「郵便」をモチーフにした最新作が公開。高木耕一郎個展
鮮やかな刺繍や、版画、ペインティングの技法を組み合わせた独自の視覚言語で注目を集める高木耕一郎の個展「Deliver to Your Soul」が、東京・天王洲のMAKI Galleryにて開催中。
1974年東京都生まれ。大学卒業後、シルクスクリーンを学ぶためにサンフランシスコへ発ち、その後ニューヨークでアーティストに師事する一方、画家としてのキャリアを始めた高木耕一郎。2005年に帰国後、刺繍や版画、ペインティングの技法を組み合わせた独自の視覚言語を築き上げており、本誌でも注目するアーティストの一人だ。
同ギャラリーでの2度目の開催となる本展では、高木が今まで取り入れてきたカウンターカルチャーを軸に「郵便」という新たなモチーフを掛け合わせた最新作を含む、約30点が公開中だ。
不自然な色彩やポーズで描かれた、擬人化された動物たち。愛らしく感じると同時に、時折見せるギラギラとした目つきやむき出しの牙は、野性的で猛々しい威圧感を醸し出している。その攻撃的な姿勢は、既存の社会構造やそれを維持する人々に対する不信感を示唆しており、作家が長年情熱を傾けてきたパンクロック、グラフィティ、ストリートファッション、タトゥーアートといったアメリカのカウンターカルチャーの強い影響が見受けられるだろう。同時に、キャラクターたちのポーズはキリスト教絵画を彷彿とさせ、その反抗的な表情とは対照的な、神秘的とまで言えるオーラを放っている。
また、キャンバスの上に描かれる「言葉」も、重要な役割のひとつだ。今回繰り返し登場する封筒、切手、郵便ポストなどのモチーフは、人間社会における言葉の重要性をさらに強調しているという。高木は「郵便は私たちの内面の言葉を収め、切手はその言葉が響き合う証であり、送り手と受け手の魂が触れ合い私たちの魂に深い影響を与えている」と語る。
本展では、従来使用してきた刺繍や絵具、インクに加え、シルクスクリーンを取り入れた作品も発表され、作家のますますマルチメディア化するアプローチに焦点を当てているという。コミュニケーションという人類にとっての大きなテーマを扱いながらも、まるで友人との会話のような、ユーモアに溢れた高木耕一郎の作品。ぜひお見逃しなく。
※掲載情報は12月28日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
高木耕一郎「Deliver to Your Soul」
会期/2023年12月15日(金)〜2024年1月27日(土)
会場/MAKI Gallery
住所/東京都品川区東品川1-33-10
時間/11:30〜19:00
休館/日・月曜
URL/www.makigallery.com/ja/
Text:Akane Naniwa