アニッシュ・カプーアの最新個展＠GYRE GALLERY（東京・表参道）
国際的にその動向が常に注目されるアーティスト、アニッシュ・カプーアの個展が東京・表参道のGYRE GALLERYにて開催中だ。気付かぬうちに監視されている現代社会に、さまざまな問いを投げかける本展に注目したい。
1954年インド・ムンバイ生まれ、現在では英国を代表する彫刻家として国際的に高い評価を得ているアニッシュ・カプーア。欧米的な価値観の域を超えた、東洋的な思想に基づくカプーアの作品は、強く人々の心を捉えると同時に、鑑賞する誰もが作品に入り込める、視覚的な楽しさも特徴的だ。
監視システムがいつの間にか街中に張り巡らされ、目に見えない「監獄の誕生」が現前化する現代社会。「監視される側が芸術表現をどのように捉えていくのか」が、本展のテーマだという。
人間存在そのものに潜む情動を表象する、アニッシュ・カプーアの作品。本展は、監視の下で統制されている人々が自らに内在しているカオティックな情動に気づかされていないが、作品を見ることで自らのカオス（不条理）と対峙せざるを得なくなり、その存在に気づかされる構造になっているという。
人間存在そのものを映し出すカプーアの芸術作品（鏡）が、現代社会における監視メカニズムを浮かび上がらせる契機となり、また、奪われた自由への眼差しを我々に向かって投げかける試みだ。さらに見るものにとっての真の自由とはなにかを問いかけるという。「アーティスト達は、 様々な形で資本主義によって絶えず剽窃されているのです。私たちはあらゆる場面で反撃しなければなりません」と、カプーアは語る。会期は2024年1月28日（日）まで。
※掲載情報は12月5日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
アニッシュ・カプーア＿奪われた自由への眼差し＿監視社会の未来
会期／2023年11月23日（木）〜2024年1月28日（日）
会場／GYRE GALLERY
住所／東京都渋谷区神宮前 5-10-1 GYRE 3F
開館時間／11:00〜20:00
休館日／12月31日（日）〜1月1日（月）、1月2日（火）のみ13:00〜20:00
URL／gyre-omotesando.com/artandgallery/anish-kapoor/
Text：Akane Naniwa
