「坂本龍一トリビュート展」真鍋大度が共同キュレーション、ICCにて開催
東京・初台のNTTインターコミュニケーション・センター(以下ICC)にて「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」が開催される。2023年3月に逝去した音楽家・坂本龍一のメディア・アートの分野における大きな影響について、あらためて考える企画展。
共同キュレーターにライゾマティクスの真鍋大度を迎え、坂本龍一が関わった作品や、ICCでの記録、そして真鍋のキュレーションによる坂本の演奏データを活用した作品などが展示される。2023年12月16日(土)から2024年3月10日(日)まで。
90年代より、メディア・テクノロジーを取り入れた作品やアーティストを紹介し、時にはライブ・パフォーマンスや思考の場として、ジャンルを超えて、日本のメディア・アート界を牽引してきたICC。坂本龍一との関わりも深く、展覧会の企画に連動したコンサートや、ICC開館10周年、20周年には高谷史郎と共に企画展を開催している。
坂本自身、90年代の黎明期にインターネット・ライブを行うなど、作品にテクノロジーを積極的に取り入れてきた。96年にはメディア・アーティスト岩井俊雄とのコラボレーション、2000年代以降はカールステン・ニコライ、高谷史郎、真鍋大度、毛利悠子と、さまざまなアーティストとインスタレーションなどを制作している。
本展では、坂本龍一と真鍋大度によるインタラクティブなインスタレーション、坂本が曲を提供した毛利悠子『そよぎ またはエコー』、坂本のディレクションで世界から集められた音源が組み入れられたダムタイプ『Playback 2022』などを展示。
そのほかアルヴァ・ノトことカールステン・ニコライとのパフォーマンス映像や、李禹煥による坂本の生前最後のアルバム『12』ジャケットのためのドローイングも。さらに館内のシアターでは、坂本が出演したパフォーマンスやコンサートの映像が上映される。
共同キュレーターとして参加する真鍋大度は、かつて、坂本が自身の演奏のアーカイブに留まらず、それを活用したAIに関心を寄せていたことに触れ「この展覧会では、遺された価値あるデータを活用し、彼の芸術的志向を未来へと受け継ぐ作品を創出することで、敬愛する「坂本龍一」へのトリビュートを表現します」とコメント。
そして坂本の演奏データを活用し、Strangeloop Studios、404.zeroがオーディオ・ヴィジュアル作品を制作。真鍋大度+ライゾマティクス+カイル・マクドナルド『Generative MV(仮題)』では、ライゾマティクスが演出を手がけた坂本のオンライン・ピアノコンサートでの楽曲のMVを、新たに開発されたAIを用いて制作している。
ICC主任学芸員の畠中実は「音楽の歴史の中に、あらたな音楽の歴史を聴きなおすように、物音の中にも音楽を聴き取るように、世界と対峙した坂本さんの芸術家としての姿は、多くのアーティストにインスピレーションを与えました。そんな坂本さんの本質のようなものが、坂本さんのアート作品の中にあったということを展覧会で表現したいと思います」とコメントを寄せている。
音楽、現代アート、メディア・アートと、ジャンルを超えて大きな影響を与えた坂本龍一。2024年12月には東京都現代美術館で坂本龍一の個展も予定されている。今は、そのはかりしれない影響を振り返り、未来に向けて変化し、生み出される作品に出会ってほしい。
12月16日(土)は浅田彰を招いてオープニング・トーク(オンライン中継あり)、17日(日)には真鍋大度とのキュレーショントークも開催される。
坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア
期間/2023年12月16日(土)~2024年3月10日(日)
会場/NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
時間/11:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
入場料/一般800円、大学生600円
休館日/毎週月曜日、年末年始(12/28〜1/4)、ビル保守点検日(2/11)
※ 月曜日が祝日もしくは振替休日の場合は翌日休
URL/www.ntticc.or.jp
※詳細、最新情報は公式サイトをご確認ください。
Text:Hiromi Mikuni