理学、言語学、哲学などを学んだ後、2010年にICPバード芸術研究課程修了。その後、2019年にはルイ・ヴィトンとのコラボレーションでバッグ・カプシーヌのアートプロジェクトにも抜擢されるなど、多角的に活躍しているアーティストだ。日本では、2022年虎ノ門ヒルズの車寄せの大きな陶板制作や、2023年森美術館「ワールドクラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」に出展し、大きな話題を呼んだ。

Sam Falls サム・フォールズ, Petrichor, 2023, Pigment on canvas, 83.8 x 289.6 cm, Photo by Justin Craun ©Sam Falls
Sam Falls サム・フォールズ, Petrichor, 2023, Pigment on canvas, 83.8 x 289.6 cm, Photo by Justin Craun ©Sam Falls

サム・フォールズの作品は、自然や光、時間、偶然性をもとにした制作プロセスが特徴的だ。たとえば、地面に置いたキャンバスの上に、染料と、そこに生えている草花や枝などの植物を一緒に配して一晩かそれ以上放置し、その後植物を取り除くこと。雨や雪、霧、朝露など、そのときどきの大気の状況により染料が変化していき、画面に有機的な自然の輪郭と、生と死の循環のメタファーが満ち表れるようである。
「作品とは、アーティスト、自然などの対象物、鑑賞者を繋ぐ役割を果たす」と考え、作品の構成はアーティストによってつくり出されるが、色や美しさは天気によって決められているという。その場所固有の植物によりさまざまな構成がうまれ、季節的な要素にさらされる様子は、まるで元の植物の自然環境がそのままあらわれているかのようである。

Sam Falls サム・フォールズ, Drape the dust of this world in droplets of dew, 2023, Fujifilm FP-100C45 instant film, glazed ceramic and glass, 39.1 x 29.8 x 6 cm, Photo by Justin Craun ©Sam Falls
Sam Falls サム・フォールズ, Drape the dust of this world in droplets of dew, 2023, Fujifilm FP-100C45 instant film, glazed ceramic and glass, 39.1 x 29.8 x 6 cm, Photo by Justin Craun ©Sam Falls

Sam Falls サム・フォールズ, Night Music, 2023, Glazed ceramic and glass, brass frame φ88.9 cm, Photo by Justin Craun ©Sam Falls
Sam Falls サム・フォールズ, Night Music, 2023, Glazed ceramic and glass, brass frame φ88.9 cm, Photo by Justin Craun ©Sam Falls

出展作の1つ『Petrichor(降雨で地面から立ち昇る匂い)』は、ギャラリースペースを長く横断するような迫力ある展示になったという。実物大の草花の輪郭が重なる作品に圧倒され、森の存在性を体感し、自然との対話をすることができるだろう。

※掲載情報は2月7日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

サム・フォールズ展
会期/2024年2月3日(土)〜3月9日(土)
会場/小山登美夫ギャラリー六本木
住所/東京都港区六本木6丁目5−24 complex665 2F
時間/11:00〜19:00
休廊/日・月・祝
URL/tomiokoyamagallery.com/exhibitions/falls2024/

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